第17話 な、名前で、呼ぶ……。
『スグ!やっぱりやろうよ!今、恋愛マスターさんに聞いたら、名前呼びにしてもいいって!スグもやってみようよ!』
しばらくしてから、Yさんからこんな、テンション高めのメッセージが送られてきた。どうやら彼女は本気で名前呼びを決行するらしい。
『Yさんは、相手の人と面と向かって、いざ名前を呼ぶぞ!って時のことを考えて緊張したりしないの?』
いくら自信がついてきたからって、やはり相手の名前で呼ぶというのはそれなりに恥ずかしいことだと思う。Yさんは、そこらへん平気なのかな?
『確かにちょっと不安だけどさ、でもそれよりも、幸せな感じがするんだよね。あぁ、昔みたいに名前で呼べるんだなって思ってさ……』
そう送られてきた彼女の文面からは、彼女の嬉しさが浮かび上がっているようだった。きっと彼女は、本当に恋愛初心者なんだろう。好きな人の事を考えて、その人との挨拶で嬉しさを感じて、もっと近づこうと努力している。まさしく、恋する一人の女の子なんだ。
そんな彼女が、こんなに頑張っているというのに、同じく恋している真っ最中の俺が何もしないでいるというのはどうなんだろう。一緒に近づき方を考えてくれているYさんにも失礼だし、第一、まるで真剣に好きではないと言っているようで、由愛にも失礼だ。
そのためにも、やはりYさんにように、積極的に近づくしか方法はない……、と思う。少なくとも俺にはそれしか思いつかない!
『分かったよ。俺も頑張ってみる!昔みたいに、名前で呼んでみる!』
『スグ、一緒にがんばろ!それで、一緒に幸せになろ!』
一緒に幸せにって……、なんかまるで俺とYさんが付き合うみたいに聞こえるけど……。ま、そんなことは気にしなくていいか。
『そうだね!明日、頑張ろう!』
よし!明日、明日も俺の方から挨拶して、それでゆ、由愛と名前で呼ぶんだ!大丈夫、俺ならできる!
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なんか途中で、卓くんが妙に達観してますけど、安心してください。まだまだ彼はヘタレです。
二人がやろうとしていることは、本当に一緒に幸せになることなんだと気付くのは、一体いつになるんでしょうねぇ~?
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