第14話
母と買ってきた食材で俺が作れそうなものといったら、焼きそばぐらいだった。
よし、渾身の焼きそばを作ろう。紅生姜も青のりもあげ玉だってある。
肉、野菜類、麺は別々に炒めるのがポイント。順番も肉、野菜類、麺の順だ。肉は旨味を引き出すように、野菜はシャキシャキ感を残すように、それぞれに塩胡椒で下味をつけておく。麺はまず水を足して蒸し焼きに、そして水分を飛ばしてから炒める。肉野菜を再び投入してからソースでまとめる。ウスターと中濃を使う。上手く照りを出したい。子ども向けだから少しケチャップを隠し味に。盛りつけて紅生姜を添え、青のりとあげ玉、かつお節を振ったら出来上がりだ。
残りは自分の夕食用に取っておく。
「美味しそう!」
姫子は歓声を上げた。
「いただきます!」
可愛らしい見た目からは想像しがたい豪快さで、姫子は焼きそばを頬張った。
「美味いか?」
「うん!」
俺は隣でノートPCを立ち上げる。せっかくだから、今後会うカウンセラーを一緒に決めてしまおうというわけだ。
電源を入れ、画面が立ち上がるのを待つ。
…………これから先、一体何人のスピリチュアルカウンセラーに会えば、本物のチャネラーに当たるのだろう。
「本物は少ない」と東堂は言っていた。
…………。
——あ、ヨハンさんの力を借りたらいいんじゃん。
なぜもっと早くに気づかなかったのか。
「姫子、今から片っ端にスピリチュアルカウンセラーを検索するから、ヨハンさんに本物かどうか聞いてくれ」
「んごへがはっはへ!」
姫子が口の中をいっぱいにしながら答える。
たぶん、「その手があったね!」と言ったのだろう。
しばらく探して、俺たちは一人の女性に白羽の矢を立てた。
大空歩美。
カウンセラーではなく、セミナーを主催しているらしい。早速予約を入れた。
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