アンサングシンデレラ

 1月21日、木曜日。

 母がデイサービスから帰って来た。

 その時職員から、「すいません」と、謝られた。

 昼間母に37度3分の微熱があったと言うのだ。

 別に謝ってもらう様な事ではない。

 微熱はリハビリ入院をしている時にも、たびたびあったと聞いている。

 その時も、特に治療を必要とはしなかった。


 家でも微熱はたびたびあるので、デイサービスへの情報提供のために原因になりえる事柄を調べてみた。


 比較的、朝から微熱がある事は無い。

 そうすると、朝に服用する処方薬に原因があるかもしれない。

 一つ思い当たるのは、ランソプラゾールDО錠15mg。

 この薬の副作用の中に、発熱がある。


 また、下血の治療で輸血をしているので、これも発熱の原因になりうる。

 そして、便秘がちだと微熱が出やすい。

 快便の時には、微熱が出にくい。


 便で言うと、この日の夜、また少し下血があった。

 便から少し、水に血が滲みだしている。

 とりあえず処方されている止血剤を飲んでもらった。

 翌日には血の確認は出来なかった。

 ところがふと気づいたのだ。

 母の便が異常に黒い。

 真っ黒だ。

 黒い便と言うのは、上部消化器官からの出血が疑われる。

 年末に救急で診察してもらった時に、黒い血があったと言われた。

 それによって、入院中に胃カメラの検査も予定されていた。

 でも、消化器内科の担当医の判断でなくなっていた。

 必要なしという事は、検査を必要とする所見は無かったのだと安心していた。

 なのに大量の真っ黒な便が、便器の中にある。

 多い。

 多すぎる。

 頭の中で一度情報を整理した。


「薬の副作用で便が黒くなります」


 そーだっ。

 思い出した。

 医師と調剤薬局で念押しされていた。

 今回の下血で医師から処方された貧血の薬。

 クエン酸第一鉄Na錠50mg。

 この薬の鉄の成分で、便が真っ黒になっていたのだ。


 もう一度、処方薬局から渡された資料に目を通し、電子辞書の情報にも目を通す。

 とりあえず処方されている薬の情報は、いつでも思い出せるように覚えておかなくては。


 アンサングシンデレラの真似事までしなきゃいけない、介護離職者たちにベーシックインカムを。

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