第14話 俺の挨拶(再挑戦)

 よ、よし!今日こそは由愛に、自分から挨拶するんだ!


 今は7時30分。本来なら由愛はもう登校していく時間だが、やはり今日もまだ電気はついたままだ。今日も遅いのか?


 ちなみに俺は、もういつでも行けるようにしてある。もし今由愛が部屋を出て行ったとしても、余裕だ。



 でも、結局由愛の部屋の電気はそれから30分間消えることは無く……。


「時刻は午前8時。方向は東。由愛の部屋の電気、消灯を確認。総員、出撃!」


 端から見たら、マジなほうのやばいやつだと思われかねないけれど、こうでもしないと緊張で心臓が押しつぶされそうだった。由愛に自分から挨拶をするなど、もうかれこれ5年ほど会話をしていない陰キャボッチからすれば、至難の業なのだ。


「このドアを開ければ、由愛が……!こ、こんなところでビビってどうする、俺!よ、よし、行くぞ!」


 ドアに手をかけると、隣からもドアが開く音がした。それに一瞬ひるんでしまったが、なんとか気合でドアを開ける。


 そして今日も、視界に飛び込んできたのは……、


 超絶美少女な幼馴染だった。



 よ、よ、よし!あ、あ、挨拶を、しなくちゃ!


「お、おおおおおはよう!」


 しまったぁ!めっちゃ噛んだし、動揺してるのこれじゃあバレバレじゃないかぁ!俺、かっこ悪……。


 由愛も顔を赤くしている。俺の動揺し過ぎな挨拶に、必死に笑い堪えてんのかな……。はぁ……、本当に自分が情けない……。


「えっと、あの、おはよう!そ、それじゃあね!」


 そう、由愛は挨拶を返して、今日も走っていってしまった。


 そういえばYさん、今日は学校に一緒に行くつもりだったんだよな?俺なんて絶対にまだ無理だぞ?挨拶だって自分からじゃまともにできないし、しても毎回逃げられちゃうもんな……。ま、由愛からしたら、好きでもないやつと一緒に登校なんてしたくないだろうもんな。


 なんか言ってて悲しくなってきたわ。もう深く考えるのはやめよ……。


 今日も俺は一人、トボトボ学校へと向かった。

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