第2話 僕は仕事ができない①:24歳・Kのつく学校
「早くならべよ!」
とかそこに入校一番に怒鳴られたってわけわからない…
1年間の就職浪人を経て、地元の県警に受かってそこに就職したのは24歳の春
警察というのは試験に受かると、まず最初に「警察学校」というところに入って、大卒なら半年、高卒・短大卒・専門学校卒なら10ヶ月の訓練を受ける
前日に荷物を搬送し、そして実家を自転車で出発してその施設内に入った時からロクな予感はしていなかったから大して驚かなかったものの、激しい違和感を感じた
「試着してみろ!」
とりあえず俺を含めみんな背広でくるわけだけど、そしてそこで背広を脱いで、警察の制服とやらに着替えるわけだ
袖を通したその瞬間に感じた直感
「うわ…俺…これ…いやだ」
は正しかった(俺にとっては)と今では思っている。
今となってはあの時『すんません、やっぱり僕無理なんで、失礼します』と言って帰って来ればよかったと心から思っているが…
当時の俺はやはり『せっかく就職できたのだから、石にかじりついてでも頑張らないと』と、自分を押し殺すのがただでさえ苦手なのに、必死に自分を下手くそに押し殺そうとした
同期の顔は今でも覚えている、しかし、顔は覚えているが、一人一人の名前は思い出せない
「あいつと、あいつと、あいつは仲良かったな」
「あいつと、あいつと、あいつとは二度と会いたくないな」
その程度のものだ
警察学校は入校してしまえばその先の生活は単調なものだ
朝起きて怒鳴られて、そして1〜2キロ程走らされて、掃除をして、はっきり言って全くうまくもない飯を時間内に喉に流し込むように食べて、着替えて、学科と呼ばれる座学をして、柔道や剣道といった訓練を受けて、そしてその日の1日が終わるわけだ
そのうち、本当にどうでもいいことで教官と呼ばれるその年度に警察学校の職員として配属された先輩警察官から呼び出しや叱責を受け、そして連帯責任という名目で何かしらの罰を受ける
俺の自律神経が持ったのは最初の一ヶ月だけだった
その後は24年間生きてきて初めての、『冗談のような不調』が表面化した
…表面化した…
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