第494話 男を見せる態徒(珍しく)
場面は変わり、メルたち妹サイド。
現在の状況はと言えば、明らかにヤバそうなヤーさんらしき男たちが学園内に大勢押し寄せ、暴れ回っている状態だ。
警備が厳重な学園で、一体どうやって武器を持ったまま侵入したのかは不明だが、男たちは学園内の至る所におり、校舎内にも入り込んでいる男たちがいた。
メルたちは、依桜の言いつけ通りに、依桜のクラスである、三組へ向かって走っていた。
幸い、メルたちは小学生であるため、人ごみの中を上手く縫って動けていた。
ちなみにこれは、依桜が休日などに暗殺者としての技術を教えているからだったりする。
とはいえ、まだ戦闘的なことはほとんど教えておらず、教えているのは歩法や、気配の薄め方。障害物がある場所で、どう上手く動くか、という逃げに寄っている。
しかし、戦闘方法を教えていないわけではなく、護身術程度には教えているので、心の底から守りたいと思っているのだろう。
依桜とて、万能ではなく、自分がいない時に危険に晒されるかもしれない、そう思った結果の対処なので、これは正しい行動と言えるだろう。
尚、依桜が教えた護身術は、体術と短刀術に、相手の急所を容赦なく狙うように、という教えである。
主に、目潰しや金的、鳩尾などへの攻撃である。
話を現状に戻し、メルたちは校舎内を走っていたのだが……
『おォ? なんだ、やけに可愛い嬢ちゃんたちがいるじゃねェか』
運が悪いことに、男たちに見つかった。
……最も、運が悪いのは男の方かもしれないが。
「むっ、おぬしらは誰じゃ?」
『ん~、まァ悪い人かねェ? 俺たち、結構暴れるのが好きでさー。でも、ここの警備員強いんだよ。だから、ちょうどいい人質を探してたってわけ。そこに、ちょうどいいガキが現れたじゃん? これはもう……捕まえるしかねェよな!』
そう言うと、男たちは一斉にメルたちに向かって襲い掛かってきた。
周囲にいる生徒や外部からの参加者たちからは、悲鳴やら助けを呼ぶような声が発生する。
その場にいる者たちは当然、メルたちが捕まる姿を想像したのだろうが……男たちが相手にしているのは、生まれたばかりとは言え、異世界の魔王である。
可愛らしい幼女の外見をし、姉大好きな性格ではあるが、れっきとした魔王なのだ。
つまりどういうことかと言えば……
「たぁっ!」
そんな可愛らしい掛け声と共に、勢いのある飛び膝蹴りが近くにいた男の鳩尾に炸裂!
『ごふぅっ!?』
男はあまりの痛みに悶絶し、床にうずくまる。
見事な飛び膝蹴りを打ち込んだメルは、その反動を利用して空中でくるくると回ると、そのまま着地し、近くにいた男に肉薄。そのまま、足払いをかけ前のめりに倒れ、空中に浮いた状態の所を、ドゴンッ――! まさかの顎にアッパーカットをぶち込んだ。
『んがぁっ!?』
男は天井に衝突し、そのまま床に落下。
それを呆然と見ていた他の男たちは、
『お、おい、油断すんじゃねェ! あのガキ、普通じゃねェぞ! まとめてかかれ!』
大人げなく、容赦なく、一斉に襲い掛かった。
……まあ、それすらも無意味となる。
「くらえ、ミオ直伝、すんけい!」
メルは勢いよく突進し、小さな右手を男の一人の腹部に当てると、ミオに教わったと言う、寸勁を披露。
ドンッ!
という鈍い音を響かせ、
『ごほぉっ!』
口から体内の空気を一気に吐き出しながら、後ろにいた男たちへ衝突しながら吹き飛んだ。
「まだまだいくのじゃ! ねーさま直伝、ひねり落とし!」
今度は男の一人の頭を両足で挟み込むと、そのままひねりを加えて床にたたきつける。
『がっ――!?』
男は頭から地面に衝突し、意識を手放した。
『ちょ、調子に乗ってんじゃねェ!』
「うるさいのじゃ! 今度は、これじゃ! かかと落とし!」
そう言いながら、メルは依桜から習った『壁面走行』を使用し、壁から天井へ駆ける。
そして、天井に辿り着いたところで、くるくると回転し、そのまま、ドガンッ! という、ヤバめな音を発生させながら、かかと落としを叩き込んだ。
かかと落としを喰らった男は、あまりの衝撃と痛みに失神し、そのまま床に倒れ伏した。
「儂は、ニアたちを守るという約束を、ねーさまとしておるのじゃ! 手を出させはせんぞ!」
今も廊下に倒れ伏している男たちに向かって、カッコよくそう宣言した。
『え、な、なにあの娘、今、ものすごい動きしてなかった……?』
『いやいや、それ以前に壁走ってなかったか? どうなってんの……?』
『これ、何かのイベント?』
『絶対そうだって。じゃなきゃ、あんな小さな女の子がラノベばりのスーパー幼女みたいな動きしねーって』
などなど、メルのとんでもない動きを見た一般の人たちは、そう話した。
ちなみに、メルたちが依桜の妹であることは、高等部の全生徒が知るところであり、生徒たちは、
『『『女神様の妹だからなぁ』』』
と思ったそうな。
依桜の身体能力は学園では有名であるため、その妹が異常なことをしても『女神様の妹だから』で片付けられるようである。
この後、後からやって来た警備員たちが倒れ伏している男たちを縛り上げて、そのまま連れて行った。
場面は戻り、態徒の視点へ。
「クソッ! なんで追いかけてくんだよ!」
『テメェに用はねェ! その女に用があンだよ! いいからさっさと渡せや!』
逃げても逃げても、別の男たちが現れて、なぜか七矢を狙って襲い掛かってくる。
目的がどうやら七矢らしいが……
「ハァ!? だったら、尚更渡さねぇ! 七矢はオレが守る!」
こんな可愛い女子を渡すとか絶対しねぇ!
「た、態徒、君」
「安心しろ、七矢! 絶対あんな奴らなんかに渡さねーから!」
「……で、でも、た、態徒君、が、危ない、よ……」
「関係ねぇ! ってか、友達が変なことに巻き込まれてるってのに、『はいそうですか』って見捨てるのはぜってぇしねぇ! 変態変態と言われるオレにだって、譲れないものはあるからな!」
「…………でも」
「いいから、気にすんな! あと、もうちょいスピード出すから、あんまり喋るなよ!」
「う、うんっ」
さらに走るギアを上げると、オレは男たちを引き離していった。
「はぁっ、はぁっ……こ、ここまでくりゃ、大丈夫、だろ……!」
七矢を抱えて走っていたオレは、学園の敷地内になぜか存在する林の中に隠れる。
そこまで広いと言うわけじゃないが、それでも身を隠すにはうってつけの場所だ。
「……しっかし、なんであいつらは七矢を狙ってるんだ? どうみてもあれ、ヤーさんだろ」
「……」
「ま、何が来ようが、オレは絶対七矢を守るがな!」
ミオさんの地獄の特訓に比べたら、ヤクザなんて怖くないしな!
……だってあの人、ヤクザよりこえぇし……。
「態徒、君」
だんまりだった七矢が、不意に口を開いた。
「ん、どうした? 七矢」
「わ、わたし、が、襲われてる、原因、なん、だけど……」
「おう。何か心当たりでもあるのか? 借金したとか」
「そういう、こと、じゃない、よ。あ、あの、ね……態徒君、に、嫌われること、を覚悟、で、話す、けど……」
「あー……もしかして、真面目な話か?」
何かすげぇ大事なことを話そうとしている七矢に対し、オレは雰囲気をぶっ壊すような形でそう尋ねる。
正直、真面目な話って苦手なんだよなぁ……。
ってか、そういう切り出し方の時点で、絶対シリアスだって。
オレ、シリアス嫌いなんだよ。
「す、すごく……」
「そっか。……まあ、あらかじめ言うけどさ、オレ、絶対七矢を嫌いになることはないぜ?」
まあ、オレに嫌われることを嫌がってるっぽいし、本心を言うとするか。
「……どう、して?」
「どうしてって……そりゃぁ、中学時代からの友達だし? なんだったら、一緒にいて安心するしさ。そんな奴、そうそう出会ないってのに、それを手放すとか……ないない。だから、何を言ってくれたっていいぜ。オレは、七矢の味方だ」
ニッと笑って、七矢を安心させるように、オレはそう言った。
……これ、ほぼ告白な気がするが……まあいっか!
「……じゃ、じゃあ、話す、ね?」
「おうよ。ばっちこい!」
「……じ、実は、わたし、の、お家……や、ヤクザの家、なの」
「おう。そうなのか」
「……あ、あれ? お、驚かない、の?」
あまりにも簡素なオレの反応に、七矢は困惑していた。
普通、その反応はオレの方だと思うがな。
「いや、たしかに去年の九月頭くらいまでだったら驚いたかもしれないんだが……今のオレじゃ、それくらいじゃ全然驚かないぞ」
「そう、なの?」
「おうよ。何せ、オレの知り合いには、異世界を救った勇者で暗殺者な友人に、すげえ同人作家兼メイド喫茶のオーナーな友人、アイドルな友人、声優な友人に、異世界最強の暗殺者、なんて面子がいるんだぜ? 今更ヤクザの家の娘、なんて言われても、『お、そうか』くらいの反応しかできないぜ」
「……態徒君、の、周り、って、魔境、なの……?」
「いや、オレって言うより、依桜の周りが、だな」
オレたちは巻き込まれる側みたいなもんだしな。
というか、依桜が何らかのハプニングを引き寄せて、それが原因で問題発生! みたいな感じだしな。
いやー、ほんと、退屈しない毎日だぜ。
「そう、なんだ」
「だからまあ、そのことを依桜たちに話しても、ちょっとは驚くだろうが、全員受け入れると思うぞ? なんせオレたち、異世界に行ったことあるからな!」
「異世界、に?」
「おう。今年の夏休みに、異世界に旅行に行っててさ、そん時にまあ、色々とな。だから、オレが七矢を嫌うなんてことはないし、依桜たちにもない。だから、安心してくれ」
「態徒、君……! ぐすっ、ありが、とうっ……!」
「って、泣くな泣くな!」
受け入れてもらえた安心感からか、七矢はぽろぽろと泣き出してしまった。
しかも、オレにぎゅっと抱き着いてくるもんだから、オレもうドッキドキ!
ヤバい状況だってのはわかってんだけどさ、やっぱこう……女子に抱き着かれるって、いいな!
いい匂いするし!
あぁ、オレの至福の時間……。
そう思っていたのだが、
『見つけたぞ!』
ここで、オレの至福タイムを邪魔する奴らの声が!
「って、やべっ! 見つかった! 七矢、逃げるぞ!」
なんて冗談を言っている場合ではなくなったみたいで、オレは慌てて立ち上がると、再び七矢を抱えて走り出した。
「はぁっ、はぁっ……! クソッ! しつこいな、あいつら!」
「ご、ごめん、ね。あの人、たち、は、うちの組、の敵対勢力、で、いつ、も、わたしの家、を潰そうとしてくる、の。だか、ら、今回、の暴動、も、それが原因、だと、思う、の……!」
「マジで!? クソ野郎の集まりじゃねーか!?」
敵の組を潰すために、学園祭にまで出しゃばってくるとか、マジでとんでもねぇ奴らじゃん!
「お父さん、たち、は、今この学園で、その人たち、と、戦ってる、みたい、なの」
「え、じゃあなに? 七矢の組っていい組なのか?」
「警備会社をしてたり、困っている人を助けたり、孤児になった子供の支援をする、くらい、には、いい組、だと、思う」
「マジでいい組じゃん!?」
マジであるんだ、そういうヤクザ!
オレ、もしかして、すごい家の娘さんと仲良くなってたりすんの?
『オラァ! 逃げんじゃねェよ、クソガキが!』
『さっさと、そいつをよこしやがれ!』
「うるせぇ! 誰がそんなことするかよ!」
後ろから七矢を渡すよう言ってくるクソ野郎たちがいるが、オレは断固拒否。
命に代えても守らなければ、男じゃねぇ!
『へへ! 挟み撃ちだぜ!』
「なに!? やべぇっ!」
最悪なことに、前からもヤクザたちが迫って来ていた。
しかも、囲まれちまった。
今いる場所は、学園のグラウンドで、正直ヤバい。
逃げようと思っても、周囲に障害物がほとんどないせいで逃げにくい。
『随分と手こずらせてくれたじゃねーか、アァ?』
『その女だけを殺そうかと思ったが、テメェにも仲良くあの世に逝ってもらうぜ』
「はんっ! お前らの脅しなんか怖くねーよ! 言っとくけどな、世の中には死んだ方がマシだと思えるレベルでこえぇ人がいるんだよ!」
『何言ってんだ、お前』
『いいから、もうやっちまおうぜ。相手はただの学生だ。人数には勝てねーよ』
一応、オレの身体能力はミオさんの特訓で増してはいるが、それでも多勢に無勢。
人数的には、ざっと四十人近くいるヤクザたちを捌くとか、絶対無理。
七矢を連れて逃げるにしたって、マジで逃げ切れる自信がねぇ……。
……いや、違う。
七矢だけでも逃がさなきゃだろ、これは!
「七矢ちょっと我慢してくれよ。絶対守るからな」
「……態徒、君」
「おっしゃ! かかってこいよ畜生共め! お前ら全員、ぶっ倒してやるぜ!」
オレがそう言った途端、
「ほう? 威勢がいいガキじゃねーか」
なんかマジで嫌悪感を隠すことすらしたくないほどの、なんかムカつく声が聞こえて来た。
声の先には、THE・悪人面と言うべき男がいた。
あいつ、なんか強そうな雰囲気だな……。
タイマンだったら勝てるかもしれないが、周りにいる奴らも攻撃してくると考えたら、まず勝つのは無理そうだが……。
「誰だ、おっさん」
「口も悪いのかよ、小僧」
「ヤクザの親玉っぽい奴に言われたくねーよ」
「へぇ、そいつは『神崎組』の頭である、俺に言ってんのか?」
「知らねーよ。ってか、いたいけな女子高生を狙ってる変態たちが威張って言うことじゃねーだろ」
そう言うと、男は目に見えて怒りをあらわにした。
いや、怒りの沸点低すぎだろ。
「……ほ、ほう? 言うじゃねーかよ、小僧が」
「お前が言わなさすぎんだよ、おっさん」
「……テメェは、ぜってぇ楽には死なさねぇ」
「よく言うぜ。ここは、学園って言う公共の場みたいなもんだ。そんなとこで、ドンパチやってたら、いずれ警察が来るだろうぜ?」
こんな大騒ぎになってんだ。
十中八九、警察を呼んでいる……と思いたい。
いや、去年の件があるからなぁ……すぐに来てくれる、か?
「サツが怖くてこんなことやってられるかってんだよ」
こいつ、覚悟が違ったわ……。
……しかし、こうして話をして時間を稼いではいるが……くっ、このままだと、いつ攻撃されるかわからねぇ……。
オレ一人だったら、多少はマシだったかもしれんが、今は七矢がいるからな。
守りながらの戦い、っていうのはマジで苦手だ……。
「さて、話もここまでにして……おい、テメーら! 今すぐこいつらを殺せ!」
『了解だぜ、頭ァ!』
『死ねや!』
「た、態徒、君……!」
「安心しろ、七矢。絶対、傷一つ付けさせねぇから!」
オレの着ている服をぎゅっと掴みながら、怖がる七矢を安心させるように、オレはそう言い放った。
……まあ、この状況を打破する方法なんて、思い浮かばないんだけどな!
そう考えている間にも、周囲の男たちが刀やらなんかよくわからん武器やらを手に、こちらに向かってくる。
オレは覚悟を決め、立ち向かおうとした……ところで、
「そこまでです!」
不意に、どこからか、やけに通る澄んだ声が聞こえて来た。
こ、この声は……!
「そこの人たち。ボクの友達たちに何をしようとしているんですか?」
声の先は上の方。声の主は、屋上にいて、そこには白装束(返り血が描かれたもの)を着て、手に何かを持ち、お面を頭に着けている美少女の姿があった。
「い、依桜!」
「い、依桜、君……!?」
やっぱり依桜だ!
なんていいタイミングで登場するんだ、依桜の奴!
さっすが、異世界を救った勇者(暗殺者)だぜ!
「まったく、今年は平穏に過ごせると思ったのに……しかも……さっき、メルから連絡があって、ボクの妹たちを人質にしようとした、おバカさんがいるみたいですね?」
……あ、やべぇ、依桜の奴超キレてね!?
しかも、マジかよ!
メルちゃんたちを人質にしようとしたバカがいんの!?
知らないとはいえ、それは絶対やっちゃいけない奴だって!
だって現に今、依桜の奴満面の笑みだぜ? しかも、目が全然笑ってないんだぜ? その上、背後にはなんか、謎の白銀っぽいオーラが見えるんですがそれは。
「態徒―!」
「お、おう!? なんだ!?」
「今からそこに行くから、鈴音ちゃんを守って!」
「は? それってどういう――」
オレが疑問を最後まで言うことはなかった。
なぜなら……
「ふっ――!」
「ちょっ!? それはまず――」
依桜がこっち目がけて一直線に飛んできたからな!
オレは七矢を守るべく、全身でガード。
その直後、
ドォォォォォォン!
という音と共に、依桜がオレたちの前、そしてヤクザたちがいるど真ん中へと降り立った。
「それで? 今回の首謀者はどなたですか?」
「俺だ」
依桜の問いかけに、心の底から不愉快になるほどの悪人面をした男が自ら名乗り出る。
あいつ、死んだわ……。
「ふ~ん? あなたが、この学園を襲撃した挙句、ボクの友達を殺そうと追いかけまわし、更にはボクの命より大切な妹たちを人質にしようとした、愚か者、というわけですね?」
「ハッ! ガキが言うじゃねーか。見たところ、とんでもねぇ上玉みたいだが……ひひっ、お前を捕まえて、俺の女にしてやるぜ?」
「何を言っているのかはわかりませんが……ボクの大切な人たちや、妹たちに手を出そうとしたこと自体、万死に値します」
「だからなんだってんだ? 言っとくがな、今頃ここにいる奴ら以外は、至る所で暴れてるぜぇ?」
「そうですね。まあ、そっちは問題なさそうですので、とある人たちに任せてきました。それに、あなたたちが敵対している人たちも、一緒になって守ってくれてるみたいですので」
とある人たち……?
それってまさかとは思うんだが……。
『な、なんだこの桃色髮の女は!? や、やめろ、こ、こっちに来る――ギャアァァァ!』
『何なんだよ、あの緑髮の女はぁ!? 笑顔の裏にとんでもねぇプレッシャーが……な、なんだそりゃ? ちょっ、ま、待て――ギャアァァァ!』
『何だこの化け物!? ウギャァァァァァ――ごふっ』
……ちょい待ち。
「い、依桜さんや……?」
「どうしたの? 態徒」
「いやー、つかぬことをお聞きしますが……もしかして今、どこかの天使や悪魔や、それすらも凌駕するヤベー美人がいたりしない……?」
「あ、うん。さすがに、今回の事態はボクだけじゃ手に余るからね。まあ、解決できなくはないんだけど、去年のような事態は二度と起こさないために、色々と、ね」
パチ、と可愛らしくウィンクをする依桜。
ま、マジっすかー……。
ヤクザ相手に、天使長と悪魔王、さらには世界最強の暗殺者さんすらも動かしちゃったかー……。
「あ、ちなみになんだけど、今回ここに来ているのって、フィルメリアさんとセルマさんだけじゃなくてね。天使の人たちや、悪魔の人たちも呼んでいるから、いつもよりも解決スピードは倍以上だよ」
「それはオーバーキルだろ!?」
どこに、世界すらも一瞬で滅ぼせそうなヤベー人たちを、こんなヤクザ相手に大量の呼ぶ奴がいるんだよ!?
いや、ここにいるけど!
軽く、終末じゃねーか!?
「て、テメェ、何しやがった……!?」
「ちょっと、ボクの伝を使って、色んな人に、この学園を守ってもらっているだけですよ。……さて、態徒、鈴音ちゃん。すぐに終わらせるから、そこで待ってて。態徒はもちろん、鈴音ちゃんを守ってね」
「お、おうよ! 依桜も頑張れよ」
「ありがとう。……じゃ、学園を襲撃して、ボクの楽しい楽しい妹たちとの学園祭巡りを邪魔した罪……許しませんからね!」
結局理由妹かよ!?
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