一応決着

 二月五日の診察で、年末から続いた母の下血は一応の決着を見た。

 

 前回同様点滴と輸血の治療が有る事を踏まえて、朝九時に血液検査を受ける。

 担当医の診察は一時間後の十時。

 血液検査の結果が出てからだ。


 下血に関しては、前回八日の治療以来、一度だけ微量の出血があった以外は、治まっている。

 血が出たら飲むようにと処方されていた止血剤も、一度飲んだきりだ。

 夜間の暖房を電気ストーブとアンカから、電気敷毛布に変えたのも功を奏したのかもしれない。

 寒さで力むのは出血には悪い。

 また、当然の事だが温めすぎるのも脱水症状を起こすので良くない。

 それらを踏まえると、電気敷毛布は細かく温度調節が出来るものが良い。

 安いモノだと温度調節が出来ないモノがある。

 利便性で三段階、五段階調節と言うのもある。

 高齢者には出来るだけ無段階調節のものを選びたい。

 その上で、丁度いい温度を探す。

 幸いウチの母には聴き取りが出来るので、朝に聞いて夜に反映させる事が出来た。

 出来ればメーカーには、入眠前の体温と設定温度の相関を提示してもらいたい。


 また、ポータブルトイレも暖房タイプにしておいて良かったと思う。


 下血については、何かしらの病気の症状と言う訳では無かった。

 出血は、出血のみで存在している。

 癌や病気がなく、出血のみで存在すると言うのは、なかなか若い世代では想像がつかない。

 事実、私の場合でも出血は腫瘍からで、その腫瘍は癌だった。

 それでも母の下血に比べれば、ほんの微量だ。

 あえて病変と言うならば、憩室炎。

 この場合の憩室は、大腸にできる穴。

 穴と言っても貫通はしていない。

 貫通していたら大ごとだ。

 内視鏡で腸壁を見ると、穴に見える窪みである。

 そこが炎症を起こして出血すると言うのは、高齢者ではめずらしくはない。

 そもそも憩室自体が主に加齢によるものなので、若い世代に起こりづらいのだ。


 高齢者では内出血も多い。

 少しこすれたり、当たったりしただけで内出血が出来る。

 若ければ打ち身どころか何の変化も起こらないような事で、簡単に内出血が出来る。


 おそらくそれは腸内の粘膜でも同じなのだろう。


 鼻血のようなものが腸内でおこる。

 鼻血では、血が止まって傷が治るのを待つだけだ。

 あえて治療などは行われない。

 特に何か病気の症状でもない。

 今回の母の下血はそう言う事だったのだ。


 これが高齢者と言うものなのかもしれない。


 在宅介護、家族介護用に、家庭の医学のように、高齢者の医学が出てほしい。

 高齢者特有の症状と、対処法をまとめた情報が欲しい。


 結果的に輸血をするほどの出血が有っても、原因となる病気がない。

 それが高齢者なのだ。


 診察室から呼ばれ診察を受ける。

 血液検査の結果は、尿酸値が高い事を指摘された以外、特に問題は無かった。

 今回は、点滴や輸血をせずにそのまま帰れる。

 クエン酸第一鉄Naの薬は28日分処方されたが、それも飲み終わったらやめて良いという事だった。

 また下血が有って、止血剤を飲んでも何日も血が止まらないという事がなければ、本来の定期受診の予定どうり。

 次回は6月の受診だ。

 下血に関する受診は、これで一応の決着。

 今回で終わりになった。


 高齢者特有の症状にあたふたする、介護離職者たちにベーシックインカムを。

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