第1話 出会い


 放課後。ホームルーム終了のチャイムが鳴る。教室では我先にとランドセルを背負って、子供たちが教室を出ていく。


「じゃあな!おっぱい先生!」

「こら!廊下を走るんじゃないよ!…まったく、元気なクソガキ共だ。」


 大学を卒業して十年目の5月。この環境にもすっかり慣れて、婚期もしっかりと逃して、毎日をなんとなく過ごす日々。転勤で地元に帰ってきたのだが、どうにも小学校教員というものには慣れない。授業にではなく、二桁も行ってない子供のお守りにだ。


 さて、これからテストの採点だ。教室の端にある事務机に座り直し、紙の束に向き直る。これが終わったら来週の授業の準備をして、職員室で資料を作成、校外学習の電話もしないといけなかったな。席替えの班決めも明後日までに決めなきゃいけないし…はぁ、中学に比べて小学は細かい事が多いな、正直うんざりする。


「…で、ひこねちゃんはいつ帰るのかな。」

「このおはなしができたら。」

「ふーん。じゃぁ4時には終わらせるんだよ。」

「うん。」


 テストの採点をしているといくつか思うことがある。その中でも一番が、絶望的に字が汚い。中には古文書なんじゃないのかと思うような字もある。解読してようやく丸付けができるので、非常に時間がかかる。


「平均点が低いか…。宿題増やしたほうがいいか?」

「そんなことしても点数上がりませんよ、伊佐坂いささか先生。」

「丸山先生、なんで隣のクラスに来る必要があるんですか。」

「主任の小森先生に「様子見に行け」って言われたからですよ。初めての小学校業務に苦労してるから助けてあげなさいって。」

「別に頼んでない。」

「現に宿題増やそうとしてるじゃないですか。」

「暗記するには数こなすしかないだろ?」

「なるほど。けれど小学校と中学校では環境が全然違います。同じやり方でも効果は真逆です。どうしたらいいかわかります?」


 そういわれても別にいい方法が思いつかない。この一か月面倒を見てきたが、こいつらはあっという間に懐きやがった。所謂わんぱくというやつで、どうにも理解に困る。考えた末に出た答え。


「知らん。」

「でしたら教えてあげます。それは授業を楽しくすることです。この年齢の子達は楽しい事には意欲的に取り組んでくれます。ならば簡単、子供たちに負担をかけるのではなく、自身が努力すればいいのです。」

「…はぁ。で?あたしはどうしたらよいと?」

「もっとリアクションの勉強をしたほうが良いかと。」

「リアクションねぇ。」

「欧米人並みなオーバーリアクションが丁度よいと思いますよ?」

「…あたしに出来ると思うか?」

「本人次第だと思います。」

「じゃぁ無理だね。あたしは元・現国の教員だ。英語は専門外、そういうのはダニエル先生に任せる。」

「諦めるのですか?」

「生憎そういう努力はしない質でね、取りあえず授業中にドリルでも使ってみることにするよ。それで宿題も増やさなくていいでしょ?」

「まぁいいですけど、子供たちに嫌われないようにしてくださいね。」

「はいはい。テストの採点とコメントが終わったら職員室にもどるから、小森先生にはそう伝えておいて。」

「わかりました。あまり残業しないようにしてくださいね?」

「りょーかい。」


 丸山先生を適当にあしらって作業に戻る。喋っている間も手は止めていない。この九年間で身に着けたスキルの一つだ。暫くしてテストの採点も終わる。やはり平均点は予想よりも5点低い。きっと春休み遊び頬けてたからだろう。


「せんせー。」

「ん?どうしたんだ、ひこねちゃん。」

「できたからよんでー。」

「ん。」


 知り合いの子じゃなかったらこんなことしないんだけどな。なになに?



 まほうつかいはしっぱいしました。まほうつかいは、ばつとしてまほうのつかえないせかいにとばされてしまいました。まほうつかいは、かわりにまほうがつかえるにんげんをさがしました。そしてそのにんけんはさなえせんせいなのでした。



「…なんであたしなんだ、もっといい人がいただろ。お父さんとか、警察官だろ?」

「せんせーじゃないとやだ。」

「…。」

 


 せんせいはきょうだいなまほうがつかえるので、どうしてもなかまになりたいまほうつかいはせんせいをおいまわします。そしてせんせいとまほうつかいはいっしょにくらすのでした。これからせんせいとまほうつかいのせかいをすくうものがたりがはじまります。



「無茶苦茶な物語だな。魔法使いはストーカーじゃないか。」

「せんせーとまほうつかいさんはなかがいいの!」

「はい。で?続きはどうなるの?」

「わかんない。おもいついたらつづきかくの。たのしみにしてて!」

「うん。そうするよ。さて、もうすぐ4時になるから片付けて帰りな。」

「わかった!」


 あたしが頭を撫でてやると嬉しそうにほほ笑む。きっと娘か姪がいたらこんな感じなのだろうな。そう思いながら下駄箱まで送ってやる。ここ週末の日課みたいになってきた。


「せんせーばいばい!」

「気を付けて帰れよー。」


 校庭には今まで遊んでいた高学年たちが片づけを始めているし、道中は緑のおばさんが何人もいるから一人でも大丈夫だろう。


 あたしは職員室へ向かって歩を進める。ここからが本番だからな、今日明日中に終わらせなければいけない仕事が沢山ある。残業は確定してそうだが、まぁ家帰ってもラノベ読むかゲームするかしかないし、ゆっくりやりますか。





「う~ったぁ、終わった。…やべ、7時過ぎてるよ…。」


 教員の定時は基本5時だ。中学はそこから2時間の部活動があるが、2時間分の手当てが出る。もっぱらあたしは居るだけの顧問ではあったが…。


「…帰るか。」


 静かな校舎内。それとは裏腹に外は車の音や雑踏で満ちている。十年前はまだ開発都市で、ここまでの賑やかさは無かった。十年。早いものだ。見慣れた風景はほとんど無くなってしまった。開発により実家は取り壊され大きな環状道路になってしまったし、子供のころ通った小中学校も人口増加で建て直された。商店街にある思い出の駄菓子屋は後継ぎがいなく閉業、駅も大きくなり周辺はバカ高いビルが幾つも建った。ここはもうあたしの知る地元ではないのかもしれない。あまり地元には愛着はなかったが、どこか悲しいものは感じる。


 帰りのバスの中、いつものように携帯端末をいじる。気晴らしでなんとなく“魔法”と打ってみた。


「…。」


 検索ページのトップニュースには、魔法が使える人間が現れたと書かれた記事がいくつかあった。その中の一つをのぞいてみる。そこには水の動きを操る中年のおっさんの動画が上がっていた。確かに空中で球体を作ったり、覆水盆に返すというおやじギャグを見せていたりと、化学現象では説明しづらい内容のものが幾つもあった。


 少し見入ってしまっていたが、コメントのいくつかには手品でしょうとか、CGエフェクトでこのぐらいのことはできるとか、身も蓋もない厳しいコメントが寄せられていた。魔法がほんとうに存在するのであれば、この社会の発展度はかなり変わってくるであろう。中学二年のころはそんな想像をしていた時期もあった。しかし、高校・大学と進学するにつれてそんな考えは薄れていってしまった。


 あたしも随分と大人になってしまったものだ。青春していたころの高揚感やキラキラした時間はもう帰ってこない。社会の歯車となって、ただ毎日をなんとなくこなす。それでいいのだ。それが大人だ。あたしはそう思っている。


 停車のボタンを押す、もうすぐ家に着く。中学校教員だった時は、中途半端に田舎だったためにあまりお金を使わなかった。それに公務員は給料がいい。そのせいか、海辺の立地の良い3LDKを借りてしまった。家賃的に問題はないのだが、完全に部屋が余ってしまっていて、一つの部屋は完全に物置になっている。


 なぜこのマンションにしてしまったのかというと、もともと住んでいた実家の近くだったからだ。なんとなくではあるが、そのほうが良い気がした。


 鍵を刺して捻り、家へ入ろうとした。したんだが何かがおかしい。それは、ただの勘だったのか、それとも本当に何かがおかしいのか。恐る恐る扉を開けてみると、その原因が分かった。


 風呂場の方から水音がする。まるで誰かがシャワーを浴びているようだった。いや、誰かがシャワーを浴びている。明らかな住居不法侵入だ。


 私はゆっくりと扉を締め直し、携帯端末を取り出した。


「こういう時は・・・、お巡りさんっと。」


 明らかにおかしい状況だったが、あたしは思ったより冷静だった。


 コール、1・2・3・・・。17回目の呼び出し音でようやく出た。


『はいこちら沖新警察署です・・・、じゃなかった。すまんつい癖で。どうした紗那恵?またゲームの相手か?』

忠煕ただひろ、今すぐ家に来れないか?」

『どうした急に?』

「家の中に知らない人物がいる。逮捕してくれ。」

『・・・ん?どゆこと?知り合いじゃないの?まずは事実関係を教えてくれないとどうにも動けないんだが・・・。あと俺、今は非番だし。』

「市民の平和を守るのが警察官じゃないのか?」

『いやま、そうだけどさぁ、休日出勤って手当て出ないのよね~。お互い公務員ならわかるっしょ?』

「どうでもいい」

『ひどくない?』

「とにかく、市民たるあたしを守るために直ぐ来い、警察官。あと、不法侵入してる奴は今シャワーを浴びている。」

『なんで』

「知らん。犯人とっ捕まえて事情は聴いてくれ。」

『・・・はいはい。一旦署に寄って行くから、犯人逃がさないように見張っててくれ。何か動きがあれば電話してくれよな。』

「わかった。とにかく早く来てくれ。」

『りょーかい。』


 電話が切れた。相も変わらずマイペースな奴だ。


 けど見張っていてくれって、どうしようか。忠煕が来るまでにはずいぶんと時間がある。


 あたしはもう一度、玄関のドアを開け、中の様子を確認した。…相変わらずシャワー音が聞こえる。まだ居そうだ。


 「そういえば、脱衣所のドアって引き戸だったよな?…ドアの前に物置の荷物おいて閉じ込めてやろうか…。」


 そう覚悟を決めて、ゆっくりと家のなかに入る。ぱっと見た感じ、部屋を荒らされた痕跡はない。物取りではないのか?次に侵入経路を確認した。だが、リビングの窓は開いていない。そうするとどこから?いや、今は犯人を閉じ込めることが最優先だ。音を立てないように物置部屋のドアを開ける。今は使ってない教材やらなんやらがパンパンに入った段ボール箱をゆっくり運び出す。それをドアの前に4つ程重ねて、さらにリビングのソファーを使って廊下の対面の壁にくっつくように並べる。そうすることによって、脱衣所側から扉を押しても引っかかって開かないようになる。憶えておくといいぞ。


 犯人が暴れて中のものがダメになったら一括請求してやる。


「さて、どうしたものか…」


 不意にシャワー音が消えたので、とうとう風呂場から出てくると覚悟した。しかし、向こう側から出てくるような音はしない。恐る恐るドアに耳を傾け、中の様子を探って見る。


 …ん?こいつお湯貼って入ってやがる。ちゃぱちゃぱとした水音が聞こえてきた。しかも鼻歌まで…。


「ちょっと待て、こいつ女か?」


 もう一度耳を澄ましてみた。…やっぱり女だ。しかもかなり特徴的なアニ声だ。カワユス。いや、違うだろあたし。破顔して緩みそうになった顔を戻す。相手は不法侵入者だ。


 湯に浸かっているということは、まだ暫く出てこないであろう。そう考え、忠煕が来るまでここで監視することにした。


____20分が経過した。


 未だに風呂に入っているのか、犯人は出てくる様子がない。あたしが家に着いてから30分程が経過している。すると玄関から声がした。


『紗那恵、居るか?大丈夫か?』

「ええ、犯人を風呂場に閉じ込めて監視してる」

『お前見張ってろとは言ったけど閉じ込めるとか、危ないことすんなよ…。まいいや、入るぞ』


 言って忠煕ともう一人警察官が入ってきた。


「…あたし忠煕しか呼んでないんだけど?」

「警察官はツ―マンセルが基本なんだ。我慢してくれ。あとこいつ、後輩の塘添ともぞえな。」

「どうも。」

「どうも…。で、あとは任せていい?」

「少し待て、まずは事情聴取だ。説明してくれ。」

「あたしは早くしてほしいんだけどな…。」


 ぼやいてはみたものの、警察にも順序があるのだろう。素直に家に着いてからの顛末を説明する。


「女の子ねぇ。りょーかい。住居不法侵入で現行犯だな。そんな訂で行くぞ塘添。」

「はい、先輩。」


 二人がドアの前の荷物をどけていく。扉が開けられるようになってから二人は慎重に入っていくが、まだ脱衣所にはいないみたい。とんだ長風呂だ。


「おい、警察だ。家主が困っているから一旦出て話を聞かせてくれ。」


         沈黙。


「…返事が無いですね、先輩。」


 後ろから様子を見ていた自分も何か様子がおかしいと気づく。


「…開けよう。」


 忠煕が思い切って風呂場を開け放つ。


 熱気と湿気の籠った空気が一気に流れ出る。


「…⁉おい!大丈夫か!」


 そこには、“猫耳としっぽの生えた”全裸美幼女が、のぼせて横たわっていた。





 一旦荷物を片付け終わって、リビングへ行く。風呂場で倒れていた幼女をソファーに横たえ、塘添さんがうちわで煽っている。猫耳幼女が目を覚まさない限りは事情を聞けそうにない。


 それよりも、こうして現実に猫耳が生えた人間を目の当たりにしてみるとなんというか…。


「気持ち悪いな」

「は?どうした急に。」

「いや、人に見えて人じゃない存在が目の前にいると思うと・・・。それより忠煕」

「ん?」

「この子どうするの?普通じゃないでしょ?警察に保護してもらうにしても、猫耳の幼女が住居不法侵入してましたって、ラノベじゃあるまいし…」

「そうだな。」


 忠煕は警官帽を取り、ボリボリ頭を掻いている。


「さすがに動物園の調査対象にするのは、なんというか可愛そうだし。かと言って、孤児院に預けるのもプチパニックになりそうでアレなんだよな…。それよりも大黒木警部になんて報告しようか…。」


 大黒木さんは忠煕の上官でこの地域を管轄とする警部の一人だ。偶にある飲み会で忠煕が酔いつぶれた時に迎えに行ったので面識がある。


「…んにゃぁ…。」

「先輩、気が付いたみたいです。」


 時刻は9時を過ぎた。ようやく話が発展しそうだ。


「…!ここどこにゃ!ミーに何しようとしてるにゃ!」


 幼女が暴れ始めた。


「塘添!」

「はい!」


 さすが警察官と言うべきか、暴れてる幼女を後ろ羽交い絞めにし、すばやく手錠をかける。塘添さんがソファーに押さえつけていると、しばらくしておとなしくなった。しかし幼女は半泣きである。


「にゃぁぁ…。ミーは奴隷にされるのですにゃぁ…?」

「警察にそんな趣味はねぇよ。大人しくしてれば何もしないし。その前に、幾つか聴取させてくれ。」

「…わかったにゃ。」


 もう大丈夫と分かり、拘束を解く。手錠は付けたままではあるが仕方ないであろう。


「まず、名前は?」

「メイリーン・シャムロックにゃ。」


見事な横文字だと思ったが、そこは口を出さないでおこう。


「…その“にゃ”って語尾辞めてもらえない?すげぇ気が散る。」

「これは仕方ないのにゃ、猫娘キャトルスは生まれた時からこの喋り方にゃ。今更やめられないにゃ。」


 どこの異世界物の設定だよ、と思ったがまだ口には出さないでおこう。


「…質問を変える。なんでこの家に侵入した?窃盗目的か?あとどうやってこの家に入った?」


確かにそこは気になっていた。ここはタワーマンションの17階で、侵入するのにも一苦労であろうに。かと言って物を取られた痕跡もない。目的がわからない。


「そんなの簡単にゃ。風の飛翔魔法を使ってそこの隙間から入ったにゃ。ミーは体が小さくて柔らかいから簡単には入れたにゃ。」


 そこと指をさしたのは、キッチンの換気用ダクトだ。ダクトはベランダに繋がっており、この体の小ささなら通れるかもしれない。しかしその前に気になる単語を発していたのでつい口を挟んでしまう。


「風の飛翔魔法?」

「何か変なこと言ったにゃ?」

「いや、ゲームや漫画じゃないんだから、そんなことありえないでしょ。」


 我慢できなくなってつい、先ほど思ったセリフを吐いてしまった。


「この世界には魔法の概念が無いのかにゃ?」

「ない。そんなもんあったらとっくに使ってるよ。」


 この子は本当に何を言っているのかという感じでこちらの様子を伺っている。


「おーい、続きいいか?」

「口挟んで悪かった、続けてくれ。」

「で、なんでこの家に侵入した?」

「それは、この部屋から魔力を感じたからにゃ。」

「魔力?」


 全員がまた、何言ってんだこいつ、ってなった。


「こっちの世界にも同じ力を持った人物が居るのかと思って、この塔のここの部屋で待っていたにゃ。あと、体がなぜかべたべただったので、お風呂お借りしてたにゃ。」

「…まぁよくわからんが、人様の家に勝手に入って好き勝手なことしたらいけないんだぞ。わかったか?」

「この世界のルールがそうなら気を付けるにゃ。」

「最後に、あんたの住んでた家の住所を教えてくれ。」

「はいにゃ。ジャファー帝國ネルコニア領チャオ村の南地区にゃ。」

「…は?」


 全員困惑した。


「ジャファー帝國ネルコニア領チャオ村の南地区にゃ。」

「…すまんが、そんな場所は日本にはない。」

「やっぱりそうにゃ。ここは異世界なのにゃぁ。ミーは帰れるのかにゃぁ…。」


 またよくわからんが、半泣きになっている。


「忠煕。どうするんだこの子?」

「んー、まぁしゃあなしだが、一旦署で預かるわ。明日にでも詳しいことを聞く。」

「そっか。じゃぁ後はたのんでいいか?」

「…の前に、こいつに服一枚貸してやれないか?いつまでも裸はかわいそうだ。」

「金は帰ってくるんだろうな。」

「もちろん、経費で落とす。」


 なんであたしが、と思いつつ、適当な服を見繕ってやった。大分ぶかぶかではあるが。


「じゃあ行くぞ、猫娘。」

「嫌にゃ!」

「わがまま言うな!」

「にゃーー!」


猫耳幼女はしばらく抵抗していたが、塘添さんに抱えられ出ていった。


「ありがとな、忠煕。助かった。」

「休日返上で来てやったんだ。今度飯でも作ってくれよ。夏実も連れてくからさ。」

「ん。考えとく。」


 あたしの返事を聞いて忠煕は出て行った。


「さてと、風呂入って今晩はラノベでも読み耽るかな。」


 欠伸交じりで呟きながら、脱衣所のドアを開ける。するとそこに見慣れない服があった。


「こんなコスプレ衣装持ってたか?…違うな。」


 広げてまじまじと見ていたが、サイズも違うし磯臭い。というか、完全に猫耳娘の服だった。忘れていきやがって・・・。せっかくだし洗濯して明日警察署に持っていってやろう。洗濯ネットに入れて自分の着ていた服と一緒に洗濯機を回した。



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