ケツにダイナマイトを咥えた美少女とぶつかったらラブコメが始まった
下垣
運営さん怒らないで下さいね
「あーあ。今日もまた遅刻かな」
僕はいつものように登校していた。僕は朝が弱いので、いつも遅刻ギリギリに登校している。周囲には学生はほとんどいない。そんな時間帯に僕は歩いていた。
あの交差点を抜ければ学校はすぐ近くだ。さあ、急ごう。
その時だった。交差点の曲がり角から急に金髪ツインテールでツリ目の美少女が飛び出してきた。美少女は急に止まれずに僕にぶつかってしまう。
ドンという音と共に僕たち二人は倒れる。僕は仰向けに倒れて、美少女は尻もちをついて倒れてしまった。
「んぎいいい! ひぎぃいいいい! んほおおおお!」
美少女はこの世のものとは思えないほどの汚い声をあげる。こんな声をあげるのは
「痛い……ダイナマイトがケツの奥に突き刺さった……」
美少女は自分の尻を抑えて悶えている。ケツにダイナマイトが刺さった? なんだ? 一体どういうことなんだ。もしかして、この美少女はケツにダイナマイトを入れているのか? そんなわけないだろう。どこぞのホモ漫画じゃあるまいし。ケツにダイナマイトを入れる人間がいてたまるか。
「キミ? 大丈夫?」
僕は紳士的に美少女に手を差し出した。しかし、美少女はそれを無視して、自分のケツに指を突っ込んだ。その様子を見て僕はかつてないほど引いた。
「これでよしっと」
「な、なにがよしなの!」
僕は思わずツッコミを入れてしまった。この謎のケツダイナマイト美少女は一体なんなんだろう。ケツにダイナマイトを突っ込む趣味の危ない人だ。こいつとは関わってはいけない。僕の本能がそう告げているけど、こんなの関わるなという方が無理な話だ。
「ちょっと! アンタがぶつかってきたせいで、ダイナマイトが奥に突き刺さったじゃないの!」
「ぼ、僕のせいなの!?」
「ケツダイナマイトには丁度いい位置っていうものがあるんだから、手前すぎてもダメ! 奥に行きすぎてもダメ! そんなことも知らないの!」
「知らないよ。僕にはケツにダイナマイト入れる趣味ないよ」
ダメだこいつ話が通じない。よく、IQが違いすぎると話が合わないと言うが、変態性が違いすぎても話が合わないのだ。
「あ、そんなことより早くしないと遅刻しちゃう! 遅刻したらアンタのせいだからね!」
そう言うと美少女は走り去っていった。一体なんなんだろう。朝っぱらから凄まじいやつに会ってしまったな。でも、2度と会うこともないだろう。ケツにダイナマイトを入れる変態がいたことなんて忘れよう。
◇
結局、僕は遅刻してしまった。もし、あの時ケツダイナマイト女に遭遇しなければ間に合っていただろう。今日は最悪な1日だな。そう思いながら、僕は教室に入った。
「おい、嶋本遅いぞ。もうとっくに登校時間は過ぎている。全く、お前今月に入って遅刻は何回目だ。何度も何度も遅刻しやがって。今はまだ学生だから許されているけどな。社会人になって遅刻したら許されないぞ。そんなのクビになるぞ」
先生が僕を叱った。朝っぱらかなんて日だ。
「それに今日は転校生がやってきたんだ。その転校生に笑われてしまうぞ」
転校生。その言葉を聞いて嫌な予感しかしなかった。まさか、今朝曲がり角にぶつかったあの美少女が転校生だって言うんじゃないだろうな。
「さあ、転校生の小早川君。入ってくれたまえ」
先生が合図すると、転校生が入ってきた。彼女を見て、僕は思わずため息をついてしまった。
「あぁー! アンタは、さっきの! よくも私のケツの奥にダイナマイトを入れてくれたわね!」
小早川は僕を指さしてそう言った。小早川の発言を受けて、教室中がざわつく。まずい。なんか誤解されている気がする。っていうかこの文脈だと僕がこの子のケツにダイナマイトを入れたみたいに取られてしまうよな。
「ち、違うんだ! みんな。こいつの言ってることは
必死の言い訳。でも、クラスのみんな。特に女子から白い目で見られている。
「言い訳するんだね! 頭来た! もう爆発しそうよ。ダイナマイトだけに!」
「上手くねえから!」
最悪だ。この爆弾転校生のせいで僕の学園生活は終わった。僕は女子にケツダイナマイトをした変態として学園生活を過ごすことになるんだ。
◇
小早川がこの学校に来てから2ヶ月ほどが経過した。僕は完全にクラスで孤立してしまっている。今まで仲が良かった友達からも避けられてしまい、ツルむ相手も変わってしまった。僕は
一方の小早川は、クラスの人気者だ。みんなは小早川がケツにダイナマイトを入れているやつだと知らない。ただ、美人だという容姿のお陰で一気に人気者になっただけなんだこいつは。
そんなある日のことだった。いつものように退屈な授業を受けていると、校内放送が流れた。
「全校生徒のみなさん。大変です。校内にテロリストが潜入しました。速やかに逃げてくださ……アッー!」
教頭先生の声だ! 教頭の淫靡めいた叫び声と共に、プツっとした音と共に放送が切れた。その瞬間だった。教室の扉がガラっと開いた。するとレザースーツを着たモヒカンの男たちが教室に一斉に入ってきたのだ。
「な、なんだキミたちは!」
先生がモヒカン男に詰め寄る。あ、知ってる。これ死亡フラグってやつだ。
「男狩りだ」
そういうとモヒカンは拳銃を取り出して、先生の肛門に向かってぶっ放した。
初めて訊く銃声。運動会の時に鳴らすまがい物ではない。本物の銃声を聞いて、僕は恐怖した。
怖いもの知らずの不良になったと思ったけれど、やはり銃は怖い。こんな近代兵器に一介の男子中学生が勝てるわけがない。
「よし、生徒は全員整列しろ!」
モヒカンは銃を僕たちに突きつけた。僕たちは彼らの要求通りに壁つたいに整列した。これからなにをさせられるんだろう。
「よし、今から俺たちの目的を言うぞ。ケツの穴かっぽじってよく聞け。女は殺せ! 男は犯せ! 以上だ」
もうダメだ。僕たちはこのまま犯されるんだ。そう思った矢先に、隣にいた小早川が僕に耳打ちをした。
「あんた。タバコ持ってたでしょ。なんとかしてそれに火を付けなさい」
「は? お前なに言って……」
「いいから言う通りにしなさい! 犯されたいんだったら話は別だけどね」
僕はなにがなんだかわからないまま、制服の裏ポケットに仕込んであったタバコとライターを取り出した。そして、タバコを咥えて火をつけて一服をした。
「おい、貴様! なにを吸っている」
モヒカンが僕に気づいた。まずい。なにか言い訳をしないと……
「はん……てめえらは今から俺を犯すんだろ? なら、せめて一服させてくれや。こっちも気分を盛り上げたいんでね」
僕は虚勢を張った。本当はとても怖い。けれど、テロリスト相手に退いたらダメだ。
「そういうことか。なら特別に吸わせてやる。その代わりお前を最初に犯してやるぜ」
そう言うとテロリストは僕の腕を引っ張り、連れ出そうとする。いやー。助けてー。犯される。
そう絶望した時に、小早川は火がついたタバコを僕からサっと奪い取った。小早川……? なんで火のついたタバコなんか。いや、お前まさか……
「嶋本……アンタの火は確かに受け取ったわ。そして、ごめんなさい。私がアンタの学園生活を滅茶苦茶にしちゃったわね。アンタは本当は不良グループに入れるほど気が強い男子じゃない。本当は気弱で優しい子なんだ」
小早川がなにやら語り出した。
「アンタが雨の日に捨てられた子犬を拾っていたの知ってたよ。アンタの家じゃ犬は飼えないから、近所を回って必死に飼ってくれている人を探してたね。私、その時のアンタを見てたら、いつの間にか好きになってたんだ」
そういえば、そんなこともあったな。あの時の犬、元気にしているだろうか。
「嶋本……私はアンタのことが好きだった。でも、ごめんなさい。私、素直な性格じゃないから中々そのことを言い出せなくて……最期かもしれないからこの想いをちゃんと伝えたかった」
小早川は火のついたタバコを自分のケツに持っていった。やっぱりそうだ。小早川は自分のケツダイナマイトを爆発させるつもりなんだ。そして、テロリストと心中するつもりだ。
「待て! 小早川! 早まるな!」
「嶋本……大好きだったよ」
その時だった。クラスのアホな男子がいきなり小早川にカンチョーをした。いや、この状況でそんなことするのはアホやろ。
「ヴぉえ……」
すると小早川のケツにあったダイナマイトが押しだされて口から吐き出された。いや、人体の構造的にそうはならんやろ。
偶然、その場に居合わせたサッカー部の江戸川がクツをカチャカチャさせた後、「いっけー!」と叫びながら、テロリストに向かってダイナマイトを蹴り飛ばした。バーロー。
結果、テロリストだけ爆死して、みんな助かったのだった。
そして、小早川の愛の告白を聞いてしまった俺。小早川は顔を真っ赤にしている。
「い、今言ったことは忘れなさい! いいわね!」
「はいはい。わかったよ。僕のことが大好きな小早川さん」
そう言った瞬間、小早川は照れ隠しに僕の腹を思いきり殴った。痛い。
ケツにダイナマイトを咥えた美少女とぶつかったらラブコメが始まった 下垣 @vasita
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