迷宮都市編
第20話
20話
冒険者になって1年が過ぎた。
今日は教育期間の終了日だ。昨日挨拶周りはしたが師匠だけは捕まえれずに今日ギルドで待ち合わせることが出来たので俺はギルドのエントランスの隅で師匠と話をしている。
「カイルよく1年間、私の指導に着いてきたな!」
「師匠・・・」
「まぁ、なんだ、しみったれた感じは嫌いだから笑顔で送り出そうと思う。教育期間は終わったが私がカイルのし、師匠であることには変わらないからな!」
「師匠いい加減師匠と呼ばれるのになれてください。」
「あははは!それで、予定通り次はダンジョンのある迷宮都市にいくのか?」
「はい!ダンジョンには行ってみたいので今から楽しみです!」
「まぁ、ダンジョンは独特だから気を付けるんだぞ?」
「はい!俺にはシュリも要るのでたよりにしてます!」
「あぁ、そうだな!それにしても、シュリはどこにいるんだ?」
「あぁ、それならあそこです。」
指を指した先にはギルドの酒場スペースで厚切りステーキを頬張るシュリがいた。
「はぁ、こんなときでも食い気か・・・」
「まぁ、移動中は自炊なので今のうちに食い溜めするらしいですよ。」
「シュリらしいな。」
「えぇ、さてそろそろシュリも食べ終わるので行きますね。」
「あぁ、元気でな!また、どこかで会おう!用があればギルドで伝言を伝えればどこにいても連絡は取れるからな!」
「はい!では行ってきます!シュリいくよ!」
「ん?もういくのか?もう少し食べたかったが━━━わかった今いく!」
「待ってください!」
「クロナさん」
「よかったぁ。昨日挨拶はしましたが改めてお気をつけて行ってらっしゃい。」
「はい!行ってきます!」
シュリは残りを平らげると早足で近寄ってきた。
「パノラ、また戦おうな!」
「あぁ!」
「クロナにカイルは渡さない!」
「負けません!」
なんとも素っ気ない年頃?のお姉さんたちの会話だ。それにしてもシュリとクロナさんの会話はいったい?
□□□□
俺とシュリは迷宮都市行きの馬車乗り場へとやって来た。
迷宮都市までは王都から馬車で1週間だ。
まぁ、お金があるので普通の馬車出はなくて前のテイマーがテイムしたモンスターが引いてくれるので普通の馬車の倍の早さで移動できる魔馬車というものだ。
因みにこの魔馬車を引いてくれるのはこの手の魔馬車ではポピュラーなランドファングという体長3m程もある狼型のモンスターだ。
種族名 ランドファング
狼系のDランクモンスター
走ることに特化したモンスターで人との共存を選び人と共に暮らす家畜化されたモンスター
それに、高めの料金を払ったので馬車の本体は魔道具で車体が若干浮かぶようになっているので揺れがない仕様のものなので快適な旅が予定されているはずだ。
「こんにちは!予約していたカイルだ。」
「こんにちは。二人でしたね。料金は予約時に半額頂いているので残りを頂けますか?」
「はい、どうぞ。」
「━━━たしかに。それでは、あと二名来ますので暫く待っていただけますか?」
「わかりました。」
それから暫くすると残りの二人が来たので馬車が出発した。
この馬車は途中の都市などで補給しながら進む予定で一応3食付きで水は飲み放題だ。
理由は食事についてはマジックバックという空間魔法でカバンの中を広くした物で食料を運び水は魔力さえあれば出てくる魔道具を設置してあるためである。
ただし食事は必要最低限なので足りない分は自分で用意してくる決まりだそうだ。
それと、乗客以外では護衛の冒険者パーティー4人が同行している。
さすがに歩きだと置いていかれるのでこの護衛は馬車の後方に護衛用の馬車が連結されておりそこに乗っている。
ただし前方の警戒も必要なので一人は御者と一緒に前で座っている。
暫くすると御者の人が自己紹介をしましょうといってきた。
「まずは私から、私は今回御者を勤めるテイマーのクルスといいます。迷宮都市まで宜しくお願いします。もちろん途中で乗り降りがあるので最後まで一緒にいるのは護衛の方達とそこのお二人だけですが。もし、気分が悪いなどありましたら遠慮せずお申し付けください。また、トイレ休憩は2時間おき位に取りますのであしからず。」
「次は俺達だな。俺たちは迷宮都市から往復護衛を受けたCランクパーティーで【ミスリルの矛先】だ。そして、俺はリーダーのBランク冒険者でダノンだ。主にこの槍で戦う前衛だ。」
見た目は、茶髪で短髪の長身筋肉質な兄貴系だな。
「私は斥候と遊撃担当のCランク冒険者のミーシャよ。武器は短剣と索敵関係の魔法が使えるわ。」
次の女性は、青髪で後ろでひとまとめに髪を留めていて、小柄だが美人な人だな。
「次は僕だね。僕は魔法使いのCランク冒険者でグルスだよ。水系の魔法が得意だから回復もすこしつかえるかな?」
次の人は、金髪で王子様系の顔つきと体型で身長は高めでモテそうな人だ。
次の人は全身鎧で顔もわからないけどタンクだとはわかる大きな盾を持っている。あと、一人だけ革系の兜を着けていて性別がわからない。
「最後は私ね!私はタンクでCランク冒険者のナーシャよ!武器はこの盾なの!」
ん?紹介の時に兜を取ってくれたので大柄な女性だと見た目てわかったけど大盾が武器?タンクなら防具じゃ?なんか危なそうな人なのか?紫のキレイな長髪で筋肉質だがかなりの美人なのに残念系?
まぁ、これからの活躍をみてそこは判断だな。
「次はオレ達が自己紹介しますね。オレと彼女は夫婦で結婚した記念に王都観光したかえりなんです。それでオレがサイス、彼女がハーネです。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
うん、なかの良さそうな夫婦だな!
「次は俺だな。俺はSランク冒険者のカイルだ。万能系だな。」
「私は鬼人族のシュリだ。カイルとはパーティーを組んでいて同じくSランク冒険者だ。」
シュリはモンスターと言うことを隠すために鬼人族として暮らしている。バレても俺がテイムしているからいいけど。
余計な面倒ごとの回避のためだからそうしてもらっている。
「「「「Sランク!」」」」
「あんちゃんと姉さん!いや、カイルさんとシュリさんはSランクなんですか!その若さで凄いっすね!」
「あの、ダノンさんなんでそんな話し方に?さっきまでの感じはどこに?━━あ、まぁいろいろあって上がったんです。」
「こら、ダノンカイルさんが困惑しているからその話し方はやめなさい。」
「そうはいってもよ。Sランクなんて滅多にあえないんだぜ!」
「そうですよ。ダノン、僕達もそれなりに早い出世をしているのだから焦らずに行けばいいじゃないか。」
「たく、わかったよ。カイルさんすまんかった。でも俺のことは気軽にダノンって呼んでくれよな!それとカイルさんいまのしゃべり方違和感を感じるから普通に話してくれて構わないぜ!なぁ、みんな!」
「「「だね!」」」
「そう?それならわかったよ!シュリも━━━は普通にたさはなすよな。」
と、いうことでミスリルの矛先のメンバーと打ち解けることができ御者や新婚さんはSランクが同乗していることでかなり安心して旅を楽しむことが出来てきたようだ。
そして、初日の夜営家へと着いたので暗くなる前に準備に取りかかることになった。
「よし、シュリ適当に食べれる獣かモンスターを狩ってきてくれないか?」
「わかった。では行ってくる。」
「あぁ、頼んだ!」
「カイルさん、シュリさんに狩りをたのんだんだ?」
「えぇ、そうですよ。ミーシャさんももしかして行こうとしてた?」
「一緒に行って周辺の安全確認ついでに獲物を探したほうがよかったかな?って思って」
「あぁ、それなら大丈夫かなぁ。シュリあぁ見えてかなり探知能力あるから。」
「やっぱりSランクまで挙がる人達はちがうわねー。でも今だとSSランクまであるから最高位じゃないけどそれでも憧れるわ。」
「まぁ、SSランクの人とか次元がちがうからなぁ。」
「あったことあるんだ?」
「あるというか、師匠がSSランク万華のパノラだから暫く一緒に仕事させてもらっていたんだ。」
「えっ!私同じ女性として憧れているんだけど噂通りキレイな人?」
「美人だけど、結構さばさばしてるかな?」
「そうなんだ!うー会いたいなぁ!」
「それもいいけどそろそろ夜営の準備していいかな?」
「あ、ごめんね!」
ミーシャさんか離れたところで夜営用として持ち歩いている竈をだして火を起こしていつでも料理が出来るようにしておいた。
それを見ていた御者のクルスさんがやって来て今晩の夕食の準備で少し使わせて欲しいと言うので使わせてあげた。
まぁ、シュリが獲物を取ってきたら捌いてから使うのでまだ時間はあるので了解しておいた。
暫くするとシュリが鹿を持ってきた。血抜きはしてあるようだが洗浄や冷却はしてないようなので魔法でささっとしてしまい食べれるようにした。
「ふぅ、シュリあとは捌けるよね?」
「あぁ、まかせろ!」
「あ、少しほかの人にも別けてあげてもいいかな?」
「いいけどすこしだぞ!」
「あぁ、わかってる。ありがとうな」
「カイル調味料出しておいて」
「竃のよこに置いとくな」
「あぁ!」
何気にシュリが料理に興味を持ち腕もめきめきあげるので最近の料理は狩りからなにやらシュリ任せになっている。
俺はこのままシュリに依存しそうだなぁ。
おっと、分ける肉が切り分けられたようだし渡してくるかな。
「みなさんシュリからお裾分けです。」
「おー!肉!みんな焼いてくおうぜ!」
「「「ダノン!」」」
「ありがとうが先でしょ!カイルさん、シュリさんありがとうございます。」
「あははは」
そのあとは、クルスさんから配られた食事にプラスしてそれぞれがシュリが狩ってきた鹿肉を焼いて食べた。
俺はもちろんシュリが調理した肉を食べたのだが出した調味料の他にそのあたりで採ってきたと思われるハーブなどが使われておりとても美味しかった。
それをみたクルスさんやミスリルの矛先のメンバーは羨ましそうに見ていた。
それから数日が経ち新婚夫婦のサイスさんとハーネさんが普段生活している街に入りそこで二人と別れ新たに同い年位の3人の冒険者が乗ってきた。
「コーラだ!迷宮都市まで宜しくな!とくにそこの同い年くらいのやつとか仲良くしてくれよな!」
茶髪の短髪でわるガキふうな出で立ちで同い年くらいのやつといってきたので16歳くらいだろう。そして片手剣使いのようだ。
「ドミニクだ。Dランク冒険者だから何かあれば任せろよ!」
緑の髪で七三にキレイに整えられた髪で杖とローブの装備でいかにも魔法使いでインテリふうだが言葉からわかるが中身はわるガキだろ。
「こら!二人とも失礼でしょ!それにこういう護衛依頼を受けれるのは同じランクかそれ以上なんだから!手伝いますくらいなのよ!━━━あ、すいません。私はDランク冒険者のルシャです。よろしくお願いします。」
アッシュグレイの長髪を三つ編みにして束ねている。そばかすはあるが可愛らしい顔つき体は成長中とだけ言っておこう。
短剣使いで斥候志望かな?そして、たぶんまとめやくもとい貧乏くじ引いてるねこのこ。
そのご俺たちの自己紹介をするとコーラとドミニクが目に見えて青くなり、ルシャがあわあわしていたのがかわいかった。
「ッイテ。━━シュリなんだよ?」
「べつにー?」
まったく。いきなりつめらなくても。
それから何事もなく予定通り王都を出て7日で迷宮都市へと着いた。
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