第16話 頑張りたい

【由愛視点】


『スグって、ヘタレなんだね』


 思わず、そう送ってしまった……。でも、そう思ってしまう私の気持ちも考えてほしい。


 だって、挨拶したんだよ?自分から挨拶してちゃんと返してもらって、しかも今日は相手の方から挨拶してくれたんだよ?もう少し積極的に行ってもいいんじゃないかな?


 それともこれは、ちょっと強引すぎる?あ~もう!分かんないよ……。


「そうだ。困ったときはあの人に……」


 私の困った時の救世主、通称恋愛マスターさん。この人にアドバイスを求めるしかない!


『あの!またまた相談があるんですけど!』


『あら?どうしたの?』


 え?この人、返信速度早すぎじゃない?だって、今送ったんだよ?しかも、それまで会話してたわけじゃなくて、唐突に私の方からメッセージ送ったっていうのに……。まあいいや。深くは考えないでおこう……。


『私、好きな人と朝家の前で挨拶しちゃったんです!それも、二日連続で!』


『あら!良かったじゃないの!一歩前進ってとこかしら?』


 ほら!やっぱりマスターさんも前進って言ってくれてるんだし……、


『そうなんですよ!それで、明日から彼の事を昔みたいに名前で呼びたいと思うんですけど、どうですかね?この話をチャット友達にしたら、まだ早いって言われちゃったんですけど……。私の間違いですかね?』


『う~ん……、そうねぇ……。それを決めるのは人それぞれだと思うけど、あたしだったらあなたみたいにグイグイ行っちゃうかも。だって、善は急げって言うじゃない?』


 ほら!やっぱりそうなんだよ!恋愛マスターさんがそう言うんだし、私、早すぎじゃなかったんだよ!


『そうですよね!ありがとうございます!』


『頑張ってね!』


『はい!』


 よし!やっぱり、名前呼び作戦、決行するぞ~!スグに、メッセージ送っておかないと!


『スグ!やっぱりやろうよ!今、恋愛マスターさんに聞いたら、名前呼びにしてもいいって!スグもやってみようよ!』






 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 さて、段々甘くなっていきますかね~?

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