第7話
「それじゃあ、要は、その出前に俺にも付いてきてほしいってことか?」
「……悔しいけど、そういうこと」
明は束ねた後ろ髪の一部を
どうやら先ほどのやり取りで
完全に頼る人間を
「なら、それこそ、最初からそう言えばいいだろ」
そうすれば、右ももを
だが、新の言葉に明は
「何言ってるのよ。自分の仕事に全く関係ない人間を巻き込むなんて。そんなバカなこと、おいそれと他人に頼めるわけないじゃない」
当たり前でしょ、とばかりに明は新の言葉をにべもなく切り捨てた。
確かにそうだ。これは子供のおつかいなどではない。
れっきとした、彼女にとっての仕事なのだ。
そこまで至らなかった自分の
だからこそ、明がそれを新に頼んできたという意味合いは重い。そこがきっと彼女にとってのギリギリの
だからこそ――
「それに、ほら、やっぱり危ないじゃない?私、これでも見た目
「……」
その頼みを
「その点、新がいれば安心だし。いざという時には盾がわ……じゃなかった、盾のように、私を守ってくれるだろうしね」
「おい、いまなんか見えちゃいけない
「気にしたら負けだよ?アンタを、私の一番身近な男の子と
「……その言い方はズルくないか?」
頼りにしてる。
その言葉は絶対命令権のように新の
頼りにされているというたった一つの事実が、新の心をこれ以上ないほど
我ながら単純なものだと思った。
けれど、嫌な気はしない。
「……あー、わかったよ。幽霊はともかく、確かにこんな夜に一人で出歩くのも危ないかもだしな。付いていってやるよ」
女の子が、という言葉はあえて口にしなかった。そうするとまた長い冷やかしが始まりそうだったからだ。
「ホント!?」
新の言葉にまるで飛びつくように前のめりになりながら、明が確認する。
新はたじろぎながらも、首を縦に振ってそれを肯定した。
「やったぁ!やっぱり新に頼んで正解だったよ~。その……ありがとね」
いつも
「それは……そんなの、出前が終わった後でいいから。俺、ちょっと準備してくる……」
その笑顔は新にとって直視するにはあまりに危険すぎた。
本当はもっと眺めていたい。
だが、まるで何かの魔力が秘められているかのようなその表情は、新の自制心のタガを外しかねない。
自身の想いと裏腹に、そこから逃げるように新は自室のある二階へ階段を駆け
「待って、新!」
不意にそんな大声が背中から飛んでくる。まだ何かあるのかと階段を数段登ったところで足を止め、明の方を振り返った。
「何?どうかしたか?」
階段の手すりから少し身を出すようにして明の方を見た。
表情こそ先ほどとあまり変わりはないが、その額には汗がびっしり浮かび、顔色も心なしか土気色だ。
新にはその原因がとんと思い当たらなかった。まさか、幽霊の
そして明はまるで
「ごめん……その、お、お手洗い、借りても、いい……?」
「……」
もう何も言うまいと、新は再びゆっくりと階段を登り始めた。
直後、ドタドタと走る音、そして
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