第3章 異能者たちの秘密
第15話 生徒会からの出頭要請
「——ふむ、つまりお前の話を整理すると、だ」
翌日の朝。
俺は
会長からは誰にも話すなと口止めされていたが、しかしバレなければ秘密はいつまでも秘密である。めくるめく非日常への
話を聴き終えた天城は眼鏡の奥の
「――
俺は
すると天城はそのキリンのようにほっそりとした首を
「なるほどな。よくわかったぜ」
「——おお!」
俺は思わず立ち上がって拳を握りしめた。
「わかってくれるのか天城! さすがは天城だ! 俺の家族とは理解力が違うぜ」
実は昨夜のうちに家族にも話していたのだが、帰ってきた反応はおよそ血を分けた人間に対する態度とは思えないほど
あんた頭でも打った? とは母の言葉。
あー俺にもあったよ
うぅお兄ちゃんがついにおかしくなっちゃった、とは妹の言葉。
まったく、涙が出るぜ。俺はそのとき決めたね。進学したら絶対にひとり暮らししてやるって。
だがやはり持つべきものは心の友だ。天城はシンバルを持つサルのように手をぱちぱちと叩いて、
「いやいや、なかなかよくできた設定じゃないか。これなら
しかし
「……おまえ、いったい何の話してんだよ?」
とまどう俺に、しかし天城は逆に
「ん? いやだから小説の設定の話だろ? まさか浅嶺があの噂からそこまで妄想を膨らませることができるとはな。意外な才能だ。やるじゃないか、このこのっ」
ばしばしと俺の肩を
俺は逆に天城の頭を
「――バカやろう! 何が小説の設定だぁぁ! こっちは
「痛ってえなぁ! それはこっちのセリフだ!! どこのラノベの世界の話だよッ! ありえねえって!」
「はんッ、一体どの口が現実世界の常識をほざいてやがんだ! 中学までおねしょしてた男がよぉ!」
「——な、なぜお前がそれを!!」
「チッ、やっぱあだ名が『意外性のないの◯太くん』だった奴は信用できねえぜ。頭が
「お、おいッ! だからなぜお前がそのことを知ってる!?」
結局、掴み合いの
もちろんその
しばらく黙々と食べ進めていたが、ザザザッと
——えー二年二組の浅嶺
プツリッ、と放送が終わる。
訪れるのはじっとした静寂。クラスの誰もが俺のことを興味深げな目で見ているのを感じる。
むろん天城も俺を見ていた。俺は天城と顔を見合わす。鼻からずり落ちそうになっている眼鏡に天城の驚きが伝わってくる。
しばらく見つめ合っていたが、好奇心を抑えきれなかったらしい天城は俺の席までやってきた。それから猫にしがみつくダニのような声で、
「……おい、おまえ何やらかしたんだよ。あのロリ会長からの呼び出しなんてそうそうねえぞ」
俺はそんな天城に向かって
——だから朝に言っただろ。会長は超能力者で、世界征服を
しかし
俺は黙って席を立つと教室を出る。背後ではざわめきが広がっていたが、俺はもう知らねえ。せいぜい天城にでも聞いてくれ。
俺にはお前らに
……ああ、一体なんの呼び出しなんだろうか。まさか秘密を喋ったのがバレたのか? それで
逃げ出したくなるが、どうせ逃げ切れるわけがないと諦めの
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