第39話 それでも僕は2
少しオドオドしてしまいながらも、決められる範囲でこれからのことを決めていく。
もちろん、僕はすぐに切り替えができるような人間ではない。なのにココロはいつも通りで、さっきまでの覚悟はなんだったのか自分を鼻で笑ってしまいたくなってくる。だけど必死に微笑んで、ココロのやりたいことを話し合って。
この日の部活の時間を終わりまで使って、いくつかの目標を決めた。
ココロの限界まで今の状態を維持すること。絶対に失敗しないという自分たちだけの歌見つける、または作ること。
絶対に達成できないような目標はお互い絶対に出さなかった。僕もココロも、それは無理なのかなとわかっていたからかもしれない。そう考えてしまうと、やっぱり言葉が出なくなる。
一番辛いのはココロなのに、やっぱり僕は弱くて。彼女は本当に強い人だ。
結局この日は全く練習をしないで、家に帰ってきてしまった。ココロと別れた瞬間に襲ってくるとてつもない喪失感。それが全く消えなくて。
ご飯を食べても味はしなかったし、シャワーを浴びても体はあったまらなかった。布団に入っても眠れない。
天井と睨めっこしながら別れ際にココロとした会話を思い出す。
「あ、これ返すの忘れちゃってたけど。」
「あー、USBか。確認だけなのになんでかなって思ってたんだ」
「まー、ね。私はおっちょこちょいだから」
どうしても眠れなくて体を起こし、時計を見る。3時20分。
完全に明日の授業は睡眠時間だ、そう笑いながら受けとったUSBメモリを自分のPCに突き刺す。ぽちぽちとマウスを動かしてファイルを開く。
結果、あの日みたフォルダ1とフォルダ2はほとんど変わっていなかった。強いていうならテキストの題名にコンマが入っていた。それだけ。
だけど、新しくフォルダ3というフォルダができていた。まだ少しの罪悪感を感じながら、ダブルクリック。フォルダ2と同様にパスワード画面が出てきて開けない。チェックしただけじゃないじゃないか。僕はクスッと笑ってフォルダを閉じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます