第4話:四天王バックリの誤算
勇者パーテは、四天王バックリの提案を承諾する。
勇者と四天王、二人は崖の穴を進み、そしてムクロンの街に到着した。
勇者と魔物という珍しい組み合わせに、街の住民は二人を注視する。
「さあヒヨッコよ。貴様が高々と宣言するのだ。我らの力関係を、街の住民に知らしめよっ!」四天王
「うぐぐ……! おいお前らよく聞けぇーっ! 俺は見てのとおり勇者様だ! そして、俺の隣にいるこの魔物! なにを隠そう、魔王軍の四天王なんだぜーっ!」勇者
勇者からの思わぬ発言に、街の住民たちはざわつきはじめる。
パーテは、近くの民家に駆け寄り、さらに続ける。
「名は破壊剣使いのバックリ! とてもじゃないが敵うような相手じゃない! この四天王の手にかかれば、この丈夫そうな家も容易く破られちまう! おい、さっきのやってくれ」勇者
「ふん、いいだろう」四天王
四天王バックリは、民家を大剣で切りつける。
家はレンガで作られていたが、容易く切り裂かれてしまう。
住民たちの多くは悲鳴を上げ、一部はどこかへ走り去った。
パーテは、武具屋の鎧を持ち出し、近くの木に立てかける。
「こいつの剣の前では防具なんて無意味だ! こんな丈夫そうな鉄の鎧でも、簡単に貫く! ……次は突きがいいんだが、木ごといけるか?」勇者
「くくく、私にとっては容易いことだ。このようにな!」四天王
四天王バックリの大剣は、木ごと鎧を貫く。
その時! パーテは懐からハンマーを取り出し、木と鎧を貫いている大剣の根元を、側面から叩き割った!
「な、なんだとぉーーーっ!? 私の魔剣があああぁっ! ぶぐあ!?」四天王
パーテは、ハンマーを四天王バックリの顔面に投げつける。
バックリの顔には、ハンマーが深々とめり込み、そのまま四天王バックリは倒れた。
勇者パーテは、倒れた四天王の背中を、何度も剣で刺しながら叫ぶ。
「よっしゃお前ら! こいつは防具もつけてないような接近攻撃バカだぜー! 弓なり石なりを使って、すぐに殺すんだーっ!」勇者
などと、パーテが言っているうちに、四天王バックリが徐々に消滅していく。
住民たちは、最初は戸惑った様子だったが、やがて歓喜の声を上げ始める。
勇者が四天王を打ち破った、という噂は、一晩でムクロンの街に知れ渡った。
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