第5話 会話、とは?

 画面を睨み続けること5分。


「おっ! この人なんて、ピッタリなんじゃないか?」


 そこに書かれていたのは……


 ――高校一年生の女子です! いろいろな人とお話ししたくてこのアプリを始めました! たくさん話しかけに来てください!


 同い年で、しかも異性。よし! まずはこの人にメッセージを送ってみよう……。


『初めまして! 女の子との会話に慣れたくてこのアプリをやってみたんですけど、もしよろしければ、僕の話し相手になってくれませんか?』


 流石に異性となればいきなりコメント送って不審がられるかもしれないからな。ちゃんと目的も一緒に書いてみたけど、これかえって怪しかったりしないよな?


 すぐに返事が返ってきた。


『初めまして! 私でよければ是非、お話しさせてください!』


 あ、良かった……。少なくとも変な人とは思われなかったみたいだ。


『ありがとうございます! それじゃあ、よろしくお願いしますね』


 とりあえずお礼のメッセージを。さて、どう会話したものか……。とりあえず、同い年だってことでも話題にしてみるとするか。


『プロフィール見て知ったんですけど、高1なんですね! 僕も同じなんですよ!』


 送ってから気付いた。同い年なら敬語は使わないものなのかな? う~ん……分からん。


 またすぐに返事が返ってきた。


『私も見ました! 同い年の人とチャットで話すのは初めてなので、嬉しいです! それと、同い年なら敬語やめませんか……?』


 そういえば俺も同じ高校生と話すの自体、これが初めてだなぁ……。それはそうと、やっぱり敬語じゃなくて良さそうだな。


『そうですか。じゃあ……。改めてよろしく! Yさんも、敬語じゃなくていいよ!』


 彼女の名前はYと書いてあった。ちなみに俺は、安直にスグだ。どうせ学校のやつらだってこんなものはやってないだろうし、やっていたところで俺だと分かる奴はいないだろう。


『うん! じゃあ、よろしくね、スグ!』


 滑り出しは上々といったところだな。さて、しかしここからどう会話を発展させるものか。俺は会話の仕方を知りたくてこのアプリを始めたわけで、趣味以外で話すことなど全く分からないからな……。


 とりあえず俺は、いきなりもどうかとは思ったが、今抱えている恋の悩みについてYさんに打ち明けることにした。

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