プール
海にいった数週間後。
俺は友達の和と柚に誘われて今度はプールに来ていた。
「うわぁ、やっぱ人いっぱいだなぁ」
「当たり前だろ、夏だし。夏といえばプールか海じゃん」
「夏はプールってなんで皆決めつけんだろうな」
「ほんとだよ」
ワイワイ言いながらプール際を進んで場所を確保する。
柚がニヤリとしながら言った。
「…なぁ二人とも」
「なんだよ」
「ニヤニヤして気持ち悪ぃぞ」
「夏といったら海とプールだろ?」
「それ以外もあるがな」
「じゃあ海とプールと言ったら?」
「無視かよ」
「そう、ナンパだよ!」
「聞けよ。そして多分それは偏った知識だよ」
柚は大声で叫んだ。
「俺は!いや、俺たちは絶対ナンパを成功させる!」
「…あ、まって、俺たちも?」
「結局付き合わされんのかよ」
それから数時間。
ナンパは未だに成功していない。
すると和がある人を指差した。
「あの子よくね?」
何気にノリ気だよな和。
それは黒い髪をお団子にしてピンクのビキニを着ている可愛らしい女の子だった。
…ん?
なんかどこかで見たことあるような…。
そんな俺に構わずに二人はその子に向かって突進していく。
慌てて追いかける。
「すみません!あの!」
「お姉さん!一人ですか?」
振り返った女の子、それは。
「あれ?たまくん?」
紛うことなき姉でした。
うっっわ、最悪。
「こらたまくん!ナンパしちゃダメでしょう?」
「ち、違うんだ姉ちゃん、これは…!」
「あ、環くんのお姉さんですか?すみません、うちの環が…」
「あ、環くんにはいつもお世話になっておりますー」
「お、お前ら…!」
やばいと思ったら手の平を返しやがった友達を睨む。
姉ちゃんは上品に笑うと、こちらこそありがとう、とほんわかしながら言う。
こっちもこっちで猫かぶってるし。
俺は両者に挟まれてヤキモキした。
…まぁ、なんとなくこうなるとはわかっていた予感がする。
ちなみにその後、姉ちゃんのグループと一緒に遊んだ。
柚と和には死ぬほど感謝された。
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