第25話 本番2
文化祭の雰囲気とは思っているよりもずっと暑苦しいものに感じてしまっている。
こんなことに僕は憧れていたのかと少し悲しくなるくらい、物理的な意味で目まぐるしい。そんな状態の中、体を動かしてクラスの人たちを手伝ったりしている。僕ら軽音部の出番は午後からだし、それまでははっきり言って暇なのだ。だけど、暇だからとリラックスして青春じみたことを謳歌しているわけでもない。緊張してる、だからこんな僕でも体を動かしたくなる。めんどくさくて柄に合わなくても、何かしていないと失敗することばかりを考えてしまう。
さっきまでの僕はどこに行ってしまったのか、まったく弱気になってしまって情けない。
クラスメイトをてつだっているつもりが邪魔になっていたかもしれない。クラスメイトが優しい人で良かったが、落ち込んでしまうよ。クラスのやっていた喫茶店の出し物を、昼ご飯として食べたときなどはひどかった。緊張からか全く味を感じず、感想を聞かれて適当に答えるという失敗をした。結婚したらやっちゃいけないことランキング上位に入りそうな行動だ。
僕は自分が思っているよりもずっとメンタルがよわいらしい。でも、これは仕方ないだろうか。よく考えてみれば人前で楽器を演奏するのだ。これで緊張しない人などいないだろう。
時間が過ぎるにつれて緊張は大きくなっていき、同時にココロがいればという自信も芽生えてくる。僕の心の中では常に感情が戦争状態だ。
そんなことなど現実世界はお構いなしで、終戦を待たずに時間はやってきた。
心の整理などつかずに体を動かして、部室に向かう。部室に近づくにつれて、ごちゃごちゃの心がすべて自信にかわる。
部室のドアに手をかけたとき、僕は1度深呼吸。すべて自信に変わった。
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