第15話
そんな時だった。
一瞬の
「ひゃあっ!」
悲鳴が聞こえたのと同時に、ドン、と
少しよろめきながらも視線を衝撃の方に向ける。
気付けば、
だがそれも
「あ……ごめん。今のは、なんでもない」
新から
だが、気恥ずかしいのはお互いさまで、新も「お、おう」と短く答えるのが精いっぱいだった。
だがその
新は明の変化を察知していた。
「ほ、ほら!さっさと
それを知ってか知らずか、明は先を急ごうとする。
踏み出した足も、浮かべた笑いも、どこかぎこちなさが
そんな明の様子を見て、思わずため息が漏れる。
(ホント、
いったいこいつは何と戦っているのだろうと思わずにいられない。
気が強く、負けず嫌い。
今も、自分の心と
自分で自分の背中を押すどころか、
けれども、そんな姿勢を、この場において
どちらかというと、イライラさえ感じる。
現に今強がっているのも、いろいろな思いが起因してのことかもしれない。
それでも、新の想いはシンプルだ。
どういう理由であれ、自分の好きな相手が不安になっていたら、少しでも楽にしてあげたいと思うのが当然だ。
ならば、強がって一人で先に行こうとする明を。
新は
新は
そして、今度は確かに、明の左手に自分の右手を伸ばした。何も気にせず、先ほどより少しだけ力を込めて、しっかりとその手を握る。
「一人で無理すんな……バカ」
「あ……ごめん」
不意に手を引かれ、明は
暗闇に
「――それに!確かにもう一雨きそうだし、これ以上強く降られちゃ
なんだかむず
「ん、そうだね」
新の意をくみ取ったのか、明は力を抜くように小さく笑って同意した。その声には少しだけ、彼女らしい素直な明るさが戻っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます