第12話
二人は自分の下駄箱から
「よし。それじゃあ目的地まで着いたことだし――」
「そうね、それじゃあ……」
それに呼応するように、
二人して息を合わせ、そして――
「さっそく行きましょ――」
「いっちょ気合入れて行ってこい!」
ぽん、とその言葉とともに明は背中が押されるのを感じた。
不意に押し出されるような形になり、明は思わず数歩前によろめいた。
無論、
だが、気合を入れていたところに不意打ちを喰らい、明はきょとんとした顔で新の方を振り返る。
「……えっと、新?これはどういう?」
「え?いや、お前さっき言ってたろ?仕事に全く関係のない人が付いてくるのは変だって」
「?それが何よ?」
「だから、これからお客さんのところに品物を届けに行くんだろ?そこに全然知らない男がいたらどう思う?」
……あーなるほど。
その時点で明は新の
「そうかそうか、そういうことね、なるほど、ふ~ん……」
うんうんと何度も
「あ、
明の表情は笑顔だ。
にも
間違いない。
自分が何か明の中のマズいトリガーを引いてしまったのだと新は直感した。
「そうなのね、新ったら、私のために気を遣ってくれちゃってふふふふふふふふふふふふ」
「コワイ怖い!!なにその笑い!どうやって発声してるのその声!」
不気味な笑顔を浮かべたまま、ゆらりと新の方に向き直った。そして――
岡持ちをその場に残し、明の姿が
「え、あか――ぐおっ!!」
反射的に呼ぼうとした明の名前を新は最後まで言い切ることができなかった。
突如として
新の身体は数センチほど浮き上がった、もとい、持ち上げられた。
眼球を下に向け、首元にいる何者かを確認する。視界の
……
「バカなこと言わないでよ!!こっ、こんな中、一人で行けるわけないでしょうがぁ!」
心なしか半ベソを
というか、割と本気でシャレになっていない。
「あ、あかり……苦しい……くび、首しまってりゅ……」
「ハァ!?よく聞こえないんですけど!?バカなこと言いたいなら、もっとハッキリした声で言ってくれる?」
怒りのままに新の
暗闇の静寂を
だが、もはや本人はそんなことお構いなしだ。
瞬間、首の骨がメキメキッと本格的にマズい
(ヒィィィィィ!!)
マズい、これは本当にマズい。
新は明の腕で必死にもがいた。それも当然。この行動にはお互いの将来がかかっている。
まさか、こんなところで幼馴染を殺人犯にしてしまうわけにはいかない。
「ご・め・ん・な・さ・い」
そんな六文字のサインだった。
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