第8話

季節は十二月で、すっかり辺りは雪景色となっていた。

風の匂いも冬のものとなっていた。最後の授業はクリスマスだった。

連絡先を聞き出す、最後のチャンスだった。しかし、どうしてもそれを聞き出す勇気がなかった。

最後の授業の日、教室をサボッた。

一層のことサヨナラを告げないでおこうと思ったのだ。

連絡先を聞き出す勇気はないことはわかっていた。最後の授業に行ってしまえば、二人はサヨナラを告げ、きれいさっぱりもう会えなくなる。その展開が分かりすぎるくらい、分かっていた。

それは、子供じみたおまじないだった。行かなければ、サヨナラを告げないですむ。サヨナラを告げなければ、またどこかで会えるかも知れない。ばかげているとはわかっていた。そんな神様の偶然のような出会いが、この世にいくつもあるわけがない。

でも、どこかで偶然また、ばったり出会えたなら、今度こそ恋愛できるかも知れない。

でも、ここでお互いサヨナラを言ってしまえば、もうそれはできなくなるのではないか。そんな幼い想いがあったのだ。

最後の授業の日、牛丼屋にいってクリスマスを過ごした。

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