第3話

私の元父親の連絡先を調べた私は、さっそく電話を入れた。最初はとても緊張した。なにしろ、両親が離婚して以来の連絡であるから、話をするのは、私が小学生の時以来だ。元父は、意外にもすぐに電話に出て、状況を説明すると、すぐに理解し、「相変わらず体、弱いみたいだな」と、向こうも緊張しながら話をしていた。しかし、意外にもすぐに協力してくれた。まず、洗濯などの生活については、2日に1回ペースで、元父が家に来てやってくれるそうだ。というのも、母と連絡がつかなかったため、こうするしかないと判断した。次に、高校に関しては、病院代や、それにかかる交通費を、高校の保険を適用してくれることになった。怪我をしたのが体育の授業中だったのが幸いだった。これがアルバイト中やそれ以外の時間だったら自己負担だった。最後に、最大の問題である食費等の生活費は、元父が家に来た際にいくらかもらえることになった。とはいえ、もらえるお金は必要最低限なので、今まで以上に節約しながらの生活になるだろう。

 最初、元父は「こっちに来るか」と聞いてくれたが、そのための手続きやお金のことを考えるとそれはできなかったため、この結論にまとまった。私は父に「ごめんなさい」と電話で言ったが、すぐに謝る癖を指摘され、「今回は仕方ない」といった。また、「こういう子に育ってしまったのは、私たちのせいだ」といった。元父は、離婚してから、なぜ私が、すぐに謝る癖があるのかを考えたそうだ。その結果、圧を掛けすぎたのかもしれないと言った。その言葉に、私は涙をこぼした。

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