第302話 ミオのスキー教室 中

 そんな、一日目のスキー及びスノボが終わり、飯を食ったら風呂の時間。


 肩こりが酷いんで、あたしとしては露天風呂の効能がありがたい。てか、実際温泉にある効能ガチだしな。


 イオとメイも困っているらしいし、ちょうどいいんじゃないかね、あの二人は。


 さて、あたしが風呂に入るべく、脱衣所に行くと、何やらそわそわしているイオがいた。


「何してるんだ、イオ」

「あ、あれ? 師匠……? なんでここに?」

「なんでも何も。あたしが一緒に入るからに決まってるだろ。教師だぞ? あたし」


 まあ、露天風呂が楽しみだったのは、イオのクラス担当だったからな、あたし。

 ふっ、このあたしがいれば、覗きなど不可能だ。


「んで? お前は何してるんだ?」

「そ、そのぉ……は、恥ずかしくて、ですね? で、できれば裸になりたくないなぁ、なんて」

「ああ、なるほど。お前、心は、一応、男だもんな」


 納得だ。


 普通の奴の感性だったら、そう思うわな。

 一応、女でいることに違和感がないこいつだが、実際は元男だもんな。


「それで、お前はまだ服を脱いでいないわけか」

「そ、そうです」

「……はぁ。まったく、手のかかる愛弟子だ」


 そう呟きながら、あたしは手をわきわきさせる。

 絶好の機会だ!


「……師匠、その手の動き、なんですか?」


 あたしのわきわきさせた手を見て、イオの表情が引き攣り、後ろに後ずさる。


「さて……このあたしが脱がしてやろう」

「あ、急用を思いだしました!」

「甘い!」


 不意にダッシュで逃げようとするが、このあたしから逃げられると思ったら大間違い!

 フハハハハハ! 弟子が師匠を超えるなど、不可能なのだよ!


「は、離してくださいぃ~~!」

「だが断る!」


 ジタバタと暴れて逃げようとするイオに、つい最近読んだマンガのセリフで黙らせる。


 黙った直後に、イオの服を手際よく脱がしていき、全裸に剥いた。


 ……これ、傍から見たら、犯罪者じゃね? なんてことを思ったが、まあ、弟子だしいいだろ。


「ほれ、服は脱がしてやった。さっさと入ってこい。あたしもすぐ行くから」

「……い、行かないとダメ、ですか?」


 うっ、クソ、可愛いじゃねぇか……。

 お前、涙目に上目遣いは反則だろ……。


「ダメだ」


 まあ、関係ないけどな。

 それはそれ。これはこれだ。


「……はい」


 観念したイオは、バスタオルを体に巻いて、浴場内に入っていった。


「さて、あたしも着替えるかね」


 おっといけない。忘れ物しちまった。

 取ってくるか。



 あたしが忘れ物を取りに戻り、軽く頭と体を洗い終わり、外へ行こうとすると、


『お、おー……なにこれ、すごい……』

「な、なにをっ、んぅ、や、やめ、てぇ……!」


 なんか、イオの喘ぎ声が聞こえてきた。

 いや、エロいな、あいつの声。


『あ、ずるーい。私も依桜ちゃんのおっぱい触ってみたい!』

『私も!』

『わたしも!』

「な、何を言ってっ、るの……!?」

「や、やめっ……あんっ」


 ……すごいな。マジで。

 え、あいつ元男だよな? なんで色っぽい声が出せるんだあいつ。

 たしかに、変声術は教えたが、普段からは使ってないしな……。


『や、柔らかい……!』

『なにこれ、ふわふわしてるし、それでいて弾力があるんだけど!』

『こ、これが本当におっぱいなの……?』

『くっ、しかも、大きいだけじゃなくて、形もいいなんて!』

『くそぅ、羨ましいぃ!』


 まあ、たしかに、イオの胸は同性のあたしらか見ても、完璧といえるくらいの素晴らしいものだ。

 形良し。弾力良し。柔らかさ良し。大きさ良しの、最高の物だ。


 ……あいつの胸って、マジで気持ちいいしな。

 癖になるよな、あれ。


「み、みんなっ、や、やめ……んっ、へ、変な気分っ、に、なっちゃう、からぁ!」


 まあ、さすがにそろそろ可哀そうだし、あたしも行くかね。

 てか、これ以上行くとイオが手遅れになりそう。


「あなたたち、そろそろやめた方がいいわよ」

「そうだよ。悪いことは言わないから、やめておいた方が……」


 ほう、あいつらはあたしの存在に気付いたか。

 なかなかにいいものだな。


「ん、何だお前たち、あたしの愛弟子に何してるんだ?」

『あ、ご、ごめんなさい!』

『い、依桜ちゃんのおっぱいがすごくて、つい……』

『依桜ちゃん可愛くて……』

「あー、そんなにびびらんでもいいぞ。愛弟子が手遅れになりそうだったんでな」


 事実だ。


 正直、イオに何かしてたから、ちょいとお仕置きでも、と思ったが、イオを可愛いと言った上に、おっぱいがすごい、とか言ったんで許そう。


 まあ、同性だしな。


 同性から見ても、イオは魅力的だ。


「し、師匠!」

「お、おお? どうしたイオ」


 ふぉおおおおおおおおおおおっっっ!


 だ、抱き着いてきやがったぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!?


 うっわ、やっべ! こいつ、めっちゃ柔らかいし、すっげえいい匂いがするんだが!?


 てか、風呂に入っていたからか、体が少し赤らんでいて、すごいエロい。


 というか、マジでこいつの胸柔らかいんだが! は、なにこれ、これが胸だと!? こいつ、マジでどうなってんだよ!?


『す、すごい、リアル百合』

『あ、あれが百合……』

『なんだろう。あの二人のカップリング、いい……』

「依桜って、もしかして恋愛対象は女子……?」

「おー、依桜君が百合に……」


 なんて、クラスの奴らの声が聞こえてくる。


 まあ、中身が男だったってことを考えりゃ、イオの恋愛対象が女であることは、別段不思議じゃない。


 てか、それが一番あり得る。


 ……ふむ。ワンチャンあるぞ、これ。

 まあ、それはそれとして。


「イオ、抱き着いてくるのは嬉しいんだが、そろそろ風呂に入らせてくれ」


 普通に風呂に入りたい。

 ちょいと、寒いんでね。別に、向こうのとある地域の寒さに比べりゃ、全然OKだがな。


「あ! す、すすすすみません! そ、その、師匠を見たらなんだか安心しちゃって……」

「お、おうそうか……まあ、あたしならいつでも歓迎だから、遠慮なく抱き着いてもいいぞ?」

「……ありがとうございます」


 やはり、可愛い……。

 あたしの弟子って、なんでこんなに可愛いんだろうな。


「さて、風呂入るぞ、イオ」

「は、はい」


 ちゃぷ、と音を立てながら、あたしは風呂に浸かる。


 はぁ~~~~、マジ気持ちいなぁ……。


 こっちの世界の風呂は最高だ。


 向こうもないことはないんだが、どっちかと言えば、魔法で手っ取り早く済ませるのが普通だったしなぁ……。

 そもそも、お湯に浸かるなんてこと、滅多にしなかったし。


『ミオ先生って、スタイルいいですよね』


 ふと、一人の女子生徒に、そんなことを言われた。


「ん、そうか?」

『はい! 依桜ちゃんとは違った意味で綺麗です』

『やっぱり、努力とかしてるんですか?』

「いや? あたしは、太らない体質でな。昔からこれだよ」


 そうか。やはり、あたしの体は、同性から見ても、綺麗なんだな。

 まあ、あたしはある程度の自覚はあるがな。


 太らないのは、単純にあたしの寿命やらなんやらが問題なんだが……まあ、元々太りにくい体質だったのもあるだろう。


『やっぱり、美人は努力をしなくても綺麗……?』

「さあな。あたしとイオは、あんまり参考にならんぞ。特殊だからな」


 何せ、異世界でかなりの修行をしたんだからな。

 まあ、イオはもともと太らない体質だったみたいだが。

 もっとも。あいつの場合は、食べ多分の脂肪が、全部胸に行っただけなんだろうがな。


「はふぅ~~~……」


 なんて、気持ちよさそうな顔をしながら、寛ぐイオ。


 よく見れば……胸が浮いてやがる。


 いや、イオだけじゃないな。メイの胸も浮いているな。


 ほう。やはり、胸は浮くのか。


 ……なんて言うが、あたしも大概か。


「イオ、お前、風呂が好きなのか?」

「もちろんですよ。ボク、日本人ですからね。日本人は、お風呂大好きですから。それに……肩が楽で……」

「「わかる」」


 イオの言ったセリフに、あたしとメイの言葉が重なった。


「重いよな、これ」

「はぃ……。正直、師匠がボクを鍛えてくれている時とか、痛くないのかなぁ、なんて思ってたんですけど……」

「そりゃお前。なるべく揺れないように動いてるんだよ。じゃなきゃ、やってられんよ」

「おー、さすがミオさんだぜー。でも、ミオさんってほんとにスタイルいいよねぇ」

「ふっ、そりゃお前、あたしだからな。スタイルがいいというのは、武器になったんだよ」

「まあ、前職があれでしたからねぇ」


 女の暗殺者は、時にハニートラップを用いる時があった。


 幸い、あたしの容姿はそれなりに整っていてね。男なんざ、イチコロだった。


 もちろん、本番まで行ったことはない。というか、相手が誘惑に負けた時点で、あたしはすぐに首とか刎ねたり、毒殺したり、絞殺したりしたしな。


 許してない奴相手に、体を渡すわけないだろう。


 まだ、清らかだ。


『スタイルがいいのが武器……』

『前職がアレ……?』

『ミオ先生ってもしかして……』

『『『イケない仕事をしてた……!?』』』


 ……あながち間違っちゃいないが、こいつらが想像しているような仕事はしてないんだがな。


 おそらく、水商売のことを言ってるんだろう。

 まあ、していたのは、水じゃなくて、血、だったけどな。

 間欠泉のように血が噴き出るもんなぁ、あの仕事。


 液体という意味では、間違いじゃないな。まあ、水商売ってそういうことじゃないが。


 面倒だが、変に誤解されるのも嫌だな。適当に誤魔化すとしよう。


「言っとくが。あたしは、お前たちが想像しているようなことはしていないぞ?」

『そ、そうなんですか? じゃあ、一体何の……』

「あー、そうだな……」


 ふむ。こういう時、何て答えればいいんだろうな。


 あたしは、人と関わったりすることはそんなに多くなかったしな……。

 よし、ここは、こっちの世界に実在した仕事を言うとしよう。


 ……うむ。あれだな。


「ちょっとした、裏稼業って奴だ」

(師匠、それ、絶対に悪化すると思います……)


 ん? 一瞬、イオが呆れたような思考をした気がするんだが……気のせいか?


『え!? じゃ、じゃあ、ミオ先生って……』

(((や、ヤクザ、だったのかな……?)))


 お? なんだ? 今、思いっきり間違ったことを想像しなかったか? こいつら。

 うーむ。あたし、何か変なこと言ったか?


『ミオ先生。その前職って、その……お、大勢だったり、するんですか……?』

「大勢? あー、どうだろうな……仕事によっては、結構いた気がするぞ?」

『し、仕事によっては……』

(((つまり、カチコミ……!?)))

『じゃ、じゃあ、えっと、部下、とかは……?』

「部下? ははは! んなもんはいないぞ? 何せ、あたしだけだしな」

『ひ、一人……』

(((たった一人のヤクザ……!? な、なにそれ、超カッコいい!)))

『ミオ先生! お話、色々聞かせてください!』

「おおっ? ま、まあいいが……正直、つまらんぞ?」


 暗殺稼業の話なんて……。


 てか、平和な国で暗殺者やってました、何て言ったら、なんか……ドン引きされるよな?


 イオやミカたちは知ってるからいいとして……普通の奴らに話したら、一発アウトだな。うん。よし、軽く濁そう。


 上手い具合誤魔化し、あたしは前職について、女子どもに語って聞かせた。


 そしたら、なんかすげえ懐かれた。



「ふぁあぁ~~あ。ねみぃ……」

「なんだ、ミオはお疲れか?」

「あたしは基本、眠いんだよ」


 むしろ、眠くない日などないわ。

 できれば、一日をだらだーっと過ごして生きていきたいものだ。


「それにしても、あれですね。いい年した女三人が、こうして学園行事で寂しく集まってるなんて……」

「寂しい? 何がだ? あたしらの仕事は、引率だろう?」

「……ミオ先生って、鈍いんですか?」

「このあたしがか? ないない。てか、鈍いのはイオだろう」

「「あー、納得」」


 すげえなあいつ。教師にすら、納得されてやがる。

 面白い奴だ。


「んで? 何が言いたいんだ? トウコ」

「いえね? 私たちって、もう二十代後半くらいじゃないですか? やっぱりこう……彼氏が欲しいなぁって……」


 ああ、なるほど。そう言うことか。

 しかし……すまない、トウコ。あたし、二十代じゃなくて、最低でも百歳越えてる。

 何だったら、五百歳は行ってるかもしれん。


「んなこと言うが、私たちに出会いがあると思うか?」

「……ないんですよねぇ。絶望的なまでに」

「そうだろ? まあ、私は別にいいかなー、とか思っているが……」

「嘘だ! 絶対、胡桃先生も思ってますって! たしか、一人暮らしでしたよね?」

「そうだな」

「帰ってきた時、寂しくないですか!? 明かりもついてなくて、迎えてくれる人もいなくて、ただただ一人で寂しくテレビを見ながら、ご飯を食べる。そして、ちょっと片して、お風呂入って、寝る。こんな毎日ですよ?」

「……や、やめてくれよ、冬子先生……なんか、本気で寂しくなってくるから……」


 なんか、トウコの発言で、クルミが遠い目をしだしたぞ?


「なあ、彼氏って、そんなに欲しいものなのか?」

「当然ですっ!」

「お、おう、そうか……クルミは?」

「いや、私は……ま、まあ、それなりには……? 親がうるさくてな……。やれ、恋人はいないのだとか、やれ孫はいつ見れるんだとかな」

「そう、そうなんです! このままだと婚期がヤバいぞ! ってお母さんたちが言ってくるんですよね……だからこそ、なんだか焦っちゃって……」

「……なんか、わかるなぁ、冬子の先生の発言……」


 ……まずいな。あたしは何一つわからん。


 そもそも、一人でいる期間が長かった上に、娯楽物なんてなかったんだが……。

 それでもあたし、途中で慣れたぞ? 能力やスキルの習得に勤しんでたし。


 あたしって、傍から見たら、寂しい奴って思われてるのか?


「はぁ……彼氏欲しい……」

「……そうだな。さすがに、寂しいのはな」


 そういや、女ってのは、婚期を気にする奴が多かったなぁ、向こう。

 こっちでも同じなのか?


 というか、


「なあ、こっちの世界……じゃなかった。この国って、どれくらいで結婚するのが普通なんだ?」


 そこが気になる。


 それによっちゃ、結構変わるんだが。


「あー、人それぞれだけど……まあ、二十代前半くらい?」

「え、マジで?」


 そんなに遅いの? こっち。


 向こうとか、十代前半に婚約する奴とかいるぞ?


 それに、二十歳目前で結婚してるとかざらだしな……。

 そうか、こっちは遅いのか……。


「でも、ミオ先生って羨ましいですよねぇ……」

「あたしがか?」

「だって、ミオ先生ってほんっとに綺麗じゃないですかぁ。お誘いとか、いっぱい来てるんですか?」

「誘い、ねぇ?」


 それはあれだよな? 食事に! とか、水族館に! とか、そんなやつ。


「まあ、来るには来るが、眼中にない。そもそも、あたしは好きな奴いるし」

「「マジで!?」」

「マジで」

「だ、だだだ、誰なんですか!? 赴任以来、男性教員のお誘いやらアプローチやらをことごとく切り捨てた、ミオ先生の想い人って……!」

「ああ。イオだよ」

「「……」」


 イオの名前を言った瞬間、なんか固まった。

 ん? 何かまずいことでもあったか?


「え、ミオって……同性愛者?」

「あー、そうか。今のイオだとそうなるのか……。あたしがあいつに武術を教えている時は男でな。まあ、なんだ。あいつって、中性的で家庭的だろう? 何かこう、ズキュン! って来たんだよ。まあ、惚れたな」

「ま、マジですか……。まさか、生徒に恋愛感情なんて……。というか、男女さんって、何の違和感もなく女の子してたから、男の子だったの、素で忘れてました」

「……私も」

「わかる。その気持ち」


 あいつ、元男と思えないくらいに可愛いしな。

 容姿だけじゃなく、性格も。

 あと、馬鹿みたいに家庭的だしな。


「でもそっかー。ミオ先生って男女さんが好きだったんですね」

「まあな」

「……教師が生徒に恋愛感情を持つって、結構危ないんだがなぁ……」


 ああ、そう言えば、禁断の愛、だったか?


「だが、そんなもん卒業した後なら、意味ないだろう? 何が問題なんだ?」


 てか、こう言っちゃなんだが。


 二十二歳の教師と高校一年生の生徒が付き合うのって、別に問題なくね?


 そんなん言ったら、二十歳の男と、二十六歳の女が付き合うのがまずい、とか言ってるようなもんだぞ?


 一体何が駄目なんだか。


「倫理観的に?」

「倫理観ねぇ? んなもん、人それぞれで基準が変わるだろ。別に、健全な付き合いしてりゃ、問題ないだろ。というかだな、そんなこと言ってるから、行き遅れる奴がいるんだぞ?」

「「――ッ!?」」


 あたしがそう言った瞬間、二人は雷が落ちたみたいな、驚愕の表情を浮かべていた。


「第一だな。年齢差が駄目なのか? それとも、単純に子供と大人が恋人になるのがまずいって言ってるのか? 下らん。そんなもん、お互いが羽目を外しすぎないよう、気を付ければいいだろうに。なんで、周囲の人間がとやかく言うんだ? 嫉妬か? 嫉妬してるのか? だったら、器が小さすぎる」


 あたしなんて、イオと付き合ったら、相当あるぞ、歳の差が。


 数百歳だぞ、数百歳。


 たったの数歳差が何だって言うんだ、全く。


 この世界は、その辺りがめんどくさすぎる。


「み、ミオ先生! わ、私に、恋愛を教えてください!」

「私も!」

「うお!? な、なんだ? 突然……」

「彼氏が欲しいんです! どうすれば、彼氏ができますか!?」

「あ、あー、そうだな……少なくとも、クルミもトウコもみてくれは悪くない。というか、良い方だろう。まあ、そもそも、だ。男を振り向かせるなんざ、割と簡単だぞ? いいか、男ってのはな――」


 そうして、あたしは二人に、今までしてきた誘惑法を教えた。


 正直、あたし独自(多分)の方法なんで、効果あるかわからないけどな!


 だというのに、真剣に聞いてるもんだから、ちょっと申し訳ない気持ちになったぞ、あたし。


 そして、話が終わる頃には、


「「ありがとうございました、ミオ大先生!」」


 なんか、大先生になっていた。


 いや、なんの?

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