第520話 妖魔界でのデート(?)

 そんなこんなで翌日。


 美味しいご飯を食べて、疲労感のおかげでぐっすりと眠れたボクは、次の日頗る快調だった。


 そんなボクは今日、一緒に妖魔界を見て回ることになってます。


 デートですね。


 ボクたちが妖魔界を散策している間に、天姫さんたちが帰還のための準備をしてくれることになっています。


 ここに来てから、五日目で帰れる計算かな。


 何はともあれ、無事に帰還できそうで何よりです。


 ……どういった原理でこの世界に来たのかは、結局わからないままだけど。


「じゃあ、行ってきます」

「あぁ、気いつけてなー」

「うん。じゃあ、行きましょうか、美羽さん」

「うん!」


 起床後に朝食を食べてから、ボクたちはデートに出発。


 セルマさんとフィルメリアさんの二人は先に帰還に必要なことをしている最中で、代わりに天姫さんが見送りに。


 ちなみに、伊吹さんも天姫さんの屋敷にいたり。


 伊吹さんは準備の雑用係だそうです。


「それで、どこに行こっか」

「そうですねぇ……天姫さんに、この世界の地図を貰いましたし、これを頼りに歩きましょうか」

「あ、いいねそれ。見せて見せて」

「はい、どうぞ」


 屋敷を出発し、どこへ行こうかと話す。


 その際に、あらかじめ天姫さんから受け取っていた地図を『アイテムボックス』から取り出して広げると、美羽さんが見せてと言ってきたので、もちろん断らずに手渡す。


「へぇ~、結構簡素だけど見やすいね」

「ですね。多分、作図が得意な妖魔がいるんじゃないですかね?」

「かもしれないね。……ん~と……あ、ねえ依桜ちゃん。こことかどうかな?」


 美羽さんは少しだけ唸ると、地図のある一点を指で指示した。


「どこですか?」

「ここ。この、水峪の村って言う場所」

「水峪……たしかに、ちょっと気になりますね。行ってみましょうか」

「うん! 行こう!」


 美羽さんの希望で、まずは水峪の村という場所へ向かうことになった。



 目的地は、天姫さんの屋敷からそう遠くない位置にあり、徒歩で大体一時間ほどで到着。


 道中は仲良く話しながらの移動に。


 そして、目的地である水峪の村がどんな場所かと言えば……


「「わぁ~~~~、綺麗……」」


 とても綺麗な場所でした。


 もともと、空気を悪くする原因となる、排気ガスなどがないためか、この世界はとても空気が澄んでいて、かなり過ごしやすい。


 空気が澄んでいるという事は、ほぼ必然的に水質も綺麗という事。


 その答えのような光景が、ボクたちの目の前にありました。


「すご~い、かなり深そうに見えるのに、水底が見えるよ!」

「ですね。しかも、周囲も自然豊かですし、綺麗な花もたくさんです」


 そう言いながら、周囲を見回す。


 ボクたちの視界には、かなりの深さの水で埋め尽くされた谷のようなものがあり、その周囲には植物でできた家のようなものがちらほらと。


 さらには、色とりどりの花が咲くお花畑もあった。


 ただ、この世界は少し薄暗いから、綺麗なお花畑があっても……と思うかもしれないけど、むしろ薄暗いからこそ幻想的に見えるものが存在していました。


 それは、光る花の存在。


 ボクたちのすぐ近くにもあるその花は、大きさで言うと二メートルほどあり、植物としては鈴蘭が近いかな?


 花の部分が淡い青みを帯びた緑色の光を放っていて、辺りを淡く照らしていました。


 水中にも光る石があるみたいで綺麗だし、よく見ると水の中にも家のようなものがあった。


「名前を見た時から少し思ってましたけど、この村ってもしかして、水に関係する妖魔が住んでいる村なのかもしれないですね」

「なるほど、言われてみれば。……あ、ねえ依桜ちゃん、あそこにいるのって……」


 水中を見ていて何かに気付いたのか、美羽さんが水の中のある一点を指さす。


 ボクも釣られてその先を見ると……


「もしかして、人魚?」

「それに、あれって河童じゃないかな?」

「え? ……あ、ほんとだ」


 美羽さんの言う通り、水中には河童の存在もあった。


 人魚に河童……なんだろう、微妙に世界観が違うような気がしてならないけど……うん、まあ、細かいことは気にしちゃダメなんだろうね。


「やや? これは不思議なお客さんだ」


 ボクと美羽さんが水の中を覗き込んでいると、ふと誰かに声をかけられた。


 誰だろうと思って振り向くと……


「こんにちは、美しいお嬢さん方。こんな水と花しかない場所に何か御用で?」


 そこには、尻尾が二股に別れていて、足二本で立っている猫がいました。


 ……うん?


「え、えーっと……」

「おや、もしや突然声をかけられてお困りかにゃ? そう言えば、法の世界の……たしか、日ノ本では、自分から名乗るのが礼儀だった気が……おっとと、そうにゃらばきちんと名乗らにゃいとだにゃ。んっ、んんっ! 初めまして、私めは猫又の描次ですにゃ。お嬢さん方はどこの種族かにゃ? 是非とも教えてほしいにゃ」


 なんて反応していいかわからないボクと美羽さんを見てか、猫又の描次と名乗る猫さんはにこにことした笑顔で名前を尋ねてきたので、ボクと美羽さんは一度顔を見合わせてから、笑みを浮かべて自己紹介をすることにした。


「えっと、初めまして、男女依桜と言います」

「初めまして、宮崎美羽です」

「ふむふむ、依桜殿に美羽殿だにゃ。それで種族は…………って、おやおや? お二方から妖力を感じにゃい……それに、会ったこともない姿に名前だにゃ…………お二方は一体何者にゃ?」


 もしかして、人間ってわかってない?


 ……そうなんだろうなぁ。


 セルマさんたちの話だと、法の世界には魔力量が少なくて、異界の存在は向こうに行けないって言う話だもんね。


 ただ、日本の昔の呼び名を知っているから、ある程度の情報はあるみたいだけど。


 とりあえず、話しておいた方がいいかも。


「えっと、ボクたち実は人間でして……」

「数日前にこの世界に迷い込んじゃったんです」

「にゃにゃにゃんと! 人間ですかにゃ!?」


 ボクと美羽さんが、自分たちが人間であることを告げると、描次さんはややオーバーなリアクションで驚いていた。


 あー、うん、驚くよね、やっぱり。


「……あ、そう言えば天姫様から、『人間が妖魔界を救ってくれた』というお達しがあった気が……はっ! ま、まさか、その件の人ですかにゃ!?」


 情報伝達が速い!


 いや、ここからそんなに場所が離れてるわけじゃないから、当然かもしれないけど!


「え、えーっと……その……じ、自分で言うのもなんですけど、まあ、はい……」

「にゃんと! 私どもの救世主様がわざわざこの村に!? よーし! 村を上げて歓迎するにゃ!」

「ちょっ、そこまでしなくても――」

「こうしてはいられないにゃ! 今すぐ知らせて来るので、適当に村を見ててにゃ! じゃ、そう言う事で!」


 そう言い残し、描次さんはばびゅんっ! という音を残して走り去っていった。


「えーっと……とりあえず、村を見て回ります……?」

「そうだねぇ」


 二人揃って、苦笑いでした。



 描次さんの言葉通り、村の中を見て回ることに。


「植物が家の形をしてるのって面白いね」

「そうですね。あの家とか、見た目は葉か何かでできてそうなのに、結構頑丈そうですし、あっちの家はかなり堅そうですよね」


 水中に関しては無理なので、ボクと美羽さんは地上側を散策。


 そこでは、猫又や妖狐らしき存在が生活していました。


 ファンタジーものの作品ではよく見かける、二足歩行歩く動物、という状況に、個人的にはわくわくする気持ちを抑えられません。


 ……まあ、理由としてはもふもふしたいなぁ、という気持ちですが……。


 え? 自前があるだろうって? いえ、あれは自発的になれるわけでは…………今、なれるね。天姫さんと契約したから、なれるね。


 う、うーん、女委風に言うなら、レア度が下がった、になるのかも……?


「それにしても、綺麗だね~」

「はい。元の世界でもそうそうないですよね、こんなに空気や水が澄んでる場所なんて。それに、光る花のおかげでかなり幻想的ですしね。後で、女委のお土産に写真でも撮っておこうと思います」

「あ、いいねそれ。女委ちゃん、こういうファンタジーな風景好きだもんね」

「というより、非現実的な物や非日常的な物が好きなんですよね、女委って。異世界の時もはしゃぎますし、年に一度のお祭りなんかも大好物ですし」

「ふふ、今年の春や夏もそうだったもんね」

「あ、あははー……あの二つに関しては、まあ……うん」


 美羽さんの話に、ボクは苦笑いと煮え切らない言葉でもって返答。


 今年の春といえば、春休みに色々あったし、夏休みも色々あったからね……。


 その辺りに関してはまたいつか、ということで。


「それにしても、まさか京都でのデートのはずが、こんな素敵な場所でのお散歩になるなんて、夢に思わなかったなぁ」

「普通は異界に行く! なんてこと想像できませんよ」


 ボクなんて、しょっちゅう何かに巻き込まれるけど、それでも予想できないしね……。


「ふふっ、それもそうだね。まあでも、こういう風景を実際に見て体験するのは、自分の演技の幅を広げるために有効だからね。貴重だよ」

「それ以前に、異世界や異界に行った声優さんなんて、美羽さんだけだと思いますけど……」


 むしろ、美羽さん以外にも異世界やいかについて知ってたら、それはそれですごいと思うし驚きだよ。


「そこはそれ。でも、こういう光景を知ることができるだけで、大きなアドバンテージになるから。一つのクールに、必ずいくつか異世界物のアニメってあるから」

「美羽さんって、なんでも自分の力に変えようとしますよね。なんだかすごいです」

「そうかな? でも、有名な声優さんたちは基本的に私と同じじゃないかな。色々なことを体験して、それを自分の演技に活かす。それが演技の上達のきっかけになると思うから」

「たしかに」

「だから、私も今は依桜ちゃんとのデートを全力で体験する所存です! なんて」


 えへ、と可愛らしく笑う美羽さん。


 もともとが美人さんだから、こういう表情とかギャップがあってすごくいいと思います。


 ……言うのは恥ずかしいけど。


「それにしても、本当に不思議な世界だね」

「そうですね。異世界で三年間暮らしていましたけど、妖魔界のような場所はなかったですし、ボクとしても新鮮です」

「へぇ~、異世界にもこういう場所があるのかと思ってたけど、意外とないんだ」

「まあ、異世界とは言っても、よくある異世界物に出てくる場所なんて、意外となかったりしますしね。あれですよ? 結構な頻度で出てくる浮島の存在もないですし」

「え、そうなの?」

「はい。超古代文明の遺跡が! みたいなこともなかったですし、あってもとてつもない効果を持ったアーティファクトがほとんどでしたしね」

「へぇ~~~、やっぱり実際に体験した人が語ると違うね」

「あはは、そうは言っても、ボクが知る限り、というだけですから。地球でもそうですけど、異世界にだってまだ調べ尽くしていないと思うので、案外あるかもしれないですよ」

「そう言えば地球でもまだ調べ切れてない場所もあるっていう話だもんね」


 地球でまだ調べ尽くしていない場所の代表例としては、やっぱり海だよね。


 地球の七割以上が海だし、何より海の中を調べること自体が難しいわけで。


「はい。まあでも、いつかはその未知の部分も解明されそうですけどね」

「ふふ、そうかもしれないね」


 人間の探求心ってすごいから。


「……なんだか、見られてる気がするね」

「で、ですね……」


 話が一旦途切れ、美羽さんが今のボクたちの状況について呟き、ボクも苦笑い気味に相槌を打つ。


 なんと言うか……さっきから、ずっと見られている気がしてならないです。


 あまり見られていると思われないように、周囲を見てみると、人魚や河童、猫又の人たちがこちらを何やら熱が籠った視線を向けてきてました。


 さっきの描次さんの発言から考えると、救世主のような扱いなんだろうなぁ、ボクたち。


「依桜ちゃん、どこの世界に行っても人気になるよね」

「い、いやー、まだ人気者と決まったわけじゃないですよ……?」

「でも、今までと同じパターンだとこの状況って……」

「言わないでくださいよぉ! ちょっと気にしてるんですからぁ……」

「人気者になるくらいならいいと思うけど」

「たしかに嫌われ者になることに比べたら、遥かにいいですけど、あまり人気になりすぎてもそれはそれで嫌ですよ……?」

「あー……それはちょっとわかるかも……」


 ボクの言葉を聞いてか、美羽さんは少し苦い顔を浮かべた。


 その表情を見る限り、美羽さんは人気の声優さんだから、似たような状況になったのかも。


 やっぱり、良くも悪くも人目に触れる人たちはそうなるのかも……。


「……とりあえず、他の場所にも行ってみましょうか」

「そうだね」


 二人して嫌なことを思い出したので、ボクたちは気を紛らわせるために、他の場所へと足を向けた。



「依桜殿―! 美羽殿―!」


 それからしばらく二人でふらふらと歩いていると、後ろから描次さんがボクたちを呼びながら、こちらへ向かって走って来ている姿が見えた。


「描次さん? どうしたんですか?」

「お二方のことを知らせましたら、それはぜひ宴を催さねば! となりまして……ですので、是非ご参加いただきたく……」

「う、宴、ですか……美羽さん、どうしますか?」


 いきなり宴を催されても、ちょっと困惑するんだけど……。


 とりあえず、美羽さんの反応次第かなぁ。


 そう思って、美羽さんにどうするか尋ねると、途端に目を輝かせて、


「行こう!」


 それはもう嬉しそうに行きたいと言った。


 あー、うん……ですよね。


「じゃあ……せっかくですし、参加させてもらいたいと思います」

「ありがとうですにゃ! ささ、こちらへどうぞ! もうすでに準備はできております!」

「早くないですか!?」

「妖魔はいろいろできますので!」


 何その万能感。



 というわけで、描次さんに誘われてボクたち二人はこの村で最も大きい家(屋敷の方が近いかも)へとやってきた。


 中に入り、案内されたのは大き目な扉がある大広間だった。


 そこには、水路らしきものが張り巡らされ、その中にはテーブルや椅子などが存在し、そうでない場所、つまり地上側には丸太などでできた椅子やテーブル、天井には淡い光を放つ植物でできたシャンデリアのようなものが吊り下げられていました。


 なんと言うか……すごくファンタジーチック。


 そして、さらにそのファンタジーチックさを加速させるものがありました。


 それは――


『『『依桜様、美羽様、ありがとうございましたー!』』』


 大勢の猫又の人たちや、人魚、河童の人たちの姿でした。


 いや、うん……宴会と聞いた時点で、それなりに多くの人が参加してるんだろうなぁ……とは思ったけど、これは正直予想外です。


 てっきり、ちょっとしたお店の広間で行われるような、そんな宴会を予想してたのに、まさかの大宴会の方だったなんて、予想できないよ……。


「ささ、依桜殿、美羽殿、こちらへどうぞですにゃ!」

「あ、はい」

「はーい」


 状況に困惑するボクと、楽しそうにしている美羽さんを描次さんが手招きしながらある場所へ促す。


 そこはどう見ても主賓席のような場所でした。


 あと、やたらと派手……。


 これ、さすがに恥ずかしいんだけど。


「では! 主役のお二方が着席したところで、宴会を始めるにゃ!」

『『『おおおおおおおおおおお!』』』

「まどろっこしいことはなしに……乾杯!」

『『『かんぱーい!』』』


 とんとん拍子に進んでるような……気にしたら負けなのかな……?


 やや困惑するボクと、楽しそうにしている美羽さんをよそに、妖魔の人たちが騒ぎ出す。


 どの人も、楽しそうに料理を食べたり、お酒を飲んだりしてる。


「ささ、依桜殿たちもどうぞ」

「あ、ボクお酒は……」

「おや、苦手ですかにゃ?」

「苦手……と言いますか、ボクの住む国では、お酒は二十歳からでして、飲めないんです……すみません」

「いえいえ、そういうことにゃらば仕方ないですにゃ。美羽殿はいかがですかにゃ?」

「あ、私はせっかくなので貰います」

「では、どうぞどうぞ!」


 美羽さんの反応を受けて、嬉しそうに笑った後、描次さんは美羽さんの持つコップにお酒を注いでいく。


 なみなみと注がれたお酒を美羽さんが一口飲むと、驚いた表情を浮かべた。


「美味しい!」

「ほんとですかにゃ?」

「はい! 私、お酒はそこまで飲まない方なんですけど、これはいくらでも入りそうです!」

「にゃはは! 実はそれ、この村で造られたお酒なんですにゃ。この辺りは、妖魔界でも一、二を争うレベルで水が綺麗だからにゃ。美味しいお酒ができると言うわけにゃ」

「へぇ~、じゃあ特産品だったり?」

「そうですにゃ。あ、依桜殿、よければこれをどうぞ」


 そう言いながら、描次さんは透き通った紫色の液体をボクのコップに注いだ。


 匂いは……グレープジュースっぽい?


「描次さん、これは?」

「そちらはこの村で栽培したブドウから造ったジュースだにゃ。お酒を飲めない人用にと造られたものにゃ」

「なるほど。じゃあ、いただきます」


 そう言う事なら飲んでみようという事で、一口口に含む。


 すると、口の中に芳醇な甘さと、仄かな酸味が広がった。


 全くくどくない甘さで、いくらでも飲めそうな気さえする、そんな甘さのジュース。


「美味しい!」

「それはよかったにゃ! ささ、料理もどんどんたべてにゃ!」

「うん!」

「はい!」


 美味しい飲み物で一気に好奇心が湧いてきたボクと美羽さんは、二人揃って目の前に置かれている料理に興味をそそられ、食べ始めて行った。


 その味はと言えば……


「「お、美味しい……!」」


 とても美味しかったです。


 この辺りで採れたらしき魚のお刺身は新鮮で、噛むと舌の上でとろけると同時に、甘い旨味たっぷりの脂へと変化。


 焼き魚はまた違った美味しさで、噛めばじゅわっと脂があふれ出て、表面に振られた塩が塩味を付与することで、見事な調和のとれたものに仕上がっていた。


 他にも、ローストビーフのような肉料理や、新鮮な野菜と海藻らしきものが盛られたサラダに、果物を使ったお菓子などなど、どの料理も美味しく、ボクと美羽さんは夢中になって食べて行きました。


 とはいえ、ずっと食べているわけではなくて、宴会に参加していた色々な妖魔の人たちがこちらへやって来て、話を聞かせてほしいとお願いされて、ボクたちは色々と話をすることに。


 ボクであれば、妖魔界に来てからの感想や、天姫さんのことに関することや、他の異界の王、つまりセルマさんやフィルメリアさんたちのこと、それから魔の世界に関することなんかも聞かれた。


 反対に、美羽さんは法の世界のことに関して聞かれることが多かったです。


 ただ……なんと言いますか、話しかけられる分には全然いいんですけど……やたらときらきらとした目で迫られるんですよね……。


 尊敬のような感情ならいいんだけど……ボクの場合、そう言う感情じゃなくて、明らかにこう……神様を崇め奉るような感情にしか感じない……。


 あと、勢いがちょっと怖い。


 とはいえ、それを抜きにすれば、とても楽しい宴会ではあったので、とてもいい思い出になりました。



 それからは、村の中を散歩したり、たまに話しかけてくる妖魔の人たちと仲良く話して、こちらの世界での一日が、もうすぐ終わりというところでボクたちは村を後にしました。

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