第4話
ラン ランララ ランランラン
ランランラララ〜
何か暖かい
蒼き衣を纏いて金色の野を駆け回りたくなる様な…
ついでに「やめて!殺さないで!!」って言いたくなる様な…
ぬくぬくと暖かく、無性にモフりたくなってくる
も〜ふもっふ もっふもふ かあぱずしー
も〜ふもっふ もっふもふ かあぱずしー
ふもっふぅ
ああ、大量のボン太くん…
武装した大量のボン太くんがぁ…
──────きろ
───い──────きろよ
んあ?もう朝か?
「…………あと5分…」
「さっきから起きろっつてんだろうが!!オラァ!!」
ドゴッ!
「ッげはァっ!?」
ってぇ…何だ急に。腹痛てぇ
あれ?手が動かねぇ!?
ってか踞れもしねぇ!?
「おい、水持くれてやれ」
「ああ」
バッシャー!
!!!??
しゃっけぇ!?
「ヴぉはッ…ゲホッ…ゴホッ」
「よお寝坊助野郎、やっと起きたかよ」
知らない声が聞こえる
「ゴホッ…何だってんだよ?いったい…」
噎せてる時に顔面に冷水って何だよ!?
「おいコラ人間!てめぇあんなトコで何してやがった?」
向けられた問い掛けに困惑する
あんなトコって何処の事だよ?ってか何処?此処
何かに足取られたっぽいのは覚えてるけど、ここ迄の記憶無いんだけど?それ以前に痛いわ息苦しいわで色々辛いんだが…
覚醒を促すように、張り付く水を振り落とすように頭を振って答える
「あんなトコって何処の事だ?そもそも此処が何処かも分からないんだよ。俺は」
そう言いながら状況の確認をしてみる
薄暗い土壁に囲まれた部屋。唯一の光源は通風口だろうか?上部に空けられた穴のみ
そこから射し込む光が、未だ日中である事を教えてくれる
あの森からそんな時間経ってないのか?
「おいおい、冗談でもそれは無いぞ?お前。この辺は俺らのテリトリーだ。過去の大戦の折、許可なく互の領域に不用意に立ち入らないと決められたのは知ってる筈だ。だがそんな森で、証文も持たない気絶した人間が罠に掛かってたんだ。さすがに知らぬ存ぜぬは無いだろう?」
目の前には、背もたれの上に腕を組み抱く様にして座る短髪の男
ざんばらに切った髪はたぶん銀色で、髪質が硬いのか頭頂部付近の2ヶ所が特にとんがっている
ップ。笑っちゃダメだ。笑っちゃダメだ。笑っちゃダメだ。
睨みつける瞳は碧く、その鋭さに炎の様な揺らめきを感じた
着ている服は…なんてゆーか年代物?現代のような柔らかそうな感じは無く、綿だとしても荒そうな…どちらかと言うと麻の様なそんなごわっとした硬そうなやつ
「すまないが本当に分からないんだ。大戦…は心当たりが無いではないけど、領域とか証文ってのは知らない。そもそも、気が付いたら草原で…」
大戦ってのはアレか?第一次大戦とか第二次大戦のことだよな?
だとしても領域だの証文だのは知らんな。強いてこじつけるならば、国境とパスポート。もしくはビザか?だったら最初(はな)っからそーゆーよな?そうなると、何か違う希ガス
「巫山戯るな!貴様ら人間が!此処が何処か解らずに来る訳が無いだろう!」
急な怒声に驚き目を向けると、椅子の男の左後方(俺からしたら足側)にもう1人居るのに気が付いた
容姿は茶色い短髪で跳ねてはいない。ただ何か頭の両側が妙にもっふっとしている
瞳は髪と同系色で、怒りを湛えて向けられている
服装は同じ感じか…
「言え!今度は何が目的だ!!まさかまた子供達を「おい」っ!!?」
銀髪の低い声にビクッとする茶髪
「おいコラ、ヨセフ。誰が口出して良いって言ったよ?」
「いや、だが…しかし……」
「お前がどうしてもって言うから同行を許した。が、許可したのコイツを起こす迄だ。勘違いしてんじゃねぇぞ」
「………う…む、すまない」
そうか茶髪はヨセフって名前か
会話の内容からしてアイツが一発くれたのか。後で覚えとけよ
にしても、怖ぇな銀髪
別に怒鳴った訳でもないのに迫力がヤバい
「すまんな。話が逸れた」
「いや、それは構わないんだけど…それよりコレ、解いてくんない?」
いい加減縛られたとこ痛いし、何よりヤバい漏れそう
「それは出来ない。この尋問が終わってお前に特に害が無いと判ったら、解いた上で謝罪もしよう」
「じゃあトイレ行きたいんだけど、何とかなんない?」
「トイレとは何だ?」
マジか!?トイレ無い?!いや、トイレって名称が無いのか?
「いや、あのマジで漏れそうでヤバいんだけど…」
膀胱がぁ暴行がぁああああああ
「さっきも言ったが、終わるまではそのままだ。構わんたれ流せ。後で掃除しろ」
自分で掃除しろってか!?
くそッ。意地でも我慢してやる!
「で…だ、話を戻すが……此処が何処かも分からないと言っていたな?事実か?」
「ああ、そうだ。気が付いたら原っぱで、行き先を運に任せたら森だった。入ったら入ったで、迷ったあげくに足を掬われた。そっから先はアンタらが知ってるだろう?」
嘘を吐くつもりは無いけど、なにも全部言う必要は無いよなぁ。何が地雷か分からんし
絶賛地雷原真っ只中だし
「俄には信じられんが……嘘を言ってる風でもないか」
「それでココは何処なんだ?」
「そうだな、ここはアルメニア大陸北東部の獣王国。その南部にある森、リーンだ」
アルメニア大陸って何処だよ!?聞いたこともねぇぞ!!?
大陸って事は他にも大陸在るよな?
まさかのパンゲアじゃねぇよな?
それに縦横国?なわけねぇか
汁王国?何かエロいな…
「リーン?それは森の名前なのか?それとも村?町?の名前なのか?」
「両方だな。どちらでも通じる」
さすがに町だの村だの規模は教えてくれないかぁ
でも、大陸北東部だの南部だのってのは重要だな。ブラフの可能性も否めんが…
「さて、今度は此方の質問に答えて貰おうか。そうだな、まだ聞いてなかったし名前を聞こうか。俺はガゼルってんだ。後ろのはヨセフだ」
「ああ。俺は諒介、紫羽諒介ってんだ。シバでもリョースケでも好きな様に呼んでくれ」
「ふむ、リョースケか。シバと言うのは家名か?だとすれば、リョースケは貴族か技術職の特権階級か?」
ほう、貴族が居るのか。王国って言ってたんだしそれもそうか
しかし職業でも特権階級か…。名誉貴族みたいなモンか?人間国宝的な
「いや、一般市民だ。俺の居たとこはみんな家名を持ってる。名前だけの方が居たとしても少数派だな」
「そんな地域があるのか。ヨセフは知ってるか?」
「いや、知らないな。噂でも聞かない」
「だよなぁ。ところで国は何処何だ?」
ほい来た。どう答えようか…
他大陸が在ると仮定して、どの程度周知されてるのかな
まあでも他大陸が無かったとしても、島国だったらその限りじゃないよね
「日本ってんだけど、知らない?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます