2・桃志朗のお願い♥️

「そういうことか。あの高校の過去ってのは……」


 そこの書かれた文章を読んだ尚孝は納得した。


 あの学校にずっといた武将。女子高生が化け物花に変貌を遂げた事件。そして、今回は黒死蝶が学校のほうから出現したことから推測できたのは、あの学校のある場所で多くの人が亡くなったかもしれないということだった。


「もしかして、地縛霊の巣窟ですか?」


 柿原が尋ねる。


「そういうわけじゃないと思うぞ。それなら、学校が建てられる前に処理されているはずだろう」


「そうですね。そうじゃなきゃ。怪奇現象だらけですね。でも、この写真は、今回の件と関係があるのですか?」


「ほら、少女の肩を見ろ」


 柿原が写真を見る。なにかが少女の肩に乗っているのが見えたが、なにせ白黒だ。はっきり何かわからない。


「カラーにしてみればわかる」


 そういいながら、パソコン操作すると、白黒だった写真がきれいにカラーで映し出された。そしあ、その肩に乗っているのが黒い蝶であることがわかった。


「本当だ。でも、芦屋刑事にも見えているんですね」


「写真だからな。あれは霊力ゼロでも見えるさ。とくに黒死蝶は徒人にも見える確率が高い」


「そういうものですか」


「そういうこと」


 尚孝が立ち上がった瞬間、ポケットに入れていた携帯が鳴り始めた。


「ちょうどいいところだったか」


 尚孝が着信を見るとすぐにとる。


『尚孝♡ やっほー♡』


「桃志郎か。ちょうどよかった。例の件だが」


『尚孝♡ もうあがりかい?』


「ああ。もうあがりだが?」


『じゃあ、そっこうで店に来てくれるかい?』


「そのつもりだが、どうした? なにかあるのか?」


『じつはねえ。もう一つ、君にお願いがあるんだよ』


「は? またか。お前は相変わらず注文が多いぞ」


『いいじゃん。どうせ、帰ってもだれもいないんでしょう。明日非番だっていっていたしい。ちょうどいいじゃん』


「一人身で悪かったな。それで、俺に次はなにを頼もうとしている」


『あのねえ。特訓につきあってくれないかい?』


「特訓?」


『そう。特訓♡ 弦音くんにドラム教えてあげて♡』


「はっ?」


 尚孝は話が見えず、顔を歪めた。


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