4・あのときのこと?

 その様子を見ていた桜花は昔のある出来事を思いだしていた。


 いつのことだったのかはよく覚えていないが、小学生のころのこと。


 桜花の地域の子供クラブでキャンプが行われた時のことだった。


 その時、桜花は別の場所にいたのだが、愛美がおぼれたという話を聞きつけて慌ててみると、ぐったりした愛美を背負って歩いてくる朝矢の姿があったのだ。


 なにがあったのかはわからないが、愛美はぐったりしているし、朝矢は傷だらけだった。


 その当時の朝矢は愛美よりも小さくやせ型。その上、満身創痍の状態で自分よりも大きな女の子を抱えていた。


 いったいなにがあったのかはわからない。


 ただ愛美が濁流に呑まれたところを朝矢が助けたということらしい。


 その時だったのだろうか。

 

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