第11話:伝説の武具

勇者パーテは、勇者殺しの山の山頂にて、傷を負いながらも精霊を打ち倒した。

夕暮れの中、パーテは精霊の守っていた宝箱を開け放った!


「伝説の武具が今ここにっ! ……え? な、なんだこりゃ!?」勇者


パーテは、宝箱の中身を取り出す。

それは、事前情報なしでは何なのかわからないほど、古く、錆の塊となってしまった剣だった。

しかも、錆びているのは剣だけではない。宝箱の中のあらゆる武具が、完全に錆びきっており、パーテが手にするだけでも崩れてしまいそうな状態になっていた。


パーテは、武具の一つを地面に叩きつける。

その武具は、塵となって山の風に流されていった。

パーテが手当たり次第に、伝説の武具を叩きつけていった結果、宝箱に入っていた武具はすべて塵となり、山の中へと消え去ったのだった。


「あぁあー、そりゃそうだよなぁっ。いくら伝説の勇者の武具つってもよぉ、長い年月が経ちゃああぁよぉ……っ! 錆びるに決まってんだろおおおぉがあぁっ! クソがあああぁっ!」勇者


パーテは、宝箱を空高く蹴り上げ、落ちてきた宝箱を両手キャッチ!

そのまま地面に叩きつけた!

宝箱自体が風化していたため、蹴り上げただけでも砕け、叩きつけによって箱としての形状は完全に崩れ去った。


パーテはさらに、砕けた宝箱を何度も踏みつぶす。

踏みつけは力強く、宝箱の木片はどんどんと地面にめり込んでいく。

そこで、突如パーテの踏みつける足が止まる。


「……紙?」勇者


パーテは踏みつけていた木片を漁り、皮で作られた紙を取り出す。

紙は土で汚れていたが、なんとか読める状態の地図だった。地図の端には、魔王城の在処と書かれている。

パーテは地図を袋にしまうと、無造作に地面に寝転んだ。


「あーもう、これでいいよーっ! これでいいんだろぉー!? じゃあもう、これでいいよぉっ!」勇者


先ほどの興奮状態での行動により、パーテの腹の出血は悪化していた。

しかし、そんなことなど気にする様子もなく、パーテはそのまま眠りについた。

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