第23話

23話





転移ゲートを抜けるとそこに広がっていたのは20階とはまた違った幻想的な雰囲気の水の都といって差し支えのない町だった。


転移ゲートはギルド出張所の横に建物がありそこから町へと出ることができるため全体を見たわけではないがそれでも凄いと思うだけの光景だ。


人は水路を船で移動したりもしているようでその水路は見渡す限り町全体を網羅しているのだろうと思われる。


また、水の色もエメラルドのような綺麗な色をしている。



「きれいだな。なぁ、シュリ?」


「あぁ、ホントにきれいだな。」


「シュリもわかってくれるのか!」


「あぁ、あの飴細工がきれいだ。」


「おい!」



シュリが見ていたのはエメラルドのような色の飴で作られた細工飴だ・・・



「さて、ギルド出張所で宿どこがいいかきいてくるか。」


「私はあの飴買ってるからな!」


「はいはい」



俺は一人ギルドの中へと入った。



「こんにちは。」


「こんにちは。本日はどのようなご用でしょうか?間違いでなければ初めての方ですよね?」


「ええ、さっき転移ゲートで40階へきてこの町での拠点とする宿や注意事項など聞こうときたんだ。」


「ゲートでと言うことはあなたはカイル様ですね。」


「えぇ、ですがなぜ?」


「本部より通達がありましたので。」


「あぁ、そうか。それでこの町での決まりとかあればしりたいのだが?」


「はい、それでは説明させていただきますね。この町は見てわかるとおり、水路が交通の要所となっており、至るところに鮒乗り場があります。もちろん歩道もあるので徒歩での移動もできますが船での移動や買い物が主となります。また、景観を生かして定期で一般解放も行っておりますのでゴミの処理は厳しくしておりますのでゴミ箱へ必ず入れるようにしてください。それから、オススメの宿ですが月輪亭がいいかと思います。食事が美味しいのはもちろんお風呂もありますので!

それで、月輪亭ですがギルド前の船乗り場で行き先を言ってのれば前までつれていってもらえます。」


「わかった。ありがとう。食事が美味しいのはありがたいからな。それじゃぁ、またくるよ。」


「はい。」



俺たちはギルド出張所から出て目の前にある乗り合い船の乗り場へとやってきた。


そこにはいくつかの船が停まっており順番に客を乗せて動くようだ。


先に来ていた他の客を乗せて1艘の船がでていった。

そのあと、俺たちの順番となったので先頭の船へと乗り込んだ。



「どこまでいくんだい?」


「月輪亭まで頼む。」


「月輪亭か、わかった。」



と、行き先を伝えたあとはほかの乗船客にも行き先を聞いていく。

たまに降りていく人もいるのが気になったので動き出したタイミングで船頭さんに聞いてみた。



「なぁ。どうしてせっかく乗ったのに降りた人がいたんだ?」


「ん?お客さんこの町ははじめてかい?」


「あぁ、今日来たところだ。」


「そうか、なら知らなくても仕方ないな。先に乗った客の行き先によっては自分が行きたい所と方向が違うとわかると移動に時間がかかるから降りて次の船にのるんだ。

そうしたら自分が初めに乗れるから行きたいところに早くつけるだろ?」


「あぁ、そういうことか。時間に余裕があれば乗っててもいいけど移動に時間を取られたくないときはそうしたいほうがいいんだな。

ありがとうたすかったよ。」


「いいんだ。そうだ。ようこそ40階へ!」



それから、俺とシュリは船の上から町の様子を楽しんだ。

まぁ、シュリは食べ物を売っている所を注意して見ていたようだけど・・・



「お客さん月輪亭前についたよ。」


「お、着いたのかありがとう。シュリいくぞー」


「もうついたのか?早くなかいこう!」


「はい、はい」



さっさっと降りていったシュリを尻目に俺は船頭さんに代金を支払いあとをおった。



月輪亭の外観は綺麗な白い壁で覆われた作りでとてもきれいだ。

中にはいるとエントランスとなっており、奥に受付があったのでそちらに向かうとシュリがムスッとした顔で待っていた。



「カイル!遅い!」


「たく、仕方ないだろ。支払いだってあるんだから。」


「いらっしゃいませ。本日はお泊まりですか?」



と、受付の女性が声をかけてきた。

この人この雰囲気のなかでマイペースだと?



「ええ、とりあえず1週間で」


「わかりました。食事は朝はつきますが昼と夜は朝に声をかけていただいた場合にお出ししています。」


「わかりました。とりあえず今日は夜はお願いしたいのだけどいいか?」


「はい、大丈夫ですよ。」


「それからギルドカードをお出しください」


「あぁ、支払いか。」


「はい。昼食と夕飯はお食べになる際に都度お支払していただければと思います。」


「んー、めんどくさいな。とりあえず夕飯は毎日出してもらうとして先にしはらってもいいか?もし要らないときは朝にいうから」


「はい、構いません。他にもそういったお客様はいらっしゃいますので。」



俺は支払いを済ませてから鍵を貰いそれぞれ部屋へと一旦入ることにした。



「さて、特に荷物はないからなぁ。まぁ、後でシュリに必要な生活用品は渡さないといけないけど」



ガチャ!



「カイル!」


「ノックしろよ。で、なんだ?」


「私のカバン出してくれ!」


「あぁ、後で渡そうと思ってたけど今ほしいのか。ほらよ。」


「ありがとう!」


「こら!扉くらい閉めていけ!━━━全く・・・」



さてと、しばらくしたら昼食食べにでてから町を観て回るかな。


俺も荷物少し出して整理するかな。

着替えはあの棚に入れて・・・


そうして俺は荷物を部屋に置いてから部屋を出るとちょうどシュリも出て来た。

シュリにお昼を食べに行く話をしたところ、もちろん行くというので二人連れだって町へと繰り出━━━す前に受付でオススメの定食屋を聞くことにした。



「すいません、近くで美味しい飯が食べれるとこおしえてくれないか?」


「はい、いいですよ。それでしたらここを出たあと右に行きすぐにある頑固亭がおすすめです!」


「そこは肉はうまいのか!」


「はい、むしろお肉を押してます!」


「そうか!カイル早くいくぞ!」


「あ、まてよ!どうもありがとう!」



俺は出ていったシュリを急いで追いかけた。

いわれた通りすぐに頑固亭は見つかったが満席のようでシュリが入り口辺りでたっていた。


追い付いたところで頑固亭の店員さんがやってきた。



「何名様ですか?」


「二人だ。」


「相席で良ければあちらが空いておりますが?」


「シュリ相席でもいいか?」


「ああ!」


「そうか、そしたら相席で頼む。」


「わかりました。それではどうぞ。」



と、あらかじめ相席をお願いしていのか一つのテーブルへと案内された。



「お客様相席の相手がみつかりましたよ?」



と、先客━━━茶色系統のローブを頭から深めに被った者へと話しかけた。

見たところ小柄なようだが━━━━さて、


ローブの人物はうなずくだけで声は出さなかった。



「それではそちらの席におすわりください。メニューはあそこに書いてある品書きからお選びください。決まりましたら声をかけてくださいね!」



と、店員の女性は言い残すと離れていった。



「とりあえず相席感謝する。」



声をかけるとまたうなずくのだったが、一体なにが目的なのか━━━まぁ、関係ないか



「シュリは決めたか?」


「あぁ!あれとあれとあれをとりあえず頼もうと思う!」


「人気メニューランキングの1位から3位か━━━俺はオススメ定食だな。

すいませーん」


「はーい!」



俺は店員を呼び注文をした。


その間シュリは周りをキョロキョロと見渡し美味しそうな食べ物を物色していたが、俺はもう一度ローブの者を見てみた。


すると視線を感じたのかみじろいだ。



「おっと、不躾な視線を悪いな。ただ、俺もあんたに少し興味があってな。わざわざ相席を店に頼むやつがどんなのかってな。」



すると、しばらく無言だったが突然ポツリと



「私とパーティーを組んでくれないか!」



と、突然立ち上がり頭を下げてきた。

それには少し驚いたが・・・



「それは、どうしてだ?」


「わけは、「お待たせしました。」」


「とりあえず食べながら話を聞かせてくれ」



注文した料理が運ばれてきたのでシュリは放っておいていいとして、俺のは━━━メインに厚切りのステーキ(謎肉)とステーキにかけるだろうソースに子供の顔くらいの大きさのパンとスープにサラダとが付いたものが目の前に現れていた。

肉は500gはあるな・・・

かなりボリュームがあるがまぁ、普通に食べれるな。


ここ最近いくらでも食べれるからなぁ。



「さて、食べながらで悪いが聞かせてくれ」


「あ、あぁ。」


「あぁ、こいつは気にするな。」


「わ、わかった。」



シュリのたべっぷり見たら引くわな。



「その前に自己紹介させてほしい。私はマキナだ。」


「俺はカイル、こっちがシュリだ。」


「私はここまでソロで潜ってきたが限界を感じてパーティーを組んでくれる相手を探していた。」


「なぜ、最初からパーティーを組まなかった?」


「それは、私が・・・」


「ハーフリングだからか?」


「あ、あぁ。わかるのか?」


「まぁ、何となく?」


「そうか。珍しい種族だからか下手にパーティーを組むと捕まえられたりするからと聞いたことがあってそれで・・・」


「俺たちだって捕まえるかもしれないだろ?」


「あなた達からは悪い人の臭いがしないから」


「ふむ?」


「まぁ、それでそれだけが理由でないのだろう?」


「ええ、まぁ。昔このダンジョンから出たことのあるアイテムでどうしてもほしいものがあってそれを手にしたいんだ!」


「そうか。そのアイテムの名は?それとその話し方無理してないか?普通に話していいぞ」


「わかったわ。ありがとう。欲しいアイテムは月光の雫石という、鉱石なの。それを使って作りたい装備があるのよ。」


「そうか、それでなんで俺たちなんだ?」


「見た瞬間この人だ!って思ったからじゃダメ?」


「ふむ、まぁ。人を観る目はあると言っておこう。それとマキナは何が得意なんだ?」


「隠密行動と罠などの解除が。」


「ほう。シーフ系統か。ある意味ではわたりに船か?」


「手伝ってくれるの?」


「あぁ、というか、俺たちは明日から潜ろうと思っていたからちょうどいい。それに本職のシーフは願ったりだ。ここまでソロで来れる実力もあればな。」


「疑っていないんだね。」


「それはな。悪いと思ったが鑑定させてもらったから能力は信じるさ」


「そっか。でもいいの?」


「なにがだ?」


「シュリさんに相談しなくて」


「あぁ、いいんだ。━━━なぁシュリ?」


「もぐもぐ、あぐ、うぐ、うん。」


「な?」


「えー」


「まぁ、とりあえず宜しく。それと俺たちは月輪亭にいるからなにかあれば来てくれ。それとマキナはどこにとまっているんだ?」


「私はここに。」


「あぁ、ここは宿もやっているのか。」


「それじゃぁ、食事のあとはどうするの?」


「町を観てまわろうかなって思ってる。」


「それなら、案内しましょうか?」


「お、いいのか?」


「ええ、もちろんよ。それにお互いのこと知らないとパーティーなんて組めないでしょ?」


「だな。」


「そう言えば、私はこれでもBランク冒険者なのだけど。あなたたちは?」


「あぁ、いってなかったな。俺たちはSランクだ。」


「え?えーーーーー!」







□□□□






食事の後俺たちはマキナに案内され町を観てまわっている。

最初は町の名所をまわった。

名所と言うだけあって凄く綺麗だった。


この町に流れる水がどこから来るか、それは町の中央にある小さな池から湧き出した水が流れているらしい。

その池は光輝く幻想的な池といったら失礼なくらい綺麗な水源だった。


そしていま、向かっているのはマキナオススメの鍛冶屋らしい。



「ここよ!」


「思ってたより小さい店だな。」


「そりゃぁ、個人経営だし。だけど腕はいいわよ!」


「へぇ。」


「早く入ろう!」


「シュリ・・・」


そうして俺たちは中へと入るために店の扉にてをかけた。


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