第3話:全てを切り裂く魔剣

勇者パーテは森を抜け、そびえ立つ崖までやってきた。

崖には大穴が開いているが、穴は大岩でふさがっている。


「なんてことだ! 穴が塞がってやがる! くそ、崖の大岩が落ちてきたんだな! これじゃあ街に入れねえ!」勇者

「ほう、私の接近に気づいて、街が先手を打ったか。無駄なことを。そして、不運な野良勇者が一匹いるではないか」四天王


パーテが頭を抱えていると、大剣を持った魔物がやってくる。

パーテはすかさず剣を構えた。


「なんだてめー! その風貌、魔物だな!」勇者

「私のことも知らぬのか? とんだヒヨッコ勇者だな! 私は魔王軍四天王、破壊剣使いのバックリ! 守備頼りの人間共を殺して回っているところだ」四天王

「げっ! 破壊剣使いだと! 魔物を殺すかのように、平然と人間を殺しているって噂の!」勇者

「そのとおり。ふん!」四天王


四天王バックリは、大岩に大剣を振り下ろす。

すると、大岩は真っ二つになり、大穴への道が開かれる。


「見てのとおりだ。我が破壊剣はあらゆる防御網をも切り裂く! ……さあどうする? 貴様はヒヨッコだ。街中で勇者であることを明かし、逃亡宣言をするのであれば、見逃してやってもいいが」四天王

「くっ」勇者


勇者全体への悪名と引き換えに、命を助けるという四天王バックリ。

命、そして勇者の評判。

パーテは果たして、どういう選択をするのだろうか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る