蒼真まこ著『あおとみずいろと、あかいろと』

こんにゃー水銀あんじゅです。今回はツイッターで募集した企画、

#RTしたあなたの小説を12星座に当てはめます。をやっていきます。

企画の都合上、ネタバレの恐れがありますことをご了承ください。

今回は、現代もの小説やライト文芸を中心に活動なさっている、蒼真 まこさんの作品です。


作品概要

女子高生の芹沢朱里は叔父と二人暮らしで、幸せな日常を送っていた。

しかしそこに自分を捨てたはずの、叔父と双子の実の父が帰ってきて? といった、ホームドラマ風青春群像劇です。


主人公の12星座イメージ

この作品は群像劇なので、章ごとに主人公が変わります。

まず序盤の朱里から、朱里の父水樹、そして叔父の青葉と視点が変わります。今回は一章の朱里に焦点を当てたいと思います。


朱里はずばり蟹座でしょう。


蟹座というのは人の共感を重視する星座で、感受性が豊かです。

朱里は叔父の青葉にべったりといっていいほど、甘えています。

わたしは本文に気を取られていたため、序盤では小学生では? ――回想から現在に切り替わりはありましたが――と思ったほどでした。

高校生にしては、親代わりの叔父にすごく密接にかかわっています。


主要舞台の星座イメージ

こちらも蟹座になります。というのも家庭自体が蟹座の管轄なんですね。

蟹座というのは自分の基盤や居場所を指します。

青春群像劇と銘打っている本作ですが、

わたしとしては家庭病理のお話だろうという実感です。

ちなみに青春を管轄しているのは、自分を押し出していく獅子座です。


文体の星座イメージ

文体は乙女座の印象でした。

描写が克明で、すごく詳細で緻密なのが乙女座の特徴です。

例えば序盤の目覚めの場面はこんな緻密さがあります。


 朝の目覚めは、おじさんが作るオムレツの音で始まる。

卵を角でこんこんとやって、ボウルに割り入れる。

菜箸で手早く混ぜ、調味料を入れたら、バターを溶かしたフライパンへ。

熱したフライパンで卵液が踊り、焼けたバターと卵の香りで満たされていく。

これまで何度も見てきたから、音だけでどんな行程なのかわかってしまう。


 ここの場面は、五感の快不快を大切にする牡牛座らしさも感じます。

実際にその場にいるような描写で、音や匂いまで伝わってきそうです。


 あとは父親の水樹との再会の場面


芹沢水樹が私の名を呼ぶ。

『お父さん』と呼んだほうがいいんだろうけど、呼び慣れてない私には、なんだか恥ずかしく思える。

何日も洗ってないであろう、薄汚れたダンガリーシャツに、よれよれのGパン。

両腕を私に向けながら、ふらふらと近づいてくる。浮浪者のような姿も相まって、異様な雰囲気を醸し出している。

近づいてくる父親を茫然と見ていたが、私を抱きしめようと両腕を広げた瞬間、我に返った。飛び跳ねるように、咄嗟に後ろに下がってしまったのだ。


 嫌だと思っているのに、相手をここまで詳細に観察して描写させるというのは、

細かい所によく目が行き届く乙女座らしさを感じます。


まとめ

ある家庭の青春時代を切り取った話ですが、

家族の話で、自分の落ち着ける居場所に対してのお話しのため、蟹座らしさを感じました。文体の緻密さは乙女座です。


素敵な作者さん情報

蒼真まこさんは、エブリスタを中心にカクヨムでも活動されています。

蒼真まこさんのカクヨムアカウント(@takamiya777)


次回予告

次回は9さんの『騎士人形とキトゥン』を紹介予定です。


企画について

企画の進捗についてはツイッター内のハッシュタグ、 #RTしたあなたの小説を12星座に当てはめます第一弾進捗 をご覧ください。

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