大晦日に退院
母は大晦日に退院した。
コロナ禍でなければせん妄対策をしながら、大事を取って年明けまで入院をすると言う選択肢もある。
担当医からどうするか聞かれた時に、
「治療が終わったのなら退院します」
即答した。
せん妄と天秤にかけたら、せん妄が出る前に帰宅した方が良いと思ったからだ。
圧迫骨折で入院していた時のカンファレンスで、相当きついせん妄が出ていたと聞いていた。
せん妄の方で大事をとったのだ。
入院中は、点滴で止血剤の治療をしながら、輸血もしていた。
大腸カメラで検査をした時にはもう出血は止まっていた。
胃カメラの検査はしなかった。
嫌がっていた内視鏡の検査をすることになっていたので、なおさらせん妄には警戒していたのだ。
大晦日の朝、外は雪が積もって真っ白だった。
家の前の道路、門扉から玄関までの雪かきをする。
スロープは入念に雪を掃いた。
滑って転んで再入院は嫌だ。
車椅子を上げるためには、少しの雪も残せない。
母の退院は、昼食後の午後にお願いしているのだが、午前に一度病院へ行く。
年明けまでの入院を想定して、着替えやタオルその他の必要なものを持ってくるように言われていたので、結構な荷物なのだ。
それを持って車椅子を押すのは不可能。
だから朝、荷物だけを取りに行った。
看護師に病室に入れてもらって、母を見る。
私に気付いて表情が戻る前の顔は、明らかにせん妄のリスクをはらんでいた。
大晦日退院は正解だと確信する。
持ち帰る荷物をまとめて、病院を後にした。
午後、母を迎えに行く。
病棟に入ってすぐ、ナースステーションで入院計画書にサインを求められた。
救急で入院した上にコロナ禍で、手順はめちゃくちゃだ。
他にもいくつか書類に署名して病室へ入る。
病室は少し熱いくらいの気温だ。
着替えて帰るよりも、パジャマの上に着こんで帰る方が温かいと思った。
そう思って持って行った私のオーバーパンツをはかせていると、股の所が大きくほずれている事に気づいた。
ショックだ。
幸い破れている訳ではなかった。
縫い合わせている糸がほずれて、大穴が開いていた。
帰ったら縫い直すことにして、とりあえずそのまま履いてもらった。
上はロングコート。
掃除をして、残った荷物をまとめたら、準備が出来た事を看護師に伝えた。
看護師は順番に二人来る。
忘れ物がないか、二重チェックをするのだそうだ。
最後に、入院時に持って行った処方薬を返してもらう。
カルシュウム剤のテリボン注射は冷蔵庫保存。
暖かい部屋に長時間置きたくない。
看護師たちに挨拶をして、病院を後にした。
短期入院で済んだことと、出血で入院していたこともあって、身体は拭いてもらっていたが、入浴はしていない。
さすがに退院日に入浴するのはしんどいだろうし、時間的にも無理がある。
準備をして入浴。
後片付けをして、洗濯。
なんだかんだで四時間近くかかるのだ。
結局元日に入浴することになった。
やっぱりお正月もない介護離職者たちにベーシックインカムを。
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