カクヨムは小説を持ち出しさせろ

 去年から病院にいる時間が多くなった。

 介護による、両親の付き添いだ。


 診察だけでもそれなりに待ち時間がある。

 血液検査や尿検査が有れば、採血、採尿から結果が出るまでに、一時間ほどかかる。

 それから診察だ。

 診察の予約時間から大きく遅れる事も珍しくない。


 処置が加わればさらに時間がかかる。

 母が年末に下血で入院した。

 年明けにまた下血が始まり、診察予約を繰り上げて外来を受診した。

 外来でも治療は受けられる。

 治療室で点滴と輸血。

 それだけでも四時間かかる。


 点滴の針を刺して一番初めにしたのは、血液検査用の採血。

 治療後はもう一度受診がある。


 誰もが知っているとおり、病院のほとんどは待ち時間だ。

 前回は、溜まっていた四コマ漫画雑誌を消化した。

 ちなみに、資格取得とかのテキストも読んでみたが、病院では頭に入らなかった。

 自分の診察の呼び出しとか、意識が分散する。



 かつて私も入院したことがある。

 大腸癌の手術のためだ。

 と言っても、大腸癌で入院した訳ではない。

 検査の段階で、腫瘍の外観は腺腫。

 親指の先ほどの大きさで、置いておくと癌になる可能性がある、前癌腫瘍だと言われた。

 まだ内視鏡で取れるので、手術を受けた。

 取った腫瘍を病理検査に回したら、中身が癌だったのだ。


 入院中にテレビは見ていない。

 見たいのは消灯後の番組だ。

 昼間の番組を、料金払ってまで見たくない。

 そこで私は、入院前にレッドバロンに行き、「R☆B」と言うフリーマガジンをもらってきた。

 本屋へ行き、「十二国記 黄昏の岸 暁の天」を買ってきた。

 それを病室で読んでいたのだ。


 病院は、小説が力を発揮する大事なステージの一つだと思う。

 だが、「カクヨム」はどうだろう。

 病院、ましてや処置室や病室で、治療中にスマホは使えない。

 ノートパソコンの通信機能だってそうだ。

 待合ロビーで、スマホを見ている患者もいる。

 でも私はそれはしたくない。

 付き添いで長時間いる場所は、治療を行う処置室なのだ。

 私が禁止行為をして、危険にさらされるのは身内なのだ。


「カクヨム」の小説は、病院では死んでいる。

 必要とされている所で、読む事が出来ないのだ。

 そこで私は思った。

「電子辞書で読めたらいいのに」

 私は、CASIOのEX-wordと言う電子辞書を持っている。

 これなら通信機能自体がないから、病院でも使える。


 ざっくりとした考えはこうだ。

 スマホにカクヨム用のマイクロSDを差し込む。

 カクヨムにアクセスして、持ち出し機能でめぼしい小説のテキストを、マイクロSD内に、コピーするのだ。

 連載小説は、一括でコピー出来れば便利だ。

 それを電子辞書のライブラリー機能で読むとか、コンテンツの追加機能で読めればいい。

 スマホから抜いたマイクロSDカードを、電子辞書のスロットに差し込んで、小説が読めると言う仕組みだ。


 これなら病院内でもカクヨム小説が読める。

 ある程度読める環境になれば、自主企画にも参加して、読み合いだってできる。


 もっと言えば、介護で病院内に長時間居る介護者が、暇つぶしにカクヨムに登録するかもしれない。

 入院患者が登録するかもしれない。


 繰り返し言うが、本来病院内は、小説が活躍できるステージなのだ。

 病人に、介護者に、活力と知恵を与えるかもしれない。

 そんな事は、角川の編集者もよく分かっている。

 だからこそ、病院で使える端末に持ち出しできる機能がないのは、もったいないのだ。


 ぜひカクヨムに持ち出し機能を。



 そして、病院で時間を失っている介護離職者たちにベーシックインカムを。

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