5・さよならだけどさよならじゃない

そして、日常に戻っていく。


朝起きて、



いつもの通学路を通って



学校へ行く。


朝はおはようから始まり、


ホームルームが行われる。



授業が始まり、



そして終わる。



そんな日常生活が続く。


「あれ? どうして机がひとつ多いの?」


 そんな中で麻美が教室の不自然さに気づいてつぶやいた。


「あれ?  確かに多いわね」


それに樹里が首を傾げながら、なぜか一つ多い机を見ていた。


「幽霊じゃないのか?」


「そうそう、そういう噂あるじゃん」


後藤たちが言っている。


「そうかしら?」


 麻美が納得いかない顔をしていた。



その様子を見ていた弦音は、一つ開いている席へと視線を向けた。



その机を使っていた人が確かにいた。


ほんの数日の間だったクラスメイトだ。


けれど、彼の姿はどこにもなかった。


いや最初から存在しなかったことになってしまっているのだ。


そう弦音以外のクラスメイトたちは、その存在を知らない。彼らの記憶から完全に抜け落ちてしまっている。


だけど、弦音は知っている。



弓道場で長い年月を過ごして、麻美に好意を抱いた一人の男のこと

を……。


彼がどうなったのかは弦音は知らない。


教えてくれないままだったからだ。


今度いったときに聞いてみようとは思ったのだが、どうもいやな予感がしてならない。



果たして、聞いていいモノか。




そう悩んでいるうちに気づけば、弦音は『かぐら骨董店』の店の扉を叩いていた。


「こんにちわ」


 弦音が入ると、そこには見慣れた人たちの姿がある。だれもが困惑している中で桃志郎だけがニコニコと楽しそうに笑っていた。


「というわけで、新しい仲間を紹介します」


桃志郎の隣には一人の少年がいた。制服からいって弦音と学校だということはわかる。


どこかでみたことある気がするが、すぐにだれなのか思い付かなかった。


弦音が首を傾げていると


真田武史さなだたけしです。前世は横谷仁左衛門武村でした。よろしくッス」


 と自己紹介をした。


「ええええええええええええ!!!!? 」



 その名を耳にした瞬間に弦音が思わず絶叫してしまった。






















仲間がまた一人増えた。



けれど、


これからどんな物語が語られるのだろうか。



それは



またの機会に










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