第8話 俺と彼女の作戦
さて、計画とは言ったものの、お互いに恋愛初心者であることはバレバレだ。そもそも恋愛が分かる人は、こんなところで勉強しようなどと考えはしないだろう。
つまり、俺たち二人で考えても全く思いつかず……、
『Yさん、なんか思いついた? 俺は全く分からないんだけど……』
『私も同じ。思えば私たち、二人とも恋愛初心者だもんね……』
『そうなんだよなぁ……。誰か恋愛が分かる人がいればなぁ……』
生憎、俺のチャット友達は、ラノベが彼女! みたいな人しかいないわけで、どうしようもない。となるとやはり自分たちで考えなければいけないわけなんだが……
『あっ。私、一人だけそういうことに得意そうな人を知ってる! ちょっと待ってて。今聞いてくるから!』
でかした、Yさん! これでようやく一歩前に進めるかもしれない!
『分かった。よろしく頼む!』
俺にできることは、精一杯のグッジョブマークを送ることくらいだ。
10分ほどして、Yさんからメッセージが来た。
『聞いてきたよ! えっとね、まずは挨拶からだってさ! そういう基本的なところから始めることが大事だって』
挨拶か……。確かにここ最近は、全く喋ってないからいきなり会話に持っていくのは難しいもんな。よし、じゃあまずは挨拶から始めてみるか!
『よし! じゃあまず俺は、朝の挨拶をしようと思う。相手が学校に行くくらいの時間になったら俺も外に出て、それで挨拶をする!』
『ええっ! もしかしてスグもその子とお隣さんなの? そこまで一緒だなんてすごい偶然!』
そういえば言ってなかったか。確かに、家が隣同士というところまで一緒なんて、凄い偶然だ。
『ってことはYさんも隣同士なんだね! それはびっくりだよ。でも、同じ条件ならお互い、出来たか出来なかったか分かりやすくていいかも』
『確かにそうだね! もしスグがビビって失敗したら、私が堂々と揶揄えるもんね!』
おっと? それはブーメランじゃないか?
『Yさんこそ、やっぱり恥ずかしくなって逃げないように気をつけろよ? そうしたら俺が揶揄っちゃうからな~?』
ま、俺もいざとなってちゃんと喋れるかどうか分からないけどね? でも、やるからには頑張って見せよう! そして、また昔みたいに由愛と話せるようになりたい!
決行日は明日の朝。由愛が学校へと玄関を出るとき、その一瞬で俺たちの計画の第一歩が決まる!
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