小春日和

春の休日。

俺は部屋で朝からゲームをしていた。

なんだか今日は眠たくなる。

ちょうどいい気温なのだろう。

ゲームを手放して思わずうとうとする。

微睡みが心地いい。

この上なく上機嫌で心地いい感覚に委ねていると、急にお腹の上に重力がかかった。

「ぐぇっ」

カエルが潰れたみたいな声を出す。

腹筋力を駆使して見ると、姉がいた。

なにやらぐすぐすとまた泣いているようだ。

「あー…姉ちゃん、どしたの?」

一応聞く。

「う、うぅ…うわぁあああぁぁああんん!!」

すると顔を上げて俺を見た姉は勢いよく泣き出した。

「わ、わ、どしたの姉ちゃん、大丈夫?」

慌てて身を起こす。

姉ちゃんはえぐえぐと顔中を涙で汚しながら結構衝撃的なことを言った。


「ま、まーぐんがね、わ、別れようっで…」


またか。

姉ちゃんはメンヘラで愛が重い。

だから最初は至れり尽せりでとても順調なのだが、だんだんと束縛が激しくなっていき、それに耐え切れなくなって最終的に破滅…といった具合。

…あと単に男運が悪い。

この前なんて騙されて壺買わされそうになってたし。

ため息をついて姉ちゃんの頭を撫でて慰める。

「大丈夫だよ、きっと次のいい人が見つかるよ」

「いやだぁ!まーぐんじゃないどダメなのぉ!!まーくん以外にいい人なんていないの!!」

「わかったわかった、ほら涙拭いて。下降りて何か甘いもの買いに行こう」

姉ちゃんを自分の部屋から連れ出した。

いつの間にか、眠気は吹っ飛んでいた。

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