第16話
「さて、学校で出前を取るとなったら、まぁ可能性が一番高いのは、仕事で残っている先生だろう。先生がいる場所となれば当然……」
「……職員室ってわけね」
それを照らしているのは新が
暗闇を断つようにまっすぐに伸びる
「にしても、まさか配達する場所が分からないとは……」
直前のやり取りを思い出して新はわざとらしく肩をすくめた。
その言葉に明はぎくりと肩を跳ね上げる。
「ヴッ……だから、それはもう許してってばぁ~」
そう言って、あははと、
きっかけは少し前、昇降口での出来事だ。
いざ配達に向かおうというところで、新は明にある一つのことを確認した。
新がまだ聞いていない、重要な点。
何のことはない。
つまり、校内の、どの教室に配達するのかいうことだ。
「――というわけだから、これからどこに向かうんだ?」
だから新は当たり前にそう問いかけた。
だが、明は、まるでぽっかりと開いた落とし穴に
「……わかんない」
「……はい?」
「わからないです」
「いや、聞こえてますけど……」
問題はそこではない。
それは明も重々承知だったらしく、みるみるうちに、その表情は
「どっどどど、どうしよう
「なんで
すっかりテンパった明がなりふり構わず、瞳を
おかげでシャツの首元は心なしか先ほどよりルーズになってしまった。なんだか色気を強調しようとしているみたいで恥ずかしい。
そんな当人をなだめて、ひとまずこの場所に連れてきて今に至る。
明も 連れてこられた理由を聞いて納得したのか、職員室にたどり着くころにはだいぶ落ち着きを取り戻していた。
「よ、よし!それじゃあ、行ってきます」
「ん、頑張ってこい」
気合の入った明の声は、それでもまだどこか固さがあった。
とはいえ、それを
なので、新はせめて明の分までと
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