第3話 星飾りと涙

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「あれはなんだろう?」


何かが光っている。

螺旋を描きながら、その光は海の底に沈んでいった。

人魚は気になって、光が落ちていった先に泳いでいった。


暗い海の底で、時々チカチカっと何かが光った。


「あ、あれだわ…」


砂の上に落ちていた光るものを、人魚は手に取った。

金色に光る丸い輪と、その近くに星の形をした小さな飾り。

人魚にはそれが何かはわからなかったが、ひと目見て、その美しさに驚いてしまった。


「こんなきれいなもの、初めて見た…。これはいったい…?」


これはきっと、誰かの大切な物。

その人にこれを返さなきゃ…

でも、どうすれば…?

どこから来たのか…誰の物なのか…


考えてもわからない。

でも、なくさないように、大事に持っていよう。


人魚は丸い輪を腕にはめてみた。

それは人魚には少し大きかったけれど、人魚は落とさないように大事にすることにした。


この星の形をした物は、なんだろう?

裏には何か金具のような物がついていた。

人魚はよくわからないまま、自分の髪にそれをさしてみた。

これならきっとなくさずにすむ。


光る腕輪と星の髪飾りは、人魚の腕と髪でキラキラ光っていた。


あの日、人魚が陸を見に行ったのは、この腕輪と髪飾りのせい。

人魚は、それが空から降ってきたのだと思った。

決して手の届くことのない、不思議な空…


海の上はどんな世界なんだろう?

このきれいな物は、どこから来たんだろう?


人魚のそんな好奇心が、あの少年との出会いだった。

この腕輪と髪飾りが落ちてこなかったら、海の上を見に行くことはなかったかもしれない。


人魚と少年を結ぶ大切な物。

人魚はまだ、そのことを知るはずもなかった。



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