運動会

今日は運動会だ。

姉ちゃんがとてもやる気満々だからか、快晴になった。

俺も姉ちゃんも白組だ。

いつ兄としても嬉しいことだろう。

「たまくんたまくん、頑張ろうね!」

頭に白組のハチマキをしてふんす、と気合を入れる姉ちゃん。

周りからほわんとした瞳で見られている。

そういえば、例の彼氏はどうなったんだろうか。

「姉ちゃん、彼氏は?」

すると、一気に重い空気に。

「…紅組…。でもあれだよね!愛のためなら組なんて関係ないよね!…いっそのこと誰かと交換して貰えないかな…」

隣で姉がぶつぶつと怖いことを口走り始めたので逃げる。


がしっ。


逃亡失敗。

肩を掴まれた。

「ね、ねぇ、たまくん、この後少し校舎裏に付き合って貰えないかな…?」

きっとそれに付き合ったら俺は亡き者にされるだろう。

「イヤだよ。大体そんなことしなくても彼氏の方に行けばいいじゃん」

「あ、そっか!わかった!そうだよね!じゃあ行ってくる!」

ぴゅーと走り去っていく姉。

…なにも起こらないといいけど…。

すると向こうの陣地で案の定泣き声が。

「うわぁあん!!なんで!?なんで!?私達付き合ってるんだよね!?」

メンヘラ姉の泣き声だった。

嘆息しながら駆けつけると、姉は彼氏に抱きついて離れない。

「うわぁあ!!いやだよぉ!!つきくんと離れるのやだぁあぁあ!!」

「はいはい、すみません、通りますよー、ほら、姉ちゃん帰るよ」

「だまぐぅぅん!!ばなじでぇぇええ!!」

すると、それを見た彼氏さんが一言。


「だからイヤなんだよ…」


その言葉に姉ちゃんがぴたりと止まる。

彼氏さんは俺を見るとじゃっ、と手を上げた。

「あとはよろしく」

ずるずると自陣に姉を引きづる。

姉ちゃんはそれからぼーっとしていた。

「姉ちゃん、大丈夫?なに出るの?俺代わってくるよ」

よほどのケンカだったのか瞳が虚ろだ。

俺はため息をついてから姉が出るはずだった種目に出るよう準備をした。

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