第13話 第一回戦結果報告②

『あのさ、Yさんが例えばその好きな人に挨拶して、その人から挨拶が返ってきたらどうする?』


『う~ん、私だったら嬉しすぎて顔隠しちゃうなぁ……。今日も、嬉しすぎてニヤニヤが止まらなくて、一人で走って学校まで行っちゃったんだぁ(笑)』


 そこで俺はある一つの出来事を思い出していた。


 そういえば今日、由愛も俺が挨拶した途端、走っていってしまったような……。いや、でも流石にそれは俺とあれ以上一緒にいたくなかったからだろう。そうだ、これはあくまでYさんの意見であって、由愛じゃないんだから。勘違いしてはいけない。


『それでね、スグ。二人とも挨拶はできたわけじゃん?だからさ……』


 俺はできてないようなもんなんだけどなぁ。ま、Yさんからしたら出来たの部類に入るのかな?


『もうちょっとレベルアップしようよ!もちろん挨拶は毎日続けるけど』


 れ、レベルアップだと⁉ただでさえ挨拶だって厳しいのに、これ以上の事を俺にやれと⁉


『Yさん、流石にちょっと、ペースが速くないかな……?俺も自分から挨拶できるようにしたいし……。もうちょっと後でもいいんじゃない?』


 さぁ、Yさん、どう出る?


 彼女も彼女で考えているのか、しばらく返事は来なかった。そして、10分くらいたってから……、


『それもそうだね!私も今日上手くいったから舞い上がっちゃってたのかも。スグの言う通り、学校に一緒に行くのはもう少し経ってからにしよっか』


 え?Yさん、明日一緒に学校に行くつもりだったの?この人本当に恋愛初心者なのか?


『うん、そうしよう。じゃあ、また明日結果報告っていうことで』


『うん。スグも明日は頑張れ!自分から挨拶できると、自信もつくから!』


 Yさんも応援してくれているんだ!頑張れ、俺!


 そう意気込んで、Yさんとのチャットを終えた。気づけば外はもう暗くなっている。



 由愛の部屋は、いつのまにか電気がついていた。

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