いつになったら介護者は認知されるのだろう

 ツイッターをしていると、介護に関わっている人達がつながるので、認知度が高いと錯覚をする。

 でも、このコロナ禍においても、在宅介護保護責任者の認知度はゼロだ。


 何度も繰り返して説明しよう。

 在宅介護保護責任者とは、家族介護の中で、最初に《主》が付いている家族の事。

 介護計画書やその他の書類に、名前が載っている人達の事である。

 もし介護を放り出して逃げたら、保護責任者遺棄罪(刑法218条1項)で逮捕もされるし、刑事罰にも処される。

 国から強制力を持って、重い責任と義務を課されている立場の人たちの事だが、保障は全くない。

 ちなみに、納税者と国家と言う関係を横に置いて、国や行政が親子の価値観を拠り所にするのは、筋違いである。



 コロナ禍で医療がひっ迫していると、いろんな所で叫ばれるようになった。

 入院先が見つからずに、自宅待機での死者も増えて来た。


 以前行政に問い合わせをしたことを載せた。

 在宅介護保護責任者がコロナ感染した場合、陰性の要介護者の介護は、どうやって継続するプランなのかと。

 訪問看護・介護など、介護保険適用のサービスと家政婦など介護保険外のサービスを使って、介護を継続していくけど、費用は自腹と言う回答があったことも載せた。


 感染者が居た家へ、本当に訪問サービスが来るのか疑問だった。

 今さらに、現在の状況で、感染者が自宅待機している家に来る、訪問サービスがあるわけがない。

 でも、方針の更新はされていない。


 特に在宅介護は、方針が決まっていて、ハード面がすでに確保されていなければ、手遅れなのだ。

 もう、現状は手遅れだ。


 仕事はどうだろう。

 出来たとしても、フルタイムで入れる訳では無いので、週数日、1日数時間だ。

 そんな雇用は、現在絶賛解雇中だ。

 仮にあったとして、月数万円の稼ぎのために、コロナ感染で介護継続費用の百万円ほどのリスクを負うのは、ばかげている。

 それでもお金が必要な介護家庭に、保障や給付が有ってもいいはずなのに、子育てには有っても、介護にはない。


 医療現場や介護現場と言う言葉は聞くが、介護現場と言うのは、人員は介護職員、現場は介護施設だ。

 在宅介護、家族介護をしている介護者は、家庭は、介護現場ではないと言うのだろうか。

 デイサービスは、家庭の介護無くしては成り立たない。

 なのにコロナ禍でのニュース、話題に在宅は全く含まれていないのだ。


 介護離職で税金も納めてないくせにと国や行政は思っているのだろうか。

 でも、始めに書いたとおり、刑法と言う強制力を持って義務と責任を課しているのは、国であり、従わせる方針を決めているのもまた国なのだ。

 国自らが離職と言う状況を作り出しているのだ。

 それなのに、あまりにも放置がひどすぎる。


 ゲームの少女ではないので、放置されても強くはならない。

 疲弊していく一方なのだ。


 この前、一人の高齢女性が、介護していた三人の要介護者を殺害する事件があった。

 老々介護で、一人が三人を介護する。

 本来あってはならないことだ。

 なぜならこの結果は、介護経験があれば容易に想像がつくことだからだ。

 そしてこれは、特殊な事例ではなく、今ある現実なのだ。

 介護職員なら、離職も転職もできる。

 でも、在宅介護保護責任者は、介護を看ている全員が死ぬか、自分が死ぬかしないと終わりは来ないのだ。

 そう、この事件はその裏側も見せている。

 介護していた彼女自身が過労死をしても、結果は同じだったのだ。

 彼女が仮に、命に係わる病気になったとしても、治療が受けられる制度は現実には存在しない。

 三人もの寝たきりの要介護者を、引き受けるだけのハードウェアーは、存在しない。

 三人分の費用と自分の医療費。

 お金が足りなくても、サポートする制度は何もない。

 介護者が、助かる病気なのに治療が受けられずに死亡する状況は、作り出してはいけないのだ。

 つまり介護者が一人と言うのは、そういう事なのだ。

 この介護にケアマネージャーが居たとしたら、そのケアマネージャーは、一体何を見ていたのだろう。


 ツイッターでつながりを持っていると、いろんなツイートが流れて来る。

 海外では、家族介護の介護も労働とみなされ、労働の対価として国から介護手当が出る。

 そんな国もあるそうだ。

 介護者自身の医療費負担は国が出す。

 そんな国もあるそうだ。

 この国はいつまで奴隷制度で在宅介護を続けていくのだろう。

 それが、いつまで持つのだろう。

 そして、いつまで他人事で済ませられるのだろう。



 認知されなくてもそこに存在している、介護離職者たちにベーシックインカムを。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る