頭が欲しい

通学途中にある踏み切りはけっこう人が立ち入ったとかで事故が多い。何事もない時もあるけど、時々電車にぶつかってバラバラになってしまう人がいるらしい。なんでもそこで事故に遭って亡くなった霊が仲間を呼んでいるんだとか。

そんな話をクラスメイトが楽しそうに話してて、帰りもその踏み切りを通るのに嫌な話を聞いたななんて思いながらちょっと想像して怖くなったりしていた。

その日の帰り道。踏み切りまであと少しという所でフラフラと遮断機を潜る男の人を目撃してしまった。まさかあの話が本当に?なんて思いなったりながら踏み切りへと走る。

その時、ふと気付いた。

踏み切りの真ん中に誰か立っている。可愛い花柄のワンピースを着た女の子。まさかあれが幽霊?

「えっ」

思わず声が出た。

女の子に頭がなかったからだ。

女の子はゆっくり手招きしてる。それに釣られるように男の人は女の子の近くへ寄っていく。

そして、電車にぶつかった。

嫌な音を鳴らしながら電車が止まる。ちょうど一番後ろの車両が踏み切りを通り過ぎた所にある。

女の子は立っていた。その足元には男の人の頭が立っていた。そういえば何かで聞いたことがある。電車にはねられてバラバラになった時頭はいつも立っているんだとか。

女の子はその頭をひょいと持ち上げると、首の上にそれを乗せた。しかし、体に対して大きすぎるのか頭は地面に落ちてしまってコロコロ転がっていく。女の子はしばらく頭の方を向いていたがやがて消えた。

女の子が欲しいのは仲間じゃない。

自分の体に合った頭なんだ。

それが分かった途端体からサーッと血の気が引いて足が上手く動かなくなって転んでしまった。

女の子が手招きしてたらどうしよう?

そんなことを考えて、いつまでも起き上がれなかった。

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