短編14.5話 インターネット先生は神
元々本編でやろうと思っていたことですが、文字数的に入れる場所がありませんでした。短いですがご容赦ください。
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「乃蒼もやればできるじゃない」
「すごいよ乃蒼。これからも手伝ってもらえると俺は助かるな」
乃蒼は堀之内さんに教えてもらいながら、食事の後片づけをやり遂げた。いつもの乃蒼であったら、途中で挫折していたと思う。そうならなかったのは、偏に堀之内さんの教え方が上手いのと飴と鞭を使い分けていたからだろう。俺では、結局のところ乃蒼がやりたくないと言えば甘やかしてしまうからだ。
「う、うん。今日の天気はどうかな」
唐突に乃蒼が窓の外を覗き始めたが、今日の空は厚い雲に覆われている。照れていることを誤魔化したいんだろうけど、下手くそだ。
乃蒼と堀之内さんは家事をしてくれているのに、俺だけが何もしていないので悪い気がしてしまう。病み上がりなんだから手伝うなと言われてしまい、テレビをのほほんと眺めるしかない。
いたたまれないし、部屋に籠ろうかな。
「他に乃蒼にやらせたい家事はない?」
「後は洗濯だけかな。今日中にやらないと、同じものを着回さなきゃいけなくなると思うから、申し訳ないけど乃蒼に教えてくれると嬉しいな」
「……ええ、いいけれど……」
「ありがとう。堀之内さん」
あれ、堀之内さんの声のトーンが幾ばくか落ちている。もしかして堀之内さんも洗濯が嫌いとかな? 勘だけど違う気もする。
もっと根本的で口走ると不味いことを漏らしてしまったような?
「どうして蓮人君が乃蒼の洗濯物の状態を把握しているのかしら?」
「しまった⁉」
俺は乃蒼の洗濯物を洗濯していているが、普通は兄妹だったとしても絶対にありえないし、拒絶反応を起こされるような行為だろう。
冷静になれば、本人がやって欲しいと言っている上、俺にはやましいことなんて微塵もないのだから、開き直るくらい堂々としていればいい。
「……乃蒼の洗濯物は俺が代わりに洗濯してます。できれば自分でやって欲しい」
「やましいことはやってないでしょうね」
「当然、初めの頃は女性用の服とか下着とか洗濯の仕方がわからなかったから、自分でネットで調べたりフェリシアさんに聞きに行ったんだ。もちろん、やましい気持ちはないよ」
「で、でも、この前蓮人、洗面所で、あ、あたしの下着を食い入るように見てたよね。れ、蓮人だったら許すけど……」
「はい⁉」
俺にそのような記憶はございません。
政治家の真似とかでなく、本当にないんです。
最初の頃は、下着とかは目のやり場に困って、極力見ないようにして干していた。最近は慣れてきて普通に干してるけど。
「吐きなさい蓮人君、正直に洗いざらい全て」
「あれか、あれを見てたのか……⁉」
堀之内さんに詰め寄られて思い出す。
乃蒼の洗濯物を初めて洗濯しようと思った時、裏側にあるタグを見ていた時があった。タグにある記号は、洗濯やお手入れの方法に関しての記載がだから間違えないようによく確認していた。
その行為を乃蒼は、俺が下着で欲情してしまっていると勘違いしたに違いない。それしかない。絶対にそうでないと困る。
「気持ち悪いけど、欲情するなら乃蒼のじゃなくて私のにしなさい。今あげるから」
下を脱ぎ始めようとする、堀之内さんを止めながら言う。
「欲情しないし、気持ち悪いなら脱がないで⁉ あの話は洗濯の仕方がわからなかった頃、乃蒼の物なのに間違った洗濯の仕方で、伸びたり、色映りしたりして、駄目にしちゃったら悪いと思って、服とか下着とかの裏とかに付いているタグで、やっちゃいけないことを確認するために注視していただけだから!」
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