金太郎

勝利だギューちゃん

第1話

昔、あるところに、金太郎と言う男の子がおりました。

彼は、とて優しくて、村の人気者でした。


相撲も連戦連勝でした。

キツネもリスもサルもいたちも、金太郎に負けました。


ある時、金太郎の人気を快くおもっていなかったクマが現れました。

クマは、金太郎に言いました。


「村一番の力持ちを名乗るのなら、僕に勝ってからにしろ」

クマは、既に勝ち誇っていました。


しかし、金太郎は断りました。


「僕、そんなに強くないから」

「ウソをつくな。相撲で負けたことはない力自慢ときいたぞ」

「いえ、自慢していませんし、その噂は迷惑・・・」


金太郎は、おどおどしています。


そうです。

金太郎は、確かに連戦連勝でした。


でも、その全ては、相手の勇み足。腰砕け。こぶしで殴る。

などの反則行為や、ミスによるもので、自力で勝ったことはありません。


彼の人気は、その優しさでした。


でも、クマも負けずに優しい方でした。


「なら、俺が君を本当の、力持ちにしてやる」

「いいです」

「もし、村に何かあったら、守れるのは君だけだ」


村は平和です。

今のところ。


でも、いつ崩れるかわからない。

なので、一番若い金太郎に、白羽の矢が立ちました。


「わかった。やってみる」

「そうこなくっちゃ。では、まず僕に乗り、お馬のけいこだ」

「いえ。クマのあなたに乗ることとの方が、難しいかと・・・」

「僕に乗れたら、馬にはたやすく乗れる」


一理あります。


金太郎は、クマに跨りました。

すると、簡単に乗れました。


「じゃあ、行こうか?きんちゃん」

「きんちゃんって・・・どこへ?」

「僕のふるさと」


そうです。

このクマは、ヒグマではなく、白クマでした。


「遊びに来たら、帰らなくなったんだ」

「どうして?くーちゃん」


金太郎は、くーちゃんと名付けました。

まんまです。


「方向音痴なんだ。暑くてたまらん。僕のふるさとに行くまでに、鍛えらるよ」

「帰りは、どうするの?」

「友達に頼む」

「友達って?」

「ペンギン」


住んでいる所が違うと、金太郎は思いましたが、フィクションなので、細かい事は気にしませんでした。

すでに、肝が据わっています。


この時代の日本人が、白クマやペンギンを知っている人は皆無ですが、例外もいたようです。


彼が、成長して凱旋するのが、楽しみです。


くーちゃん、よろしく。

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金太郎 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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