第7話 Yさんの恋愛相談

『実は私も、恋愛関係の悩みがあってね……』


 5分くらいして、彼女からメッセージが届いた。どうやら話す内容がまとまったようだ。俺も気持ちを入れ替えて、彼女の悩みに真摯に向き合えるようにした。


『私にも、スグと同じように幼馴染がいるの。それに、私も彼のことが好き。好きで好きで、いつも一緒にいたいと思ってる。でも、やっぱりずっと一緒にはいられなくて、私も中学校に進学したころから、彼とは全く話さなくなってしまったの。高校も一緒だけど、全く変化はないわ。家が隣同士だから昔は一緒に登校したりもしてたんだけど、もう今は家の前で顔を合わせることもなくなっちゃって……。多分、お互いに何か悪いところがあったわけじゃなくて、本当に自然に離れて行ってしまっただけなんだと私は信じてるんだけど、でもやっぱり、教室で彼の暗い顔を見ちゃうと、彼は私を避けたがっていたんじゃないかと思ってしまって。それで、男の人の気持ちが知りたくて、このアプリを始めたの。私の悩みはこんなところかな……』


 そんな彼女のメッセージを読んで、俺には一つ、真っ先に思いついたことがあった。


『なんか、俺とYさんって、似た者同士って感じだね。お互いに、幼馴染がいて、好きなのに近づけない、好きなのに昔のようにはできない。なんか似てると思わない?』


『確かにそうだね。私もスグも、好きな人に近づけるようにってこのアプリ始めてるし』


 言われてみればそうだ。お互いに目的も全く一致している。これは相当いい人に巡り合えたのかもしれない。


『じゃあさ、お互いに目的が一致してるんだから、協力しないか?』


『協力?』


 俺は一つ、これならできそうだと考えたことを話すことにした。


『そう。俺たちはお互いに、幼馴染に近づくための案を考えるんだ。それで、その案を考えた次の日に実際にそれを実践してみる。で、その結果をここで報告しあうんだよ』


 我ながら名案だと思う。一人でやるからこそ心細く不安に思うことであるが、同じ目的を持った人がいるなら十分に心強い。あとは彼女の反応を待つだけだ。


『それ、すっごく良いと思う! 私一人じゃ不安だけど、スグも同じことを相手の人にやるって考えたら、なんだか私もできそうな気がしてきた! スグ、それやってみようよ!』


 Yさんからも大変高評価を貰ったため、俺たちは早速それを実践することにした。こうして俺たちの『幼馴染との復縁計画!』が始まった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る