第21話

21話




迷宮都市に着いたあと皆と別れ俺とシュリはギルドへと向かった。


ギルドへは他の皆と向かえばよかったのだが少し街を見たかったのでゆっくり向かうということで一緒には向かわなかった。


ただし、場所は迷宮都市と言われるだけあって冒険者が中心の街でギルドは街の中央にありどの大通り(馬車が片側2台並走出来る)からでも向かうことが出来るので迷うことはないが少しそれると迷路のようになっているので大通りから外れないように気を付けなくてはいけなかった。


そして、ギルドまででの道のりでの街の感想と言えば実用的に作ろうとしていろいろやったら混沌としてしまったって感じの街並みだった。


また、建物だが門に近いほど他の町でも見かける建材で建てられていたが中央に近くなるにつれちょっと鑑定してみた結果、ほぼ迷宮でとれるであろう素材で建てられていた。


まぁ、それはわからなくもない。

なぜならこの街が出来た当初は近くに大きな街もなく辺鄙なところにあり資材を運ぶのも大変だったのだろうから迷宮でとれる素材で作るとなったのであろう。

今はこの街の発展と共に周辺に貿易が盛んな街ができたり、辺鄙な田舎町ではなくなってきている。


むしろこの国で上位に入るくらいの街となっておりほぼ都市といっても良いのかもしれない。



そんなことを考えているとギルドの前に来ていた。


ここのギルドは、王都を含め他の街にあるギルドと違いダンジョンを管理するという名目通りダンジョンの真上にギルドがたっており、ギルドの一角からダンジョンへの出入りが可能となっている。

また、このギルドは東西南北の大通りから入れるように入り口はそれぞの大通りに面した4つがある。


そんなギルドの外観はというと砦といってもいいような造りになっているがそれはダンジョンが氾濫を起こしたさいに食い止める為にやくだつようにで来ているらしい。


だからなのか入り口から中へと入るとそこは建物の中ではなく演習場のような広場のようなものになっており訓練スペースのようなものもあり修行などができるようになっていた。

また、そこらにいる冒険者になんでこんな風になっているか聞いたところモンスターが溢れた時に閉じ込めておくスペースだという。

また、ここで戦うことも念頭におかれているとか。


さらにその演習場は東西南北で壁で仕切りがされていたりする。


そんなギルドの外縁部を抜け中央にある建物へと足を運んだ。



「やっと着いたな。」


「歩いてきたからか意外と大変だったな!」


「とか言いながらあちこちの屋台で買い食いしてたのは誰だよ。」


「いやー、小腹がすいてさぁ。」


「たく、相変わらずシュリは食い気が多いよな。」


「そりゃぁ、調理された肉があんなにうまいとは思わなかったからな!」


「ここでぼさっとしてても始まらないし受付いくぞ」


「はーい」



俺とシュリは幾つもある受付の中で適当に空いている所に向かった。


空いているといっても時間的に混む時間帯ではないのだろうが・・・



「こんにちは、本日はどのようなご用件でしょうか」


「こんにちは。今日は初めてこの街に来たからダンジョンについてといい宿を紹介してもらいたいんです。」


「冒険者の方はだったのですね。ようこそ迷宮都市へ、あなた方のご活躍を期待しています。」


「その、常套句みたいなの始めてきた人皆にいっているのですか?」


「えぇ、初めて来た人たちへの決まり文句ですね。それにしても普通に話してもいいですよ?」



この受付の人いや、お姉さんには俺があまり丁寧なことばが得意ではないとばれているようだ。



「それではお言葉に甘えてそうさせてもらうよ。」


「はい、それではまずダンジョンについて知りたいとのことですが何処から知りたいですか?」


「とりあえず簡潔に全部?」


「わかりました。それではご説明します。」



受付のお姉さんいわく、

ダンジョンとはいくつもの階層がある生きた遺跡で地下型か登頂型など幾つかの種類があるそうだ。ただし共通して言えることは最深部にある迷宮核と呼ばれる魔力の塊の石を破壊するまで成長し階層を増やしていきさらにモンスターや鉱石や薬草などといった様々な素材を生み出してくれる有難い施設であること。

ただし、モンスターはある程度倒さないとダンジョンからモンスターが溢れ氾濫を起こすこともある危険な施設でもある。

そして、不思議なことにダンジョンで産み出されたモンスターは倒すと素材か魔核と呼ばれる魔力結晶を落とし死体は消えて無くなる。

もちろん人も死ねばダンジョンに取り込まれ跡形も無くなるそうだが装備については一旦取り込まれたのちに何処かの宝箱と呼ばれる様々なアイテムが入った箱から出てくることもあるそうだ。

また、ダンジョンには罠も設置されていたり、モンスターも階層を進むごとに強く多様になっていくそうだ。

そんなダンジョンは『修練と褒美の試練』と呼ばれたりするそうだ。



「と、ダンジョンの一般的な説明はこのくらいですがこのダンジョンについて聞いていかれますか?」


「もちろん!」


「それではご説明させて頂きます。まず、このダンジョンは未踏破ダンジョンで地下へと潜っていくタイプのダンジョンです。最下層が何階なのか判明していません。」


「因みに最高到達階層は?」


「“現在”は地下54階です。」


「現在はですか。過去には?」



そう、俺が聞くとクスッとお姉さんが笑った。



「失礼いたしました。過去には79階まで行ったパーティーもありましたが現在は高ランク冒険者は居ないため55階のボスで立ち往生しています。」


「55階のボスはなんなんですか?」


「Aランクのモンスターが出現するそうです。出現するモンスターの情報開示は45階を踏破されたら開示許可がおります。」


「へぇ、もしかして様々な情報の開示には踏破階層が関係するとか?」


「はい、ですが冒険者ランクによっては踏破階層に関係なく情報開示を行っています。また、あなた方には関係がないかも知れませんがAランク以上の会員のいるパーティーであれば始めから40階層にあるダンジョン街への転移門の使用許可もおります。」


「え!ダンジョンに街が?」


「はい、街というか町ですがあります。Aランク以上以外だとそこまでいけば転移は認められています。このような町は20階にもあり、20階と40階はなぜかボス討伐後その階はモンスターのわかないセーフエリアと呼ばれるものへとかわり、その前の階で階段を守る守護者的なモンスターが定期的に出るようになりました。また、守護者はその階層に出るレベルのモンスターではあるのですが適正レベルの冒険者パーティー一つでは討伐まで数時間かかることもあるためレイド推奨となっています。」


「へぇ、レイドかぁ。」


「カイルよ、歯応えがありそうだな!」


「あぁ、そうだが俺たちにはどうだろうな。」


「すみません。忘れていましたがお二人のギルドカードを拝見させていただけませんか?その方が説明の制限を気にせずはなせますので。」


「あぁ。そうですね。」



俺とシュリはギルドカードを見せた。



「え?」


「なにかありました?」


「い、いえ!まさかSランクの方とは知らず申し訳ありません!」


「あぁ、見た目もですが実年齢も16歳ですから低ランクだと思いますよね。気にしていないのでいいですよ。な、シュリ」


「そうだな!」


「それではさらなる説明をいたしますね。ランク的には無制限の開示ですのでお聞きしたいことをお答えします。」


「んー、そしたら41階のモンスターのランクとギルドで販売しているダンジョンの地図をください。」


「はい、まずモンスターのランクですがCランクとなります。50階までがCランクモンスターを中心にたまにBランクが出ますが51階からはBランクが中心となります。また60階からはAランクも混じって来るそうです。モンスターの種類ですが」


「いや、それはお楽しみが無くなるからいわなくていいよ。階層が深くなるほど強いモンスターがでるのか。それにしてもそのくらいならSランクの人が入ればさくさくすすみそうだけどなぁ。」


「それは、高ランク冒険者のみでのパーティーというものがないのと高ランクの人はここよりもさらに難易度の高いダンジョンや未踏破地域のダンジョンを見つけて入ったりしているから管理されたダンジョンへはあるのであまりこないのです。」


「それに、普通はそこまで上がる前に挑戦するから高ランクはいないのかな?」


「えぇ、それもたしかにありますね。なのでカイルさん達が挑戦していただけるのはとても楽しみなのです。」


「まぁ、無理せず勉強するからみててよ。そろそろ宿について教えてほしいかな、飯が旨いところで。」


「はい。カイルさん達のランクですとお勧めはセシルの宿と言うところがいいかと。ギルドの北門をからでた通りをまっすぐ行くと左手に看板がみえるのですぐわかるかと思います。」


「セシルの宿か。ありがとう。とりあえずいってみるよ。」


「カイル早速行こう!そしてはやくご飯たべよう!」


「はいはい。それでは」



俺とシュリはギルドの北門から出て通りを少し歩くと言われた通り左手に看板が見えた。



「ここみたいだな。」


「はやく入ろう!」



シュリに急かされ中へと入った。外観は迷宮素材で作られたと思われる老舗感があったが中はとてもきれいで清潔感のあるエントランスだった。



「いらっしゃいませ!」


「二人なんだけど二部屋借りれないかな?」


「二名様で二部屋ですね。一泊銀貨7枚で朝食がつきます。夕食をつけられるなら追加で銀貨2枚頂きます。また、昼食は弁当を前日に言っていただければお作りしますが銀貨1枚頂きます。」


「結構安いですね。」


「ええ、ギルドと昔から提携していて食材や魔核など安く卸してもらっているのでその分安くできているんですよ。」


「そうなんですね。あ、俺はカイルでこっちがシュリだ。暫くよろしく頼む。」


「よろしく!」


「はい。よろしくお願いします。それで何泊されますか?」


「とりあえず2日かな?気に入れば追加で長期で使用と思う。それと今晩の夕食はお願いしたいのと近くで美味しい飯が食べれるとこ教えてほしい」


「畏まりました。近くでということなら2件となりの定食屋がお勧めですよ。それとこれ部屋の鍵です。出掛けられるときは預けていただいて割符を渡しますのでそれをお持ちください。」


「ありがとう」


「部屋は上に登っていただいて鍵のはじめの数字が階数でそのあとが部屋の番号になっております」


「わかった。━━━シュリいこう」


「あぁ、はやく荷物置いて飯にしよう!」



階段を通り部屋へと向かった。シュリとは同じ階のようなので俺の部屋の前で別れて準備が出来たら下のエントランスで待ち合わせることにした。



「おー!綺麗な部屋だな。」



思わずコエガ出るくらいには綺麗な部屋で部屋を見てまわると簡易ではあるが魔核を嵌めると部屋でもシャワーを浴びることが出来るようだ。

これは有難い。あとで共用のものはあるか聞いておかないとな。


それからベッドはまぁ、それなりで魔核を嵌めれば使える魔道具がいろいろあった。

安いわけは魔道具を使うための魔核は全て実費だからのようだ。


さて、ぐずぐずしてるとシュリがうるさいしさっさといくか。



そのあと、シュリと飯をたべにいったが確かにうまかった!

食事のあとは魔核を幾つかギルドで買ってきてからそれぞれ部屋でシャワーを浴びて一休みして晩飯を食べたあとはその日は旅の疲れをとるためにはやく寝た。


因みに食事は美味しかったので夕食のあとすぐに暫く泊まることを伝えてとりあえず一月分の支払いを済ませた。


明日からはダンジョンへいかないとな!





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