第503話 二度目の学園祭終了
『ご来場の皆様にお知らせです。一般開放終了二十分前となりました。正門はかなり混雑することが予想されておりますので、お早めに支度をすることを推奨します。それから、ご来場の皆様、今回は叡董学園『青春祭』にお越しいただき、誠にありがとうございました。お忘れもないよう、気を付けてお帰りください。尚、時間が四時からは学園生のみの祭りとなりますので、決して校舎内残らないようにお願い致します。また来年もお越し頂ければ幸いです』
学園中に終了の放送が流れる。
そうすると、学園内にいた一般のお客さんたちは名残惜しそうにしながらも帰り支度をはじめ、正門へと向かっていく。
最初の内はまだ騒がしかったけど、徐々に徐々に人がいなくなっていき、気が付けば賑わっていた校舎内は生徒だけとなり、静かになっていた。
なんと言うか、一気に人がいなくなると寂しさに似たなにかがあるよね。
まあ、この学園の学園祭は、ある意味ここからが本番になるけど。
「さて。時間もないし、ささっと集計結果を言うわよー! みんな、期待値はMAXー!?」
『『『YEAHHHHHHHHHHHHHHHHH!』』』
「ま、当然よね。今年は女委プロデュースのお化け屋敷がネットでバズり、かなりの集客を得られたわ。それにより、かなりの売り上げが出た。……その金額は……今手元にあるプリントを見て!」
テンションが高い未果が、あらかじめクラスのみんなに配っておいたプリントを見るよう促す。
そこには、今年のお化け屋敷の売上額が書かれていた。
『『お化け屋敷 テンプレじゃないよっ!』売り上げ。千二百万円』
…………んんっ……!?
せ、千二百万!?
何その金額!?
え、たしかこのお化け屋敷って一人千円で、売り上げが千二百万だから……一万二千人も入ったのこれ!?
え、時間的に無理があるよね!?
少なくとも、一度で入れる人数が二十人。
最短で止めた人が三十秒。
最長で五分。
それで考えても一時間に三桁は無理じゃない……?
何しをしたらこうなるのこれ。
「あ、その売上金額、端数とか切り捨ててる上に、これから入るであろう高等部全クラスから入る二割分の売り上げを加算した結果よ。女委調べで、ざっと七百三十万。なので、お化け屋敷単体の売り上げとしては四百七十万よ」
それでも十分高額だよね、それ。
「……だからま、端数切捨てで大体八万七千円が一人の取り分になるわ」
『『『おおー!』』』
結構貰えるんだ。
やっぱり、お小遣いを稼げるから、学生的にすごく嬉しいよね、このシステム。
ボクだって、今の境遇がなかったら、素直に喜んでたと思うもん。
「ただ、今回は飲食店じゃないから、八万七千円の内、七千円を打ち上げ費用にしたいんだけどいいかしら?」
『『『異議なーし!』』』
「それはよかった。それじゃ、そういうことにしておくわ。……さて、あとは打ち上げとかゴールデンタイムだけだし、始まるまで各々休んでて」
未果がそう言って、クラスメートのみんなは教室内でゆったり過ごした。
『さてさて、只今の時刻は午後四時! これはすなわち、毎年恒例、学園生及び教職員にとってのその年最後の学園祭! 外部の人がいなくなった分、はっちゃけることができるフリーダムな時間! この時間からは、生徒や教職員たちによる打ち上げタイム! 様々なお店で食べ物や飲み物を購入し、どんちゃん騒ぎしたり、気になる異性を誘ってアトラクション系の出し物へ行き、いい雰囲気になったりするのも自由! もしくは、告白大会で晴れてカップルとなった人たちは、どんどん仲を深めてくださいね!』
『『『(ニヤニヤ)』』』
「ちょっ、なんだお前ら!?」
放送で流れたセリフを聞くなり、クラスのみんな(ボクも含む)は、カップルが誕生したばかりの態徒に向かって、ニヤニヤとした笑みを向けた。
態徒はその視線に気づくと、顔を少し赤くしてそう叫んだ。
まあ、うん。これもある意味、仕方ない事かと。
『では、諸注意です。今から行われる、生徒・教職員のみの時間、通称ゴールデンタイムは午後八時までとし、その時間までに帰宅するようお願い致します。ただし、初等部は五時まで。中等部は六時までとし、時間内に帰宅するようにしてください。ですが、高等部に兄、もしくは姉がいる人たちは、一緒に帰宅すれば八時までいてもよしとします。もし、そんな人がいない、という生徒は、信頼できる年上の方がいるか、もしくは友達のお兄さんやお姉さんが許可を出せば一緒にいていいこととします。最後に、人気の飲食店系で、もしも取り合いになりましたら、経営側主導でオークション、もしくは平和的な対決で手にするようにしてください。もしも乱闘騒ぎになれば、最悪停学処分になりかねませんので。……では! 説明等は以上にして早速始めて行きましょう! 叡董学園『青春祭』ゴールデンタイム、スタートです!』
放送から流れる、その回氏の宣言と共に、学園内は一気に揺れた。
このクラスからも、半分くらいの人たちが打ち上げの料理を確保しようと、スタートダッシュを決めてるしね。
「……さて。ボクはちょっと学園長室に行ってくるよ」
「ん、報告か?」
「うん。一応無事に終わったことだし、その報告をね。それじゃあ、ちょっと行ってくるね」
「「「「「いってらっしゃーい」」」」」
みんなの声を後に、ボクは戦争状態になっている廊下へ出た。
「――というわけで、平穏に終わりました」
「なるほど。ご苦労様、依桜君」
「いえいえ。それに、昨日の一件から、今日はかなり厳重にしましたしね」
「さすがに二日連続で襲撃はまずいじゃない? 今回だって、怪我人とかが少なかったり、依桜君が呼んでくれた天使の人たちがいてくれたからこそ、イベントという体で処理できたんだから」
「本当に、味方にしていてよかったですよ」
今回、天使と悪魔双方とも活躍してくれて、特に天使の人たちがファインプレーと言うべきことをしてくれた。
それは、怪我人の治療です。
超常的な力を使うことにはなったけど、それでも怪我の治療ならなんとかセーフだったみたいで、疑われることはなかった。
もし、怪我をしたままだったら、色々と問題になっていたけど、天使の人たちのおかげで何とか問題にならずに済みました。
一応、昨日それらを確認して問題なかったことは知ってたけど、やっぱり次の日が一番確認しやすいからね。
「そうね。……それに、今回もそれのおかげでかなりの売り上げ得られたし、ちょうどよかったわ。今年から、初等部と中等部の新設の影響で、色々と予算がねぇ……」
「まあ、やらなきゃいけないことも多かったですしね」
「そうなの。でも、結果オーライだわ。今年はどこのクラスも、去年の最高売上額よりも高い売上を出していたみたいだし。これのおかげで、かなりのリターンを得られたわ」
「よかったですね」
「ほんとよ。これで、また新しいことに挑戦できそうだし、来年もがっぽり稼いでもらいたいわ」
「学園側が生徒側にそれを言うのって……何と言うか、よくないことな気がするんですが」
「細かいことはいーの」
細かくはないような……。
まあでも、それで学園祭が楽しくなっていることは否定しようのないことだし、ボクだってそれのおかげで楽しめてるわけだし……うん、気にしないようにしよう。
「それに、来週は二年生は修学旅行があるじゃない? そこの資金にも回せるしで、私としては嬉しいわけよ」
「あ、そう言えば来週でしたね、修学旅行」
この学園の修学旅行は、学園祭が開催される次の週に行われます。
結構ぎりっぎりなスケジュールではあるけど、それでも学園祭の次くらいに楽しみにされている行事でもあります。
ただ、なぜその時期に修学旅行があるかと言えば……学園祭で稼いだお金を、その旅行で使えるからですね。
基本、この学園の学園祭はどこもクオリティが高く、結果としてそこそこお小遣いが稼げます。
全体から見て、下から数えた方が早い売上であったとしても、一人一人に入る金額は、最低でも二万以上。
家があまり裕福ではない人も、無理なく楽しめるように、という配慮だそう。
「依桜君も、ちゃんと楽しんできてよ? 修学旅行」
「もちろんです。ボクも楽しみにしてますし、それに、美羽さんとも約束しましたので」
「あぁ、宮崎さん? 何かあるの?」
「あ、はい。一緒に二人だけで回ろう、ということになりまして……」
「へぇ~。まあ、本来は学生のみのものだから、部外者の人と二人だけ、って言うのは問題だけど……ま、彼女はこの学園のOGだし、何より今年は結構やってもらってたし……いっか! うん、問題なし」
「ありがとうございます」
まあ、学園長先生なら許可してくれるんじゃないかなー、と打算的な部分もあったけど、普通に許可を貰えてよかった。
まあ、最悪の場合はボクの分身体をみんなの所に置いて、本体のボクは美羽さんと一緒に観光するつもりだったけど。
「でもまあ、今回はそれが中止になるような事態にならなくてよかったけど。……もっとも、依桜君だけじゃなくて、ミオまでいる時点で、どうあがいても守れるとは思うけど、ね」
「あ、あははは……」
同情交じりのセリフに、ボクは乾いた笑いで返した。
まあ……ね。ボクだけでも、こっちの世界からすれば反則なのに、フィルメリアさんやセルマさんという天使と悪魔、それぞれのトップの人がいた上に、異世界で最強の称号を手にしている師匠がいるわけだからね……何と言うか、うん。こればかりは、あのヤクザさんたちに同情します。
「あ、そう言えばあのヤクザの人たちはどうなりました?」
「あぁ、『神崎組』とか名乗っていた人たちね。まあ、かなり裏であくどいことをやっていた挙句、学生に麻薬を売りつけていたみたいよ」
「……それって、最近この街で学生の間で麻薬が広まっている、っていう話の……?」
「そ。そいつらがやらかしていたみたいでね。それなりに被害者が出ていたけど……」
「けど?」
「その辺りは、ミオに頼んで、薬物をやる前に戻してもらったわ」
「……あ、そですか」
師匠、本当にそんなことで来たんだ……。
いや、まあ、師匠自身が前に治せる、みたいなことを言ってたから、多分そうなんだろうなぁ、と思ってたんだけど……まさか、本当だったなんて。
やっぱり反則だよね、師匠って。
「ともあれ、今回の一件で警察と『百目鬼組』からかなり感謝されたし、『百目鬼組』に至っては、依桜君の下に付いたんだってね?」
「……まあ、そういうことになってます」
魔族、悪魔、天使と来て、次はヤクザ。
酷く場違いな感じではあるけど、現実的に考えれば、これもかなりおかしいと思う。
だって、ヤクザだよ? しかも、百目鬼さん曰く、かなりのシマを仕切ってるらしく、その全てが実質ボクのものになったみたいで……。
権力は、向こうだけのはずだったのに、遂にこっちの世界でも権力を持ち始めちゃったものだから、ボク自身『もう、どうにもなれ……』と、諦めるようになりました。
国のトップの人がボクの下に付いても、もう驚かないと思います。
……まあ、さすがにそれは無いと思うけど……。
「なんと言うか、何でもありになって来たわね、ほんとに」
「……ですね」
学園長先生もこの結末には苦笑い。
それもそうだと思う。
自分が経営する学校の生徒が、ヤクザを味方に付けるような人になっちゃったわけだもんね……。
「まあでも、悪い人じゃないどころか、かなりいいことをしているみたいだし、そういう人が視方にいるのはいいかもね。何かあった時頼れそうだもの」
「……そう思うことにします」
こうなってしまった以上、前向きに考えるしか道はないと思います。
「……さて。私は色々と事後処理でもするわ」
「わかりました。ボクもそろそろ教室に戻ろうと思います。今しがた、メルたちが初頭の校舎からボクのクラスに来る気配を感知しましたので」
「……え、何? もしかして、ずっと感知してるの?」
「ずっとというわけではないですよ?」
「……ほ、ほんとに?」
「はい。少なくとも、今日みたいに、合流するかな? といった場面とか、どこか遠くへ行くことになった時とかくらいです。あと、問題が発生した時ですね」
「そ、そう。それなら安心だわ」
一体、何に対する安心なんだろう?
色々と気にはなるけど、メルたち優先。
「それでは、ボクはそろそろ……っと、あ、そうでした。学園長先生、これをどうぞ」
ボクは学園長室から出ようとしたところで一度立ち止まると、『アイテムボックス』から一つの箱と水筒を取り出し、学園長先生に渡す。
「えっと、これは?」
「いえ、学園長先生、今回はかなり大変そうでしたし、最終日の今日の事後処理とかも大変かなぁ、と思って、お弁当とお茶を持ってきたんです。よかったらどうぞ」
「……い、いいの?」
「もちろんです。学園長先生が頑張ってくれたからこそ、学園祭が成功したわけですしね」
「……私、今ほど学園を経営していてよかったと思ったことはないわ」
「そこまで言いますか?」
「そりゃ言うわよ。だって、学園長相手にお弁当を作ってくる生徒がいるのよ!? これで喜ばない学園長は、経営者としてどうかと思うわ」
「そ、そうですか。……まあ、ともあれ、それを食べて、お仕事頑張ってくださいね」
「えぇ! これさえあれば、残った仕事なんて一瞬で終わるわ! それじゃ、私は仕事に行くわ! じゃあね!」
「はい。ボクも失礼します」
急にハイテンションになった学園長先生と別れ、ボクは教室へと戻った。
「ただいま」
「おかえり。どうだった?」
「うん、問題ないみたい。昨日の一件も、結局イベントということになったみたいだよ。……まあ、さすがにそうせざるを得ないけどね」
「ヤクザの襲撃は本当です、なんて言えば、この学園の信用問題に関わるしな。ま、仮にそのことを公表したところで、依桜の存在やらエナがいるから全然落ちなさそうだけどな。怪我人も最終的には出なかったみたいだし」
「その辺りは、天使のみなさん頑張ってくれたから」
正直なところ、天使の人たちがいなかったら、今頃ボクは分身の術が使える超人女子高生、という風に言われていたでしょう。
ボクも回復魔法は使えるけど、それでも一人じゃ手が回らないからね……。
そういう意味では、夏休みのあの一件は助かったと言えるかもね。
「あ、そうだ。ねね、女委ちゃん」
「ん、なんだい? エナっち」
「学園祭終了間際に、スーツを着た男の人と話してたけど、あれってなんだったの?」
「あ、それオレも気になる」
「わたし、も」
ふと、エナちゃんが女委に学園祭終了間際のことを尋ねると、態徒と鈴音ちゃんも不思議そうな顔をしながら、エナちゃんの言葉に便乗した。
「ん? あぁ、あれ? あれはゲーム会社の人だよ」
「「「「「「……ゲーム会社?」」」」」」
女委のあっけらかんとした返答に、ボクたちは頭が痛そうな顔を浮かべた。
「いやさ、わたしプロデュースのあのお化け屋敷……というより、ゲームか。あのゲームを我が社協力の元、売りに出さないか、って打診があってね」
「……それってつまり、あれを商業作品として出さないか、ってこと?」
「そゆこと」
「「「「「「ええぇぇぇぇぇぇぇ!?」」」」」」
まさかすぎる話に、ボクたちは揃って驚愕の声を上げた。
「なんでそんなことになってるのよ」
「ほら、わたしらのクラスのあのお化け屋敷、SNSとかでかなり話題になったじゃん? 怖すぎるーっ! って。だから、それを売りに出して大儲けしようぜ! ってことだと思うよ?」
「言い方が酷いぞ」
「にゃはは。物を売ると言うことはつまり、金儲けがしたい! ってことだからねん。……まあ、それはそれとして。あれをもっと手直ししつつ、それを『New Era』専用ソフトとして売りに出そう! というわけさ」
普通に考えて、それってかなりすごい事なんじゃ……。
一応、一部のゲーム会社は、『New Era』の情報を発売日よりも前に知っていたとあって、今年の四月頃から様々なゲームが出始めていたり。
まだまだ最新のゲームハードだから、ソフト自体は少ないし、ソフトを開発する会社もまだ数えるほどしかないけど、その中の一社が今回女委がプロデュースしたあのお化け屋敷を商品化しよう、って声をかけたということは、それほどすごいものだった、ってことだよね?
……本当に、女委って何なんだろう。
「それ、で。女委ちゃん、は、受ける、の?」
「おうともさ。お金があって困ることはないし、何より面白そうだしね! あれは学園祭用に作ったけど、本来の構想ならあれの倍以上の長さだったし。そういう意味じゃ、是非とも完成版を作り、それを世に出したいもんです」
「なんと言うか、女委らしいね」
「にゃっはっはー。そこは、ハイスペック腐女子こと、女委ちゃんなのでね!」
本当に、ハイスペックだから余計に質が悪いと思います、ボク。
同じことを思ったのか、他のみんなも女委の発言には苦笑いをしていた。
「……っと、話は変わるけどさ。来週って、わたしたち修学旅行じゃん? 準備どうよ?」
「問題ないわ。……と言いたいところだけど、今年は結構学園祭の準備に時間を取られて、まだ半分くらいしかできてないわ」
「右に同じくだ」
「オレも全然だぜ」
「わたし、も」
「うちも、半分くらいかな」
「ボクは全然」
「「「「「「まあ、依桜(ちゃん)(君)は忙しかったから……」」」」」」
なんで、ボクだけ生暖かい目を向けられてるんだろうなぁ……。
……まあ、原因はわかってるんだけど。
それにしても、今年の学園祭は本当に忙しかったよ……。
まさか、あんな時期に生徒会長になる羽目になるなんて思わないし、何より一番大変な時期に生徒会長になったから、色々と忙しかったしね。
来年は、もう少し穏やかだと嬉しいかな。
「でもまあ、楽しみだよねぇ。個人的に、色々資料として写真に欲しい場所がたくさんあるしね!」
「女委はいつもそれだな」
「むしろ、こうじゃない女委とか、女委じゃないわ」
「にゃはは。よくわかってるじゃないか、未果ちゃん」
「少なくとも、今年で五年目の付き合いだし、わかるにきまってるわ。……そう言えば、班決めとか部屋決めはどうするのかしら? 行くのって来週の火曜日~金曜日よね? その辺、どうなってるか知ってる? 依桜」
修学旅行の部屋割りと班割について、未果が尋ねて来た。
この辺りは、生徒会長だから、って言う理由だよね。
「月曜日に決めるみたいだよ。なんでも、今回宿泊する場所は、学園長先生が出資してる旅館らしいから」
「……あの人、もう何でもありだな」
「異世界転移装置を作っちゃうような人なので……」
ボクはもう、そのことをよく知っているから、みんなより余計にそう思うよ。
「どうせ、今回もこの面子でしょうけどね。鈴音ちゃんは……残念だけど……」
「仕方ない、よ。でも、これからはずっと一緒、だから、きっと、二人で出かける機会、もある、よ」
「……だ、そうよ、彼氏さん?」
「いやー、はっはっは。マジで照れるなー」
後頭部を掻きながら、嬉しそうにそう言う態徒。
なんと言うか、人生の絶頂期にいるみたいだね、これ。
あとは、落ちるだけなのかな?
「……なにはともあれ、学園祭の次の週は修学旅行。ぎゅうぎゅう詰めだけど、楽しくなりそうね」
「そうだね」
この後は、時間になるまでみんなと一緒に雑談をし、途中こっちにきたメルたちともわいわい騒ぎながら、時間いっぱいまで学園祭を楽しみました。
色々と騒動はあったけど、なんとか無事に終えたよかったよ。
……あとは、来週の修学旅行で何事も起きなければ、尚よしかな。
うん。さすがにこうも連発して起こることはないよね!
なんてことを思いながら、ボクたちの二度目の学園祭は終わりを迎えました。
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