第3話 僕は仕事ができない②:24歳・怪我

 入校して一ヶ月ほどだった頃

 週初めのことだった


 夕方の柔道の授業の時間で、寝技の時に右の膝をひどく痛めた

 そして、何度か病院に行って処置をしてもらったのだが「靭帯に目立った損傷は見られない」ということだった


 しかし、横になっていても冷や汗が出るほどの痛みがいつまで経っても治らない

 その日が終わり、就寝する時、祈るような気持ちで膝にコールドスプレーをかけて湿布を貼り

 「どうか、明日の朝には治っていますように」

と願いしかなかった


(結果なのだが、その痛みはいつまでも続き、警察官をやっていた8年間…警察を退職するまで、じわじわと俺の中に残っていた)


 当然、柔道も、走る訓練もついていけなくなり、そして順調に他の同期との人間関係も悪くなっていった


 学科の授業も、どうにも頭に入ってこなくなり、人生で初めて「劣等生」と呼ばれる期間に突入した


 今思えばあの時にはもうすでに警察を辞職するタイミングだったのだろう…入校の時に感じた激しい違和感は、あれは自分の中からの危険信号だった


 そして、もう何が何だかわからないまま、警察学校をなんとか卒業できて、そして地元の都道府県の北部にある警察署に着任した


 警察学校の頃も地獄だったが


 ここからが本当の地獄の始まりだった


 

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