第216話 変化再び 下

 三時間目が終了して、休み時間。


 ちょうどいいタイミングかなと思って、ボクは教室に入った。


「お、おはよー」


 ボクが挨拶しながら入った瞬間、


『『『誰!?』』』


 一斉に言われました。

 いや、うん。普段よりも体が違いすぎるから、その気持ちはわかるけど……普通に酷くない?


「えっと、ボク、なんだけど……」

『え、あれ、男女……?』

『う、嘘だろ、男女って、あんなに色気が半端なかったっけ……?』

『依桜ちゃんが、大きくなってる……』

『ろ、ロリ巨乳じゃなくて、普通に巨乳美人になってる……』


 あ、あれ? なんか、クラスのみんなの様子がおかしいような……。

 そ、そんなに変? ボク。


「依桜、なのよね?」

「うん。そうだよ」


 おー、普段はボクよりも身長が高い未果を、ほとんど同じ目線から見るなんて、すごく新鮮。

 女委にも言えるけど。

 いいね。なんか。


「ちょっと待て。依桜、その姿は、なんだ?」

「えっと、朝起きたらこうなってました。多分、副作用」

「ま、マジかー……。副作用なんじゃね? って話はしてたが……予想とは逆の方向に行っちまってるじゃねえか……」

「依桜君、随分綺麗になってね。普段からも綺麗だけど」

「ボクもちょっとびっくりしたよ」


 まさか、成長しているとは思わなかったもん。


「にしても、全体的に大きいのね……。依桜に身長を抜かれる日が来るとは……」

「ふふふー。ボクもこの姿はちょっと嬉しいんだ。身長が高くなってるから」

「普段は、小さい方だからな、依桜は」

「そりゃ嬉しいわな」

「唯一、副作用で喜べるものだよ、これ」


 いつもは逆に小さくなるだけだもん。

 例外なんて、あれくらいだし。


「ところで依桜君」

「なに?」

「今の依桜君の胸のサイズっていくつなの? どう見ても、普段よりも大きく見えるけど」

「あー、えっと……き、聞きたい?」

「「「聞きたい」」」


 未果と女委、態徒が即答した。

 晶だけは、苦い顔をしていた。


 態徒、あとで〆る。


 というか、よく見たら、クラスのみんなも聞き耳立ててない?

 なんだか、みんなが注目しているような……。


「それで、サイズは?」

「……そのぉ……ふ、普段のボクのサイズよりも、二つ上、です」

「二つ上って言うことは……あ、I!?」

『『『でか!?』』』


 ボクのサイズを未果が叫んだことで、周囲の人たちに聞こえてしまっていました。

 その結果、みんな驚きながらそう言いましたよ。


 未果が叫んだから聞こえていたんじゃなくて、聞き耳を立ててたから、あまり関係ない気がするけどね……。

 というか、なんで聞き耳立ててるの?


「身長も高くなるし、胸……どころか、スリーサイズも大きく変わってそうよね。この姿はあれね。大人依桜ね。顔立ちとか、大人びて美人系寄りになってるもの」

「大人っぽく見える?」

「ああ。普段とは全然違うな。大人っぽく見える」

「ほんと? 嬉しいなぁ」


 嬉しくて、笑顔が浮かぶ。


『うわー、美人の笑顔が眩しー』

『普段とは違った魅力があるな、男女』

『つか、マジでエロいと思ってるのは俺だけか』

『いや、俺もだ』

『雰囲気もなんだか、大人っぽく感じるよね』

『うんうん。なんかこう、お姉様って呼びたい……』

『わかる。ああいう綺麗なお姉さんって、すごく憧れるよね』

『大人依桜ちゃん……あり!』


 と言う会話が聞こえてきた。

 クラスのみんなから見ても、大人っぽく感じるみたいで、ちょっと嬉しい。

 いつもは、大人っぽいのは似合わない、なんて言われるんだもん。


 ……って、ちょっと待って。なんか今、エロい、って聞こえたんだけど……。


「え、エロい、ってどういうこと……?」


 なんて、ボクがそう尋ねると、女委以外がスッと目を逸らした。

 ……なんで、誰も何も言わないの?

 ボクが今着てるの、普通のワンピースなんだけど……。

 そ、そんなに露出ないよね?


「いやまあ、何と言うか、だな……」


 ボクの問いかけに、晶が口ごもる。

 その代わりに答えたのは、なぜかすごく元気な女委。


「それはね、依桜君。普段の依桜君は可愛い系の美少女なんだけど、今の依桜君はどちらかと言えば、高校生と言うより大学生に近いんだよ。つまり! 大人の色気と言うものが、ムンムンなわけですね!」

「ごめん、何を言っているのかわからない」

「要するに、大人っぽくなったことで、ある程度抑えられていたエッチ度が、大人バージョンになったことで、噴出した、というわけだね」

「いや、それでもよくわからないよ! というか、エッチ度ってなに!?」

「うーんと、何と言うかこう……エロさを表す数値、的な?」

「数値なんてわからないよ!」


 そもそも、どういう数値なのそれ!?


「うーむ、依桜君はその辺りの知識がないからなぁ……じゃあ、依桜君。ちょっと聞くんだけど、セックス、の意味ってわかる?」

『『『ぶっ!?』』』

「えと、せっくす? えっと、どういう意味……?」

『『『ええええええええええええええっっっ!?』』』

「え、な、なに!? みんなどうしたの!?」


 なぜか、クラスが騒然となった。

 あ、あれ? ボク何かおかしい……?


「もしかして、ボク、変……?」

「いや、変じゃないぞ!?」

「そうよ、大丈夫よ!」

「で、でも……」

「知らなくても困ることはないから大丈夫だ! だから、気にするな!」

「……そ、そうなの?」

『『『そうなの!』』』


 未果たちだけでなく、クラスのみんなまでもが、肯定してきた。


「そ、そうなんだ。よかったぁ、てっきり、ボクが変なのかとばかり……」

(((ほっ……)))


 みんながなぜか胸をなでおろしていたんだけど、どうしたんだろう?

 まあ、大したことじゃないよね。


「おーし、授業始めるぞー。なんだ、男女来てたのか。……なるほど、大人バージョンってわけだな。まあいい、とりあえず席着け」

「あ、はい」


 ここで、戸隠先生が入って来た。

 時計を見れば、もうすぐ四時間目が始まる時間だった。

 戸隠先生に席に座るよう言われたので、ボクは自分の席に着く。


「お前ら、何してんだ? さっさと席着け。授業始めるから」


 安堵したような表情で固まっていたクラスのみんなを、戸隠先生が座るよう指示を出すと、すぐにみんな席に着いた。

 そしてそのまま、授業が始まった。



「いや、まあ、正直、体育祭で依桜がどれだけピュアか、と言うことは知っていたが……まさか、ここまでとは……」


 昼休み。


 四時間目が終了した後、いつも通りにお昼となった。

 そして、依桜が席を外した瞬間、晶がそう切り出した。


「……そうね。この見た目で、知識0はなかなかすごいわ。というか、よく男の時にそっち方面に触れなかったわね」


 正直なところ、依桜がピュアだったのは、学園七不思議に数えられてもいいんじゃないかしら。


 偏見かもしれないけど、男だったら誰しも、そう言うのに興味を持つはずだもの。

 ましてや、中学生なんて興味津々な年ごろじゃない。


「でも、晶君はともかく、態徒君と一緒に遊ぶ機会があったのに、なんで依桜君はピュアなんだろう?」

「あー……えっとだな。俺たち男子三人で、この馬鹿の家に遊びに行った時があったんだが……その際、この馬鹿のエロ本を読んだことがあってな」

「ちょっ、いきなりオレたちの秘密暴露すんのやめてくんね!?」

「態徒黙って。それで? どうなったの?」

「いや、そのシーンに差し掛かった瞬間、顔を真っ赤にしてそのまま気絶した」

「あー、なんかすごく想像できる光景だね」

「でも、一度見たのなら、知ってるはずじゃないの?」


 いくら気絶したとはいえ、覚えていそうなものだけど……。


「いや、依桜の場合、そう言うのを見て気絶すると、その際の記憶がきれいさっぱり消えるんだ」

「なにそのマンガのキャラみたいな体質」

「そう言えば依桜君、体育祭の練習の時に、BLの過激な部分の内容言ったら、気絶してたよ。しかも、記憶がなくなってたし」

「何してんのよ、女委」


 というか、いつそんなことしてたのよ。

 すごく気になるんだけど。

 あと、過激な部分を言うって、頭おかしいわね、ほんと。


「……てことは、あれか? 依桜に対してそっち方面の話をすると、気絶して、記憶が飛ぶってわけか。あいつ、マジで理想の美少女すぎないか?」

「そうだね。依桜君は、銀髪碧眼、ロリ巨乳、ピュア、天然、天然系エロ娘、家庭的、優しい、怖がり、恥ずかしがり屋、幼女化、ケモロリ、ケモっ娘美少女、魔法使い、暗殺者、大人バージョン、っていう存在だからね」

「……こうしてみると、依桜って、マジで属性豊富だな。と言うか、盛りすぎだろ。大丈夫か、これ」

「いや、まあ、大丈夫、なんじゃない? 実際、癒されるし」


 依桜って、本当に癒しだもの。


 どんなに嫌なことがあっても、依桜の励ましだけで立ち直れるもの。


 それに、依桜は謙虚だから、全然嫌味とかないし。


 自分が可愛くない、と言ってはいても、あれ、本気で思ってるから、全然イラっと来ないしね。むしろ、いい加減認めたら? みたいな、呆れが入って来てるわよ。


 可愛いから全然いいけど。


「でも、あれだな。あの姿で、性知識0ってのは、ギャップが半端ないな」

「ギャップ萌え、というやつだねー」

「依桜の存在が、いよいよもって謎ね」

「あれでも一応、元男なんだよな……」

「少なくとも、何も知らない人からしたら、ただただ可愛い美少女としか思わないでしょうね。一人称だって、ボクだけど、実際いるし。ボクっ娘としか思われないと思うわ」

「性格が元々、女の子っぽいところもあったしねぇ。不思議じゃないよ」

「そうだな。以前から、その片鱗はあったが、女子になってから、それが顕著になってきたからな。正直、俺たちですら、元々女だったんじゃないか、なんて思うくらいだ」

「それあるわ」


 この中だと、依桜と付き合いが一番長いのは私。

 なにせ、幼稚園の頃からの付き合いだからね。


 そんな私ですら、最近、依桜が元々女の子だったんじゃないか、なんて思ってしまうのよね。


 だって、あの可愛さは反則でしょ。


 恥ずかしがり屋なのよ? ちょっと可愛いと言っただけで、顔を赤くして、あわあわするような娘なのよ? やっぱり、素晴らしく可愛いわけじゃない?


 まあ、依桜は男の時から普通に可愛かったわけだけど。

 そう言えば、満遍なくモテてはいたけど、中でも年上にモテてたわね、男の時は。

 今は、老若男女問わずモテるような状態だけど。


「ただいまー」

「おかえり、依桜」


 大人依桜が戻ってきたことにより、会話は中断。

 中断と言っても、大体話し終えたところだったけど。


 ……それにしても、本当に美人になったものね、今の依桜は。


 元男と思わせないような、美人っぷりに、私は内心、苦笑いだった。



 いつもとは違う体での生活は、そこまで不便がなく過ごすことができた。


 あったすれば、いつもより胸が大きい分、結構辛かった。


 だって、普通に肩は重いし、疲れるしで、きついんだよ?


 女の子って、大変なんだね……。

 月に一回来る、あれもかなりつらいんだけどね……。


 異世界で鍛えられたボクが痛みで苦しむって、相当だと思うんだけど。


 ……女の子は、すごいな、なんて心の底から思ったよ、ボク。

 あれと毎月格闘していたと考えると、尊敬するよ……。


 未果とか女委だって、普段通りにふるまってたなぁ。

 未果はたまに、イライラしてたような気がするけど。


 でも、女委は特に変わった様子がなくて、いつものようなハイテンションにこにこ顔だった。


 個人差がある、って言ってたけど、女委はあんまり痛くない方なのかな?


 羨ましいよ……。


 初めて来た時は、本当に辛かったよ……。


 ……まあ、それはまた別に機会と言うことで。

 あんまり思いだしたくないけど……。


 何はともあれ、普段通りに学園は終了。


 みんなと軽く寄り道をしていくことになり、場所はショッピングモール。

 その道中で、思わぬアクシデントが発生してしまった。



「この辺も、どんどん開発が進んでくな」


 ショッピングモールに向かう途中の道で、態徒が周囲の様子を見て、そんなことを呟く。


「そうだね。でも、ちゃんと自然は残しているんだから、まだいいと思うよ」


 美天市は、自然豊かな街でもあるので、上手い具合に共存していた、街並みはかなり綺麗。

 春になれば、桜が咲き誇る道もあるしね。


「でもやっぱ、ずっと住んでた街が変わっていくってのは、なんかこう、寂しいよな」

「あら、随分感傷的じゃない、似合わないわよ?」

「酷くね!? オレだって、そう言う気分になる時くらいあるわ!」

「まあ、一応態徒君も人間だしね」

「一応じゃないぞ!? オレ普通に人間だからな!?」

「そうだね。まあ、態徒君が人間かどうかは置いておいて」

「いや、置いておくなよ!?」


 なんて、いつものやり取りをしながらショッピングモールに向かっていると……


 ガゴォォン!


 という、大きな音が聞こえてきた。


「なんだ、今の……って、お、おいあれ見ろ!」


 と、態徒が指さした方には、建設中のビルの上にある、今にも落ちそうな鉄骨。

 そして、その下には……


『うえぇぇぇん!』


 小さな女の子が泣いていた。


『愛ちゃん!』


 泣いていた女の子のお母さんらしき人が、落ちそうになっている鉄骨に気付き、慌てて駆け寄る。

 ところが、お母さんが女の子に近づいた瞬間、


 ゴォォン!


 という音を立てて、鉄骨が落下し始めてしまった。


「まずいっ!」


 ボクは落ちたのを認識した瞬間には、すでに地を蹴っていた。


 親子の所までの距離は、おそらく100メートルほど。

 ビルの高さは、大体50メートル程度。


 数秒しないうちに親子に落ちてしまう。


 だけど、今のボクなら全然問題なく間に合う!


 一瞬と言ってもいい時間で親子のもとに到着。

 だけど、鉄骨はもうすぐそこ。


 ボクは、『瞬刹』を使用して、知覚能力を引き上げる。

 その瞬間、世界がスローモーションになったように遅くなる。


 次に、『身体強化』を五倍で発動し、『武器生成魔法』で切れ味最高の短刀を生成。


 ナイフを右手に持ち、そのまま跳躍し、鉄骨を切断した。


 さすがに、このままだと親子に当たってしまう危険性があるため、蹴りを用いて衝撃を吸収し、切れた鉄骨を横にずらした。


 同時に、『アイテムボックス』を開いて、その中に生成したナイフを放り込む。


 それを確認してから、『瞬刹』を解除。


 解除した瞬間、スローモーションだった世界が元の速さに戻り、


 ドオォォォォンッ!


 という、地響きと共に、鉄骨が地面に落ちた。


「大丈夫ですか?」

『あ、は、はい大丈夫、です……』


 見たところ、怪我などがないようで、すごく安心した。

 小さな女の子も、膝を擦りむいただけで済んでいた。


 泣いていた原因はおそらく、転んで怪我をしてしまったからなんじゃないかな。

 それで、運悪く鉄骨が、っていう感じかな。


「えっと、君、ちょっと痛いところを見せて」


 女の子と同じ目線になって、微笑みながら傷口を見せるように言うと、


『……うん』


 女の子は小さく頷いてから、おずおずと擦りむいた場所を見せてくれた。


「ちょっと、じっとしててね」


 そう言うと、ボクは女の子膝に手をかざし、


「『ヒール』」


 聞こえないくらい小さな声で、『ヒール』を唱えた。

 見えないようにうまくコントロールした癒しの光が、女の子の傷口に染み入り、光が収まる頃には、擦りむいたことがなかったかのような綺麗な状態になっていた。


「どうかな? まだ痛い?」

『わぁ……痛くない! 痛くないよ!』


 傷が無くなったことに、女の子は嬉しそうに笑う。

 泣いていたのが嘘だったみたいに。


「うん、よかった。えっと、あなたも怪我したところは?」

『い、いえ、大丈夫です。……それよりも、危ないところを助けていただき、ありがとうございました……。おかげで、私も愛も、生きています。何とお礼を言えばいいか……』

「いえいえ、気にしないでください。それじゃあ、ボクは失礼しますね」


 そう言って、ボクは立ち去ろうとすると、


『お姉ちゃん、ありがとう!』


 ばふっ、と女の子が抱き着きながらお礼を言ってきた。

 なんだか嬉しくなって、つい、女の子の頭を撫でていた。


「ふふっ、お姉ちゃんも、愛ちゃんが無事でよかったよ。それじゃあ、お姉ちゃんは行かないといけないから、気を付けてね」

『うん! ありがとう! お姉ちゃん!』


 優しく言うと、愛ちゃんはお母さんと手を繋ぎ去っていった。

 その際、何度も振り返りながら、手を振っていたので、見えなくなるまで、ボクも小さく手を振っていた。


「お疲れ様、お姉ちゃん?」

「み、未果。えっと、もしかして聞いてた……?」

「それはもう、バッチリ。最後、自分のことをお姉ちゃんと言ってたところもね」

「~~~~ッ!」


 は、恥ずかしぃ!


 自分のことをお姉ちゃんって言っていたのが、すごく恥ずかしいよぉ!

 男なのにぃ!


「でも、よかったの? 助けるためとはいえ、魔法を使って」


 と、さっきと打って変わって真剣な表情でそう訊いてくる未果。


「うん。あれはさすがにね。何も使わないで回避もできたけど、切断してからの方がよかったから。仮に、本気で蹴りを入れてたら、鉄骨、凹んでたよ?」

「暗殺者的に、どうなの? それ」

「……鍛えたの、師匠だから」

「それもそうね」

「でも、さっきのはすごかったぜ。一瞬で依桜が親子の所に行ったと思ったら、次の瞬間には、切断された鉄骨が横たわってるんだもんよ」

「ああ。何が起こったのか、よくわからなかったな」

「かっこよかったよ、依桜君!」

「あ、あはは、ありがとう」


 あれに関しては、さすがにね。


 知覚能力も倍以上に引き延ばして、身体能力を五倍にする。

 そうすると、こっちの世界の人からしたら、本当の意味で、目にも止まらぬ速さ、と言う状態になるから。


 それどころか、ただ立ってるだけに見えたかもしれないね。


「とりあえずこれ、建設会社に連絡を入れた方がいいな。鉄骨が落下してきたわけだし」

「そうね。まあ、運よく助かった、ってことにしておきましょうか」


 ボクたちはこの後、建設会社に連絡をして、事情を説明。

 その後、何度も謝罪されたものの、被害はなかったので大丈夫と言って、その場はお開きとなりました。



 あんなことがあったので、結局ショッピングモールに行くのはやめて、そのまま帰ることに。


 家に着くなり、久々に『瞬刹』を使い、『身体強化』、さらには『武器生成魔法』も使って、それなりに疲れたので、部屋で休んだ。


 いきなり鉄骨が落下してくるなんて思わなかったけど、なんとか助けられてよかった。

 とりあえず、魔法って言うことはバレてないと思うし、大丈夫だよね。

 そうして、しばらく休んで、夜ご飯を食べて、お風呂に入ったのち、就寝となりました。



 後日、目が覚めるといつもの姿に戻っていました。

 ちょっとがっかりしたような、しないような……複雑な気持ちになりました。


 ちなみに、鉄骨の件がテレビや新聞などで報道され、銀髪碧眼の美人、親子を助ける、なんていう見出しで報道されたらしいけど、そのことを、ボクが知ることはなかった。

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