第22話
22話
翌朝俺とシュリは早速ダンジョンへ潜るためにギルドへとやってきた。
ダンジョン内で必要そうなものなどいろいろあるのだがこの1年でアイテムボックスの中に詰め込んであるので補給がなくとも半年くらいは過ごせるだけの物資をもっているので準備らしい準備は不必要となっているためこうしてすぐにダンジョン探索へ迎えることができた。
で、今日は初日という事で1階を見学して明日から40階へと転移させてもらおうと考えている。
そのためダンジョンの入り口前で入場待ちをしているところだ。
ダンジョンの入り口はギルドの受付などがあるフロアから少し奥へ行くと階下へ降りる階段がありそこから向かうことができる。
ダンジョンの入り口は想像では洞窟のようなものを思い浮かべていたのだが何の金属かわからないような素材でできた重厚感のある立派な門だった。
「うわー。」
「なにを呆けているのだ?」
「シュリはこれを見て驚かないのか?」
「まぁ、すごいとは思うがそこまでとはな」
「お、お前たち初めてか?それならこの門をみて驚くのも無理はない。まぁ、そこの姉ちゃんはちがうみたいだがな!」
と、前に並んでいた見知らぬ30くらいの年齢の男性冒険者に話しかけられた。
「えぇ、昨日着いて早速中を見てみようかとおもってな。」
「まぁ、ケガはしないようにな!がんばれよ!」
と、言いながら背中をバシバシ叩かれたが悪い来はしなかった。
それにしてもシュリは歴戦の冒険者にでもみえるのだろうか?
まぁ、たしかに歴戦のオーガだけど。
「次のかた」
「あ、はい」
「ギルド証をみせてください。」
「「どうぞ」」
「!!━━━お二人ともSランク!40階へいかれますか?」
「んー、ダンジョンははじめてだから今日はとりあえず雰囲気を味会うために1階からみてみるよ。」
「わかりました。それではいってらっしゃいませ。」
「ありがとう」
そして、俺たちはダンジョンの中へとやってきた。
「ふむ」
「ふつうに洞窟だな」
「だよな」
ダンジョンの中はシュリが言ったとおりごくありふれた洞窟といった様相だが自然の洞窟ではなくどこか人工的な感じもするものだ。
だが、坑道などのような補強されたりとかもなくそれでいて見た目ではかなり頑丈そうにみえるので崩れるとかはなさそうだ。
「不思議な空間だよなぁ。人工的であり自然的であるような、それでいて外とは切り離されているかのような感覚もある。」
「あぁ、たしかにそうだが戦いが待っていると思うとワクワクするな!」
「たく、シュリは戦闘と食べ物が優先なんだから」
「よく食べよく戦うのが生き甲斐だろ?」
「他にあるだろ。まぁ、いいけど。さて、とりあえず試したいことあるから少しまっててくれよ」
俺はここでダンジョン探索のために編み出した魔法の一つである『マッピング』を発動してみた。
この魔法は発動させるとアイテムボックス内に入れてある紙に自動で調べたフロア情報を書き上げることができる魔法だ。
一応構造や罠あとは出てくるモンスターの種類まで書き込むことができるようになっている。
「さて、うまくいったかな?」
「どうなのだ?」
「うん!うまくいってるみたいだ。事前に購入していたマップ通りみたいだから」
「そうか!それじゃぁいこう!」
「まて、まて、あわてるなって。」
「まだあるのか?」
「あぁ、次は込める魔力を増やすと他の階層の、情報も得られるかを調べたいんだ。」
「早くな!」
「わかったわかった。」
さて、どうだろうな?とりあえず前回でやるか。
んー?なんか感覚的に空間に魔力を満たしただけか?
マップはっと。
「あぁ、だめだな。フロアごとに空間が違うみたいでこの魔法ではできないから空間属性を足したものでそのうち試すかな?」
「よし、いこう!」
「はいはいっと。でもこの階層はゴブリンとか雑魚しかでないからな。」
「それでもワクワクがとまらないぞ!」
「全く、でも今日はさっさとでるからな。明日から本格的に探索するから」
「わかってるけど早く行こう!」
こうして俺たちは初のダンジョン探索を開始したのだが、まぁ問題もなく地図もあると言うことで階段まで最短距離で進みサクサクと4時間程で19階へとやってくることができた。
正直ここまで来る気はなかったんだが、それにしても・・・
「カイル、ここには少し歯応えがあるやつがいそうだな。」
「あぁ、空気がかわったからな。もしかしたら俗に言う守護者が沸いているのかもな。」
「楽しみだな。」
「まぁ、レイドが始まっていないことをいのっておけ。」
「むう、いそぐぞ!」
「はいはい」
そして、守護者がいると思われる空間へと続く通路を通ると少し開けたところにいくつかのパーティーが休憩していた。
これは、守護者討伐レイドかな?とりあえず挨拶しとくか
「どうも」
「おう、見ない顔だな?新人か?いや、雰囲気的に強者だな。俺はゲイルっていうもんだ。」
「俺はカイルでこっちがシュリだ。これは守護者討伐レイドか?」
と、ゲイルと名乗る30近くにみえる冒険者の一人━━━まぁ、このレイドのリーダーと思われるヤツと話してみることにした。
「あぁ、そうだ。」
「俺たちも参加していいか?」
「いや、既に報酬の分配も決めているからそれは遠慮してもらいたい」
「いや、報酬は要らないからダメか?」
「んー」
「いいんじゃないかい?」
「アンジェか。」
「見たところかなり強そうだ。戦力が増えて報酬が変わらないなら願ったりだろ?」
「まぁ、そうだが。」
「それなら、よろしく頼む」
「あぁ、よろしく頼む。━━━みんな聞いてくれこの二人カイルとシュリが急遽無給でレイドへの参加となった。よろしく頼む。」
「みんな宜しく!」
「よろしく!」
と、言うわけで参加することになったのだが今から役割やらの打ち合わせを急遽することになった。
まぁ、突然増えたら連携の問題でそうなるよな。
「━━━それで、二人はなにができるんだ?」
「俺は万能型だから全てかな?得意武器は槍だ。」
「私は、近接戦が得意だ。」
「得意と言うか、それしかしないからこいつ。」
「あぁ、バトルジャンキーっぽいものな。彼女。」
「あ、わかる?」
「あぁ。さっき少し話してたアンジェもそうだから近いものが・・・」
「そっか」
「でだ、シュリは前衛は確定だがカイルお前は?」
「どこか手薄なとこはあるのか?」
「まぁ、そうだなぁ。せっかくの万能型なら遊撃で危ないところの手助けをお願いしたいかな?」
「わかった。まぁ、そう心配しなくても大丈夫だと思うがな。」
「ふむ?」
それから細かな最終打ち合わせをしたあと守護者の元へとやってきた。
もちろん守護者の特徴や弱点などもきいているので問題はないと思われる 。
というか、シュリの攻撃に耐えてくれるのか心配である。
「それじゃぁ、いくぞ!」
『おーーーー!』
と、総勢6パーティーからなる32名での守護者討伐がはじまった。
種族名 ゴルディオガード
ゴーレム系のAランクの魔物
ダンジョンが作り出したセーフエリア侵入を防ぐ為のガーディアンで広範囲に渡るアースクエイクが得意
ふーん、見た目は何かの鉱石が混ざった石の集合体で人のような形のごつごつとした身長4m程の巨体だがガーディアンねぇ。
「まずは前衛で注意を集めてくれ!アンジェ頼むぞ!」
「まかせな!」
そういうと、アンジェは何かスキルを発動させながら守護者に殴りかかった。
「なんどやっても固い!」
「固いなら殴りがいがありそうだね!行くよ!」
と、シュリが殴りかかっのだがすごい音と共にゴーレムが崩れた・・・
「ん?なんだ?だいぶやわらかいぞ?というかもう終わりか?」
「あのなぁ。シュリお前がスキルを使わなくても本気目で殴ればAランクモンスターなんてこんなもんだぞ?」
「むー」
「むくれてもダメだ。」
「だってー」
と、しばらく宥めているとふと周りが静かなことに気がついた。
「あのさ、どうした?」
「は!」
「で、どうしたみんな?」
「いや、シュリがあまりにも強かったから」
「あぁ、これでも俺たちはSランクだからな」
『なーにー!!』
とレイドのメンバーみんなからの盛大な驚きの声をもらった。
「そんなに驚くか?」
「あ、あぁ。まさかSランクに会うとは・・・。それにしても凄まじいな。」
「そうだねぇ。これがSランクかい。」
「あははははは」
それから、レイドに参加したメンバーにいろいろ聞かれたりして大変だったがダンジョンの見学はとりあえずこれで終わってもいいだろうということになった。
そして、20階へと進むと目の前に広がる光景に目を奪われた。
「これは」
「凄いな!カイル!」
「あぁ、ダンジョンの中にこんなに綺麗な自然の森と町並みがあるとはな」
「なにか美味しいものあるといいな!」
「シュリおまえなぁ」
「早くいこう!」
「おい、ちょっとまてって!」
「さすがのSランク冒険者でも驚くんだな。」
「そりゃぁ、これをみたら驚くさ!」
「それはよかったぜ!まぁ、ゆっくりしていきな!」
「あぁ、といいたいが今日は少しみたら帰るよ。」
「そうか、また来ることがあれば声かけてくれその辺できいてくれたら俺の居場所はすぐわかると思うからよ!」
「わかった!」
俺はゲイル達と別れ、シュリを追ってダンジョンの20階にある町へと向かった。
暫くするとシュリを町の手前でなんとか見つけ一緒に中へと入った。
とくに町へ入るための手続きなどは無かったのだがいいのだろうか?
とか思っていたらシュリが早速匂いにつられて一つの屋台へと向かったのだが・・・
「ん?ねぇちゃんこの町ははじめてだな?」
「ん?あぁそうだが?」
「やっぱりか。財布をだしていたからな。」
「お金を払うのに財布をだすだろ?」
「この町というかダンジョン内の町ではギルド証で決済するんだ。ギルドでお金を預けてそれをカード間やり取りをすることになっているんだ。」
「なに!お金をギルドへ・・・」
「へぇ、そうなのか。おっちゃんあとで買いに来るからこの町でのギルド出張所教えてよ」
「あぁ、いいぞ。といってもすぐそこだけどよ。」
と、いわれ指を指された方へ顔を向けるとたしかにギルドとかかれた看板があった。
「ありがとう。シュリいくぞ」
「あぁ・・・、食べたかった。」
「後でな。」
名残惜しそうなシュリを引きずるようにギルド出張所へと足を運んだ。
そこには受付が2つほどありそのうちの一つに向かい話を聞いてみた。
「それでは入金ですがいくら入れますか?」
「それでは二人ともにこの額を入れておいてください。」
「か、かしこまりました。」
と、俺は二人分のお金を渡した。渡した額は地上で普通の宿に1年は泊まることができるだけなので正直一財産といえるまとまった額だ。
だからなのか少し受付の人がひきつった顔をしていた。
そのあと、シュリと約束通りさっきの屋台へと戻り食べ物を売ってもらい近くでさっと食べたがなかなかの味でまた買いにこようと誓った。
食べたあとは地上へもどり宿へと帰宅した。
そして、翌日俺たちは40階へと向かうための転移ゲートの前にいた。
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